バズるコンテンツを作る4つのステップ(滝川 徹)

metamorworks/iStock

良いコンテンツを作っているつもりなのに全然反響がない。そう悩む人も多いだろう。実はバズるコンテンツを作る人は「需要ファースト」を心がけている。

そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、たくさんの人に見られるコンテンツの作り方について、再構成してお届けします。

「良いコンテンツ」の2つの切り口

たくさんの人に読まれたり見てもらえるコンテンツ=良いコンテンツと、その他のコンテンツとで何が違うのでしょうか。私は良いコンテンツとは、少なくとも次のいずれかの条件を満たすものと考えています。

  1. 役に立つ情報がある
  2. おもしろい

一つずつ説明しましょう。

1. 役に立つ情報がある

情報発信の王道は、他人の役に立つ情報を発信することです。たとえば私の友人は定期的に自身がおいしいと感じたレストランの情報を、料理の写真とともにFacebookに投稿しています。

これは私にとってとても役立つ情報です。気になるお店を見つけた時はそれをメモしておき、次回友人などと会食をする時にそこに行きます。私は彼の投稿を漏れなくチェックするようにしています。

このように、人が他人の情報発信を継続的にチェックする動機の一つは、その人にとって役立つ情報があることなのです。たとえば航空券を安く買える方法、お得なクレジットカードの情報、簡単においしい料理を作れる方法などです。

やせるノウハウ、モテるノウハウ、仕事の効率がUPするノウハウ。なんでもかまいません。ジャンル・テーマはなんでもいいのです。

自分が提供できる情報の中で、他人の役に立ちそうな情報を発信する。それが多くの人に役に立てば立つほど、良いコンテンツということになります。

2. おもしろい

コンテンツの内容が純粋に楽しめる。これも良いコンテンツの条件です。たとえば私はX(旧 Twitter)で深爪(@fukazume_taro)さんという方をフォローしています。私が彼女をフォローしている理由はシンプル。彼女の投稿がおもしろいからです。

投稿を見ると笑えたり、視点がユニークで「へぇー。おもしろい考え方するなぁ」と感じます。本書執筆時点で彼女のフォロワーは20万人を超えています。彼女はおもしろいという切り口で良いコンテンツを継続的に発信することで、たくさんのフォロワーを獲得しているのです。

人気の漫画や小説もおもしろいから読まれるわけです。ユーチューバーのHIKAKINさんのコンテンツも、役に立つというよりはどちらかというとおもしろいという切り口のコンテンツでしょう(もちろん中には役に立つ切り口の動画もあります)。

ここでお伝えしたいのはどんな表現方法であれ、たくさんの人におもしろいと思ってもらえれば、良いコンテンツになるということです。

良いコンテンツには2つの切り口がある。このことを念頭に入れていただきながら、この先の話を読み進めていただけたらと思います。コンテンツの作り方を具体的に説明していきます。

他人の視点を意識しながら自由に発信してみる

最初はあまり深く考えず、自分が世の中に発信したいと思うことを自由に発信してみてください。しいて言えば、発信する時に先ほど説明した「役に立つ」あるいは「おもしろい」のいずれかの切り口が反映されているか、チェックしてみてください。

たとえばおいしいレストランに行ってきて「このレストラン、おすすめだよ!」とブログに書きたいのであれば、お店や料理の写真、料理の価格、雰囲気など、読者がほしいと思う情報を盛り込みます。そうすれば役に立つ記事を作ることができます。

「おもしろい」という観点で言えば、他人にとっておもしろいと思える内容となっているかが大事です。自分の話は自分が思ってるほど他人にとってはおもしろくない。このことを理解しておくことが大切なのです。

いわゆる「自分語り」と呼ばれる行為がありますが、これは極力やめておいたほうがいいということです。誤解していただきたくないのですが、自分の体験を話すこと自体は問題ありません。考えなければいけないのは、その体験が他人にとっておもしろいか、なのです。

たとえば世界一周をして海外で体験した話をすれば、他人は興味をもって聞いてくれるかもしれません。ほとんどの人は世界一周という経験をすることがないからです。

一方、失恋の話や会社であったつらい経験は、よっぽど壮絶な体験をしたり、珍しいケースを除けば、他人にとってはつまらないものです。友人なら興味をもって聞いてくれるかもしれません。しかし皆さんのことを全く知らない人が興味をもってくれる可能性は低いわけです。

何かを他人に伝えたい時、自分の経験談というのはたしかに大切です。説得力をもたせる効果的な情報になります。しかしうまく使えないと単なる自分語りに陥り、人からするとつまらないコンテンツになってしまうわけです。

自分語りは一つの例ですが、このように他人から見て自分のコンテンツはおもしろいのか、興味をもってもらえる内容になっているのか、冷静になって考えることが大切です。

そうしないと、「一生懸命コンテンツを作ってるのに、全然他人に興味をもってもらえない」という事態になります。

自分では良いコンテンツを作っているつもりなのに全然反響がない。そう感じるなら、他人から見ておもしろいコンテンツになっているか、今一度考えてみたほうがいいでしょう。

バズるコンテンツの方程式

たくさんの人に見られるコンテンツを作るためのとっておきの秘訣があります。それは「需要ファースト」で情報発信をすることです。どういうことか。説明しましょう。

たとえば私が書いたYahoo!ニュースの記事で「『目標未達で有給取るの?』と上司から嫌味を言われたらどう返すのが正解か」というものがあります。この記事を書いたきっかけはYahoo!ニュースで話題になっていた別の記事でした。

若手社員が営業目標未達の状況で有給休暇を申請したところ、上司から「へぇ……目標未達なのに、有給取るんだ」と発言されたというものでした。話題になるということは、単純にそれだけ世の中の人が関心をもっているテーマということです。であれば、そのテーマについて記事を書けば、読まれる可能性は高くなります。

