社会的信用が地に落ちる「やってはいけない行為」

黒坂岳央です。

人間は誰しも過ちを犯してしまう生き物である。筆者も正しいと思って出した記事や動画で間違えることはよくある。だが、大抵のことは素直に非を認めて謝罪すれば大事にはならない。

その一方で「これをやると一発アウト」という大変危険なNG行為が存在する。自戒も込めて持論を取り上げたい。

Fotomek/iStock

1. キレる

たまたまYouTubeを見ていて、厳しく声を荒げて部下へダメ出しをする芸風の動画が流れてきた。コメント欄は賛否両論、「怒りの中に人間味」「相手を思っているからこそ怒る」という声が見られたが、個人的には怒られている側の悲痛な表情に胸が痛くてすぐに閉じてしまった。

意見は色々とあると思うが、現代社会においてキレるのはどう解釈しようが「論外」だと思っている。それが大衆の前でも会議室で1対1でも関係がない。キレるのは極めて動物的かつ暴力的であり、相手は恐怖で萎縮するだけだ。普通にいえば伝わることもキレてしまうと、怒られている側は「これ以上、相手を怒らせたくない」という出口に向かい、そこにはなんら生産性はない。

よく「今どき怒る人は減った。冷たく立ち去るより人間味がある分マシだ」といった人がいるが、自分はむしろ逆で相手に一生消えないトラウマを残すような恫喝をするくらいなら、静かに立ち去って相手に行動を振り返らせる反省を促す方がまだマシだと思っている(言うまでもなく、理想としては冷静に伝えることであるが)。

一度でもキレてしまうと、悪評が広まって二度とビジネスチャンスは得られないだろう。特にまともな人ほど立ち去ってしまう。

2. 自己保身のウソを付く

ウソも方便という言葉がある。心で感じたことをそのまま口に出すのは正直、というよりデリカシーがないと受け取られる場合もある。ものには言い方がある。相手の自尊心を傷つけずに、それでいて必要なことを伝える力を持つべきだ。親が子供にいう「サンタクロースがプレゼントを運んでくれるよ」といったような、時には優しい嘘が必要な文脈もあるだろう。

しかし、どんな嘘も「自己保身目的」だとたちまち信用を失う。たとえば相手から間違いを指摘された時は憤慨して「そういうつもりではない! ◯◯のつもりだった。そのような受け取り方をするあなたが悪い!」と自己保身全開のでまかせをいうのは悪手である。

注意してきた相手を舐めないほうがいい。間違いを指摘された時点で、こちらの間違いや根拠を確認した上で勇気ある進言をしているのだ。であれば、やることは「間違えました。教えてくれてありがとう」これしかない。

ここでプライドを守るために見え見えの嘘をついてしまえば、周囲の人に「あの人はいざとなると自分を守る嘘を付く」という、悪評を獲得することになる。信用の持つ価値の大きさと比べれば、そんな矮小なプライドなど守る価値はない。

3. 時間を守らない

これは本当に気をつけたほうがいいのだが、時間を厳守するということだ。

約束の時間を守るというのは言うまでもないが、ZOOMや対面で待ち合わせをすると1-2分遅刻する人は結構いる。本人は悪びれる様子もなく、定刻に現れたと思っているかも知れないが、このわずか1分の遅刻を重大と捉える人は無視できない割合でいるという事実を忘れてはならない。待ち合わせで遅刻する、というのは相手を軽んじていることの現れである。

仮に自分の取引や収入の決裁権を持つ社長と待ち合わせをするなら、普段は遅刻グセのある人も絶対に遅れないはずだ。それでも遅刻するということは、「遅れても流してくれるはずだ」と相手を舐めているからである。その姿勢が悪印象を与えるのだ。

また、時間を守らないのは「頭」だけでなく「おしり」も同じである。「10分ほど軽く打ち合わせをしましょう」といいながら、ダラダラ次々と話題が飛び出て結局1時間話す、というのは相手に与える心情として良くない。「この人に捕まるといつも時間がなくなる」と感じさせてしまえば、もう次のアポに応じてもらえなくなる。だから最初に10分で、といったら本当に10分以内で終わるべきなのだ。

ビジネスでは雄弁な語りや、高級時計やスーツの着こなしをビシッと決めるというより、やってはいけない信用の落ちる行為をいかにやらないかが重要である。身だしなみが素晴らしく、相手が聞き惚れる営業トークができる人でもキレたり、嘘をついたり、時間にルーズだともうそんな人に仕事をお願いしたいとは思わないだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。