続々コロナ闘病記:慢性の誤嚥性肺炎が重症化の引き金?

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ウイルスに突かれた弱点

私は毎朝、朝刊社会面の死亡記事に目を通します。何歳くらいの誰が亡くなったかを知るためです。死因に誤嚥性肺炎という表記がしばしば目につくようになりました。以前は、あまり見かけなかった表記です。特に80代前後に人の死因に目立つ。

急に誤嚥性肺炎が増えたのではなく、医療記事などでも誤嚥性肺炎が題材になることが多く、死亡記事で漠然と、肺炎、心不全という表記ではなく、誤嚥性肺炎と明記する。いいことです。

私がコロナウィルスによる急性肺炎で救急車で搬送され、緊急入院し、治療を受けていますと、医師、看護士が「この人には、誤嚥性肺炎の兆候があったのかもしれない」と、話をしているのを耳にしました。「えっ、私が誤嚥性肺炎なんて。違うな」と、思いました。

10年以上も前、会社の会長が誤嚥性肺炎でなくなり、「ゴボウを誤飲して肺炎を起こしたらしい」という情報が社内に流れました。それ以来、誤嚥性肺炎はやや大きな食べ物の塊を誤飲して急激に起きる。つまり急性によるものとばかり、思い込んできました。

違うのですね。急性の場合も、すぐに症状が現れるのではなく、数時間か数日かけて、胸痛、発熱、咳、呼吸困難、痰などに襲われる。

その他に、唾液、食べ物、胃液などが知らず知らずのうちに、気管支、気管に入りこみ、少しずつ炎症が肺全体に広がっていく。この慢性型も怖い。睡眠中に細菌を含んだ唾液を飲み込んでいることもある。睡眠薬、鎮静剤を使用している人は、睡眠中にそうなりがちだそうです。私はこれだったのかもしれない。

そういえば、私の場合、いつからだったか、飲食していると、咳き込むことが多くなり、「ごほんごほん」と、力を入れて吐き出そうとしたことが増えていたような気がします。

慢性化した誤嚥性肺炎で肺が痛み、そこをウイルスにつけこまれる。コロナに感染し、慢性の誤嚥性肺炎がもともと存在していたため、急性肺炎となり、あっという間に重症化したのかもしれない。

私の周辺で、「コロナにはかかった。軽症で済んだ」という友人、知人が何人かおります。私の場合は、慢性の誤嚥性肺炎の下地があったから重症化した。そういう解釈もあり得ましょう。

病院で嚥下機能の検査をしてくれました。お粥、ご飯、ヨーグルト、ミカンなど数種類の食べ物をそれぞれ消化しながら飲み込むのを、レントゲン装置で観察し、嚥下能力の強弱を調べる。結果は「嚥下機能の低下がみられる」として、誤嚥防止法の指導を受けました。

「食事では、よくかみ小分けにしてごくんごくんと飲み込む」、「飲み込む時は、舌の上、奥に乗せ、膝あたりに目をやりながら飲み込む」、「歯磨き、うがいはこまめに行い、義歯はよく洗浄しておく」、「味噌汁、スープ、ジュースなど水分の多いものは、『とろみ』を加えておく」。こんな指導を受けました。喉ごしに一気に飲み下すのはよくないそうです。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。