実際に私が書いた記事もコメントが150近くつき、たくさんの人に読まれました。この話でお伝えしたいのは、すでに話題になっているテーマで情報発信をすれば、それだけ読まれる可能性が高くなるということです。

どんなに素晴らしいことを書いていても、残念ながら世の中の人が興味をもってる内容・テーマでなければ見られません。コンテンツを見てもらうためには、まず興味をもってもらう必要があるのです。

では興味をもってもらうためにはどうするか。その一番簡単な方法が、すでに世の中の人が興味があるテーマ、たとえばテレビやX(旧 Twitter)、Yahoo!ニュースですでに話題になっているもの──これらを題材にコンテンツを作ることなのです。

「書きたいこと」だけではダメな理由

こうして書くと当たり前のことなのですが、昔の私はこれを実践していませんでした。自分が書きたいと思うことを書きたい。その欲求が強かった私は、頭ではわかっていても、需要ファーストで情報発信をしようとは思わなかったのです。

その結果どうなったか。自分ではいいことを書いているのに全然読まれない──そう感じて苦しむことになりました。

ただし、需要だけを考えて記事を書くという意味ではありません。たとえばAIが今話題になっているからといって、AIについて全然くわしくないのに記事を書くのは困難でしょう。こうした情報発信の仕方をしていたら、長く続けられません。

何度も言うように、情報発信は継続することを一番に考えるべきです。そのためには自分が楽しく取り組めることを意識することが大切です。ここで書いたように、需要ファーストでコンテンツを作る姿勢は大切です。しかし同時に、自分が書きたいことを書いてもいいのです。

では、どうすれば社会の需要と自分が伝えたいことを両立できるのか。先ほどの目標未達の記事を例に説明しましょう。

「需要」と「伝えたいこと」を両立して発信する方法

別の方が書いた目標未達の記事を読んだ時、私が最初に感じたのは「そもそも上司にこんなことを言われてる時点でダメなんじゃないか?」でした。簡単に言うと、部下自身がこまめに上司に報告をしていて、指示されたことを適切にこなしていれば、たとえ目標未達でも上司から何も言われないはず。そう思ったわけです。

私はこのことを伝えたいと思いました。そうして記事を書くことにしたのです。ここでのポイントは、書くテーマは需要ファーストが起点にはなっているものの、同時に自分が伝えたいことも書いているということです。

需要ファーストと、伝えたいことを書く。この2つが両立しているのがわかると思います。

需要ファーストだけだと、先ほど書いたように楽しく書けません。両立することで楽しく書くことができるのです。需要を起点に自分が伝えたいことをコンテンツにする。これがたくさんの人に見られるコンテンツを作るベストな戦略だと私は考えています。

コンテンツを作る4つのステップ

私がコンテンツを作る際の手順・プロセスは次の通りです。参考までにご紹介しておきます。

ステップ1:話題になっているテーマを探す
ステップ2:その中で自分がくわしい、または興味があるテーマを選ぶ
ステップ3:その話について「専門家として言えることがないか」を考える
ステップ4:「おもしろく、うまく伝えることができるか」を考える

重複する話はさらっと触れるにとどめながら、一つずつ説明します。

●ステップ1 話題になっているテーマを探す
Yahoo! ニュースや Facebook、XをはじめとしたSNSをチェックして、今が旬の話題になっているテーマがないか、常にアンテナを張っておきましょう。「需要ファースト」の「需要」を見つける。これが最初のステップです。

●ステップ2 その中で自分がくわしい、または興味があるテーマを選ぶ
話題になっているテーマの中で、「この話は自分の得意分野」「興味をもっているテーマだな」というものがあれば、それに着目します。これが記事のネタになります。

●ステップ3 その話について「専門家として言えることがないか」を考える
ネタが決まったら、次はたとえばテレビのワイドショーでそのことについて「専門家としてどうですか?」と話を振られたらどう答えるか、考えてみてください。

この手法は私が執筆指導を受けている中嶋よしふみさんから教わったものなのですが、とても効果的です。

先ほど紹介した目標未達の記事の際もこの手法を活用しました。記事について私がコメントを求められたら「そもそも上司にこんなことを言われないようにすべきですよね」と答える。そう思いました。私はこの考えを切り口にして、記事を書いたわけです。

この問いの素晴らしいところは、自分にとっては当たり前でも、他人にとってはそうではない考えを自然と引き出せることです。

●ステップ4 「おもしろく、うまく伝えることができるか」を考える
最後に考えなければいけないのは「おもしろく伝えられるか」です。たとえばおもしろいストーリーやエピソードを紹介できるか。他人が納得できるようにロジカルに説明できるか。こうした点を検討します。

ここで紹介した4つのステップを、情報発信の際にはぜひ活用してみてください。はじめからうまくいくとは限りません。しかし、練習を重ねていけばコツをつかめるでしょう。

そうすればたくさんの人に見てもらえるコンテンツを簡単に作れるようになるはずです。

滝川 徹(時短コンサルタント)
1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。

【関連記事】

まずはブログ200記事書くための、楽しく続く情報発信のコツ(滝川徹 時短コンサルタント)
副業講師は誰でも今日からはじめられると言える理由 (滝川徹 時短コンサルタント)
「過剰なインプット」は人生からの逃避行動だ(滝川徹 時短コンサルタント)
本業の時間を減らして副業の時間を作るシンプルな方法(滝川徹 時短コンサルタント)
いつ・どこで・どれくらいやるかを決めれば、習慣化はうまくいく。(滝川徹 時短コンサルタント)


編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月12日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。