信頼関係を築くのがうまいビジネスマンの特徴

黒坂岳央です。

信頼関係、というとどこか抽象的で捉えどころのないように感じる人もいるだろう。そのため、どうやって築いていいかわからず、不快感を覚える距離に入って嫌われてしまう人がいる。その一で、信頼関係を作るのが非常に上手だと感じるビジネスマンもいる。多くの場合、センスや才能といったこれまた捉えにくい感覚で雑に処理をする人もいるだろう。

しかし、個人的にこれは「技術」だと思っている。自分は「コミュニケーションの専門家」などではないのだが、これまでのビジネスで体得した個人的見解を取り上げていきたい。

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1. 適切な距離感

相手との信頼関係で最も大事なのは距離感である。すなわち、遠すぎず近す
ぎない、これである。

かつて勤務先の上司でこれが非常にうまいと感じる人がいた。困った時、仕事の壁にぶつかっている時だけ「大丈夫?いけそう?」と声をかけて技術的なアドバイスをくれる。それでいて自分でなんとかなりそうな時は、「困ったらいつでもいってね」とサッと身を引き、鉄火場以外では一切、余計な介入をせず基本的に仕事はお任せしてくれる。後にも先にもこの上司より距離感がうまいと感じる人はいなかった。

その一方で、「交流も大事」とやたらと飲み会に誘ってきて、プライベートの行動にダメ出しをしてきたり、その逆にホウレンソウをまともに傾聴する気がなく、完全放置の人もいた。

やはり、相手との距離感がちょうどいいというのはとても大事であり、そこをわかっている人は信頼されるだろう。

2. 透明性が高い

仕事で相手に不信感を抱く瞬間は、「一体、何をやっているかよくわからない」という不透明感が生み出す。逆に言えば透明性が高い相手にはそう感じないのだ。

透明性が高い、というのはたとえばプロジェクトでお互いに役割を持って進める場合、権限の範囲や進捗状況、課題や目標や求められる結果のレベルが明確ということである。いつ見ても相手はどういうステータスなのかが明確になっていれば、「今この仕事について話をしても大丈夫そうだな」「順調に進んでいるので問題なし」と余計な不安でマインドシェアを奪われることがない。

もとい、透明性の高さは「相手にとってわかりやすくあろう」という姿勢から生まれるので、そうした配慮の姿勢が信頼関係の構築につながっている。

自分がやっているのは、進捗状況をExcel Onlineで作成して、いつでも相手がこちらの最新ステータスを把握できる状態にすることである。「今どうなっているか?」を知りたければ、そこにアクセスしてもらえばいつでも自分のステータスを理解してもらえる。そんな透明性を意識して作っているので、相手をムダに不安にさせないで済むのだ。

3. 感情を出さない

異論あると思うが、多くの職場において感情をむやみに見せるのは悪手だと考えている。特にイライラしていたり怒りをあらわにするのは論外である。

職場は仕事をするための場所だ。相手から感情全開で来られると否応なしに相手の感情を処理をする、という本来必要のなかったタスクが発生する。もしもこれが上司部下の関係で、相手が若い新人ならまだわかる。上司の役割は人材育成の側面もあるので、相手の不安を解消させたり奮起させて結果を出させるところまでがマネージャーといえるだろう。

しかし、これが30超えたいい大人だったり、パワーバランスがイーブンな関係性なのに感情丸出しで来られると「しんどい」と感じてしまうだろう。これをすると相手は「なぜ、自分は相手のご機嫌取りまでしないといけないのか?」という感覚になる。

もしもこの話を「冷たい、人間味がない」と感じてしまう人は、自分が知らず知らずの内に相手の善意を消費している可能性を探ってもいいかもしれない。人情とは多くの場合、「してもらう側」ではなく、「かける側」の判断だからだ。

表に出す、出さないだけの差であって、誰しもみんな悩みを抱えている。悩みのない人など誰もいない。そこを踏まえた上で、ビジネスプロフェッショナルとは仕事でむやみに感情を出さないので信頼されるのだ。

信頼関係は技術を理解し、意識してそこを抑えることで作られる。「自分は大きなトラブルなどを起こしていないのに、信頼されない」という人は、信頼関係は「意識した結果としてできるもの」という認識をするといいかもしれない。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。