自民党政治って、なに?②

党大会で演説する岸田文雄首相
自民党HPより

(前回:自民党政治って、なに?

岸田総理の戦略

今回の東京都知事選は、自民党から直接出馬しないことで、与野党が混ざり合った形で小池都知事の3選を応援する形をとった。恐らく、小池都知事への直接支援に都議会議員や国会議員が参加することはないと考えられる。

岸田総理は、今国会終了にあたり21日の記者会見で、生活者支援を打ち出したが、これは、国会会期末を待っての方策だろう。つまり、野党は国会論戦で岸田政権を批判するチャンスを失ったことになる。これは狡猾な岸田総理の戦略の故だ。

そもそも政権を奪ったことが無いから比較するのは難しいが、旧民主党にしても、このような政権が出来ることの範疇を理解していない野党が政権を握ると、政策の打ち出し方にも、タイミングを間違えることが往々にしてあるだろう。

例えば、テレビクルーを引き連れて被災地に行き、カメラが必要なシーンを撮ればさっさといなくなったどこかのクズ総理のようなことが起きる。そもそもバカだから、それらシーンの前後も切り取られてネットの海に半永久的に漂い続けるということも理解できてない。

与党であること、政権としての責任を担い続けることを大前提として、自民党は常に数歩先のことを見据えているのだが、立憲民主党をはじめとする野党は、残念ながら政権をとることに固執し過ぎるが故に、野党としての批判体質が染み込んでいる。

その意味で、現在の東京都知事選挙は、仮に小池百合子候補と蓮舫候補の一騎打ちだとしても、その差は歴然としている。蓮舫氏には、責任を担う人間の重厚さが欠けているのだ。年齢的に若いということもあるだろう。ただ、大前提として、自治体の首長ですら政局と絡める体質が染み込んでいるから、選挙公約にしても、大いにピントがズレてしまっている。また、蓮舫氏は、自民党の本質をまるで理解していない。小池氏が自民党と縁を切るわけないじゃないか。

その辺は、元衆院議員の宮崎タケシ氏が、実にその本質を突いた見解を示している。

小池百合子候補が八丈島で第一声を上げ、翌日は奥多摩へ行く。この意味をリベラルの論客たちはまるで理解せず、的外れな評論ばかりしています。これは自民の推薦を蹴り、自民の地方議員と対立してきた小池氏が、自民支持層を直接囲い込もうとするイデオロギー上の大戦略でしょうに。自民の本質は農山漁…

何故、今の野党の中でも特に旧民主党系議員が議席を確保し辛いかは、誠に明らかだ。

自民党の本質を理解しないでイデオロギーで政治を語るから、有権者の思いと齟齬が生じている。そのキモの部分を今の野党はまるで分かっていない。

自民党とは、巨大な地域政党なのだ。確かに、若い世代に立憲民主党のようなイデオロギー偏重の語り口は耳障りはいいだろう。だが、立憲民主党や日本共産党ほど国民生活に乖離した政党はない。いかにも国民生活重視と言ってるように聞こえるが、彼らが具体策を講じることがあっただろうか?

その国民との温度差が、旧民主党の体たらくだったのだ。そりゃ、政権の維持など到底、出来るわけはない。要するに理想主義で、全く現実を理解していないのだ。

自民党の本質とは何か?

筆者は以前から自民党こそが、日本における唯一と言ってもいいリベラル政党だと言ってきた。その理由は、自民党とは徹底したリアリスト集団であるということと、リアリストの反面で日本に理想的な社会主義国家を実現しようとする長期にわたる構想を持ちながら政権を維持してきた点を見ておく必要がある。

戦後、GHQの支配下にあって日本の統治のあり方は如何にあるべきかについて、地政学的に見て共産主義国家の影響をまともに受けることはアメリカのみならず日本国内の政治家は容易に想像できたに関わらず、何故、日本が共産主義国家にならなかったかと言えば、それは、島国である日本の国民性によるところが極めて大きい。以前も触れたが現在の共産主義国家の最初の胎動はヨーロッパであったが、中国共産党に極めて大きな影響を与えたのが、日本の共産主義者だ。

ヨーロッパで生まれた共産主義を、思想的に学問的な面でアジアにふさわしい形に変容させたのが、日本の碩学たちであった。中国共産党はその影響を受けているに過ぎない。

また、朝鮮半島の社会主義思想も、ソヴィエト共産党の影響下であったと言われているが、朝鮮半島の人々の学問の点で下支えしてきたのが日本だ。その礎があったからこそ、朝鮮半島でチュチェ思想(主体思想)をでっち上げることが可能となった。あんなものは、朝鮮半島発祥などではない。後からこじつけられたに過ぎないのだ。

話を元に戻すと、良くも悪くも日本は自民党政治の国なのだ。その背景には怪しい陰謀論など存在せず、日本人の国民性の政治的具体化が必然的に自民党政治に帰結したに過ぎず、また、その国民性により、結果的に最も理想的なリベラルで社会主義的統治機構を持ちながら自由が保証された国家を形作っていったのだ。ここが分からないと、日本における自民党政治は理解できない。

アメリカが何故、日本を最重要な同盟国と位置付けているか?のポイントがここにある。つまり、アメリカは自由と平等が相剋する二大政党制、共和党と民主党が互いに影響を与えながら今のアメリカを作ってきた。

その共和党、民主党の双方と良好に付き合えるアジアで最も重要な国であり、且つ、地政学的に見ても共産主義と対峙する最重要な位置にあるのが日本であり、仮に自民党政治が無ければ、今のような世界最強の日本とアメリカの同盟関係は存在しない。これは歴史が積み上げた必然だ。

繰り返すが、今の日本の野党がアメリカとの同盟関係を維持できるとは思えない。立憲民主党をはじめとして、革新系政党は社会主義国家、共産主義国家に親和性が高い。これは、革新系と言われる政党の多くが社会主義と共産主義をその起源とするからだ。

左派政党の多くが資本家と労働者という対立関係を意図的に作り出し、自分たちは労働者の味方であり、労働者の代弁者であるといい加減なことを言う。そもそも、本当に労働者の代弁者であるなら、日本国民の大多数が労働者なのだから、もっと支持率が上がっても良さそうなものだが、事実は全く逆だ。それは、左派政党は須く底の浅いポリコレ体質だからであって、有権者の方がとっくにその本質を見抜いている。

以後、

・解散時期

続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。