バンコクで富裕層が住むならどこ?バンコク日系不動産社長にインタビュー

タイの首都バンコク、出張や旅行の目的地としてだけでなく、移住先としても人気が高まっています。

移住先としてバンコクを考える場合、どのエリアのコンドミニアムