副業に興味はあるけど、忙しくて時間がないと悩む人も多いだろう。しかし実は、意識を少し変えるだけでこの問題は解決できる。
そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、副業に無理なく取り組む秘訣について、再構成してお届けします。
「時間がない」は実は優先順位の問題
セミナー講師に限った話ではないですが、副業をやろうとする時に一番最初に多くの人が直面する問題はおそらく「時間がない」でしょう。しかしここでまずお伝えしたいのは「時間がない」という問題は、実は優先順位の問題だということです。このことがよくわかる話を一つ紹介したいと思います。
2010年に映画にもなった『食べて、祈って、恋をして』(早川書房)で知られる世界的人気作家エリザベス・ギルバート。彼女がある時、Facebookで何千もの人を対象にアンケートを取りました。
質問は「もっとクリエイティブな毎日をすごすための一番の障害となるものは何か?」でした。95%が「時間がないこと」と回答したそうです。このことがどれだけおかしいか、気がつきましたか? 回答者はFacebookを見ながら時間がないとアンケートに答えているのです。
この話は客観的に見ると笑ってしまいますが、私たち自身も同じことをやっていないか、冷静に考えなければいけません。私たちが使える時間は1日24時間と限られています。これは何かに時間を使うと、別の何かにその分、時間を使えなくなるということです。
たとえば今、夜の20時だとします。睡眠時間を7時間確保するために22時に寝なければいけないとしましょう。自由時間は2時間です。資格試験に向けてこの2時間を勉強に費やそうと決意したとします。
しかしいざ取り組もうとしたら、パートナーから連絡が来て1時間話をしてしまった。こうなると、勉強する時間は1時間しか残っていません。どうしても2時間勉強したいなら、睡眠時間を1時間削って時間を捻出しなければいけません。
このように、何かに時間を使うということは他の何かに使える時間を犠牲にするということなのです。まず、このことを自覚することがとても大切です。この場合なら1時間、パートナーと話をする代わりに、勉強時間あるいは睡眠時間が失われるのです。
意識して時間を使うことの大切さ
私がここでお伝えしたいのは意識して時間を使うことの大切さです。たとえば先ほどの例なら、パートナーから連絡が来た時に何も考えずに話をするのではなく、次のどちらの選択をするかを意識して行動しなければいけません。
- パートナーとそのまま話をする
- これから勉強しなければいけないのでまた明日、話をしようと提案する
このケースはパートナーが相手なので苦渋の決断を迫られるわけですが(笑)、YouTubeを見る時も考え方は同じです。YouTubeを見ようと思った時、これからYouTubeを見る時間は他の何か、たとえば勉強や情報発信する時間に使うことができる。このことを意識したうえでYouTubeを見るかどうかを決めるべきなのです。
つまるところ、時間の使い方で私たちが最も考えなければいけないのは 時間をどのように使うか。何にどれくらいの時間を使うか。その優先順位と配分を考えることなのです。
ではこれらをどうやって考えていけばいいのでしょうか。まずは私が情報発信、ブログをはじめた時の体験からお話しさせてください。そのうえでどうすればいいか、提案したいと思います。
読書に逃げて情報発信を怠っていた20代
私がブログでの情報発信をスタートしたのは2009年でした。勝間和代さんの本を読んで、これからは情報発信が大切になる──そう強く感じたことがきっかけです。数年前から「いつか独立したい」と考えるようになっていた私は、ブログで成果を出せば独立できるかもしれないと考えました。
当時はブログも人気があり、人気ブロガーで会社を辞めて独立している人もいました。自分もその人たちみたいになれるかもしれない。そういう気持ちもあり、ブログをはじめることにしたのです。
ブログをはじめたのはいいのですが、思うように更新できません。週1回、週末のどちらかを使って更新するような頻度で、内容も日記みたいなものでした。会社の仕事はたしかに忙しかったです。しかし更新頻度が低かった理由を今あらためてふりかえると、やはり優先順位の問題だったように思います。
当時の私は読書にたくさんの時間を費やしていました。ブログを書くより、読書の時間を優先していたんですね。当時私も20代の後半で、成長しなければと焦っていた時期でした。
単純に読書が楽しかったこともあり、当時の私にとってはとにかく時間があれば読書。残りの時間にブログを書く。そんな優先順位・意識でブログに取り組んでいたのです。だからブログを書く時間がなかったのです。
今思えばですが、ブログの更新頻度を本気で上げたかったのであれば、本を読む時間を減らして、その分ブログに時間を費やせばよかったのです。しかし、アウトプットするよりインプットするほうがラクなんですよね。そういう意味では、読書することはいいことだという名目で、アウトプットから逃げていたのかもしれません。
いずれにせよ、この時期はブログを書くことより本を読むことのほうが優先順位が高かった。だから時間がなく、ブログを書けなかった。そう感じています。
偶然の出会いから毎日ブログを書くように
本格的にブログを更新するようになったのは、今のブログ「いつでもスタオバ!!!」をスタートしたことがきっかけです。
ある日セミナーに参加したところ、偶然、今ブログをサポートいただいている大東信仁さんと出会います。大東信仁さんはブログの専門家。話を聞いてみると、新しいブログを作るのを手伝っていただけるとのことでした。
せっかくブログの専門家のサポートを得て新しいブログを作るなら、本気でやってみよう。そう私は決意します。当初は週3〜4回の更新がせいぜいでしたが、本気でブログで人生を変えたいなら毎日更新する必要がある──そう感じた私は、ある日から「試しに毎日更新してみよう」と決意します。
そうしてまず1週間、毎日更新してみました。会社の仕事はあいかわらず忙しかったので、睡眠時間を削ったりしながらなんとか毎日更新を達成しました。達成感はあったものの、このやり方では長く続けられない。本能的にそう感じた私は、どうやったらムリなく毎日更新できるようになるかを考えることになります。
苦渋の決断-本業の時間を減らす決意
ブログを毎日更新したい。でも睡眠時間は犠牲にしたくない。これが当時の私の悩みでした。睡眠時間を削ると、本業にも影響が出ます。何より、健康に良くない。当時から私にとって睡眠時間の優先順位は高かったのです。睡眠時間を削る方法以外で時間を捻出する方法を考える必要がありました。
一方で家族と過ごす時間も大切。こちらを削るわけにもいきません。さんざん考えたあげく、本業にかける時間を減らすしかない。そんな結論に至ります。ちょうど働く時間を減らさないといけないと感じていた時期でもありました。当時私は長時間労働で、上司からももう少し働く時間を減らすように注意を受けていたくらいでした。この機会に働く時間を減らしてみよう。そう思ったのです。
当時は始業前に1時間半ほど前業していました。その前業の時間をブログ執筆に充てれば、朝書く習慣が作れる。こうした理由で私は毎朝始業前に会社近くのマクドナルドで毎日ブログを書くようになりました。これが始業前に執筆するという今の私のスタイルのもとになっています。
ここでのポイントは、私の中で優先順位の変化が起きていることです。ブログをはじめる前の私は、仕事・本業の優先順位がとても高かった。しかしブログをはじめて、楽しいと感じました。
本気で人生を変えたい。そう思うようにもなった私は、当時は無意識でしたが、自分の中でブログの優先順位を上げたのです。だからこそ前業の時間を使って毎日ブログを書くようになったのです。
ここまで私が優先順位を変えたことで執筆する習慣を作った話をしました。優先順位を上げて新しい習慣を作るイメージが少しは湧いたかと思います。
セミナーの集客には定期的な情報発信が必要です。必ずしも執筆である必要はありませんが、情報発信をするための時間を確保する=習慣化する必要があります。そのためには、まず自分の中で本気度・優先順位を上げる必要があるのです。
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滝川 徹(時短コンサルタント)
1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月4日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。