成長を続けるインディテックス

2022年と比較して2023年は30%の利益増加

昨年のZARAを傘下に置くインディテックスの年商が3月に発表された。2022年度の10%増加で359億4700万ユーロ(4兆3136億円)と発表された。53億8100万ユーロ(6457億円)の利益で、2022年と比較して30%の増加だという。(3月26日付「Debate」から引用)。

2022年4月に、インディテックスの成長を長年導いたCEOのパブロ・イスラ氏が突然去って、成長が危ぶまれていた。しかし、順調に伸展していることが今回の売上報告にて明らかにされた。

現在の経営体制は創業者アマンシオ・オルテガ氏の後妻の娘マルタ・オルテガ氏が執行権のない会長に就任し、CEOには銀行勤務の経験が豊富なオスカル・ガルシア・マイセラス氏が就任している。マルタ・オルテガとマイセラスの両氏の二人三脚体制で進めて行るようだ。

1975年に1店舗からスタートして現在7000店舗余り

1975年にガリシア州のラ・コルーニャ市で400M2の店(現在も存在している)からスタートしたZARAが現在までに7000店余りを世界に繰り広げている。それに加えてネット販売も売上全体の23%を占めるまでに成長している。

ネット販売ではライバルとして中国のSheinが登場しているが、使用されている生地の材質がEUの基準に合致していないという問題や身体に有害な原材料が使用されているといった問題が指摘されている。また新着の数が極端に多いが、他社の模造品も多く含まれていることが検出されて、法的にも問題となっている。

インディテックスの基本ポリシーは飽くまで店舗の成長を基本にしている。設立当初から10年前まではZARAを含めインディテックスの8つのブランドはそれぞれ独立した体制でショップ展開していた。。例えば、各都市のメイン通りの両側にこの8つのブランドのショップが開設されて、恰も8つの企業がそれぞれショップを開いているようなイメージを与えていた。インディテックスがショップを開設するのは各都市のメイン通りである。そうすることによって口コミで消費者が宣伝してくれる。

ところが、最近は大型店を設けてそこに8つのブランド商品を纏めて販売する方向に変化している。そしてその周囲にあるインディテックスの小型店はそれに吸収されるような形で閉店して行く。例えばマドリードにある大型店の最大スペースは9000M2の広さだ。そこにインディテックスの異なったブランド商品を販売し、支払いも自動支払機を設置し、試着室も広くしている。(2022年4月7日付「Èxpansion」から引用)

このようにして大型店を各都市に開設して、小型店を閉鎖して行く方向で進んでいる。異なったデザインの品数についてはインディテックスでは年間2万着の新作を出しているので店舗を埋めるには問題ない。

投資資金として1兆3200億円を用意している

その一方で、外国市場では従来踏襲して来たそれぞれブランドの店舗を開設している。特にインディテックスが進展を強化しているのが米国である。1989年に初めてニューヨークに進出して以来現在まで101店舗開設している。

メイン市場はカリフォルニアとニューヨーク。米国にはこれから開設できる市場はふんだんにある。しかも、インディテックスにはいつでも投資できる資金が110億ユーロ(1兆3200億円)用意してあると言われている。

これからもファストファッション業界でトップの座を維持し続けて行くことは確かである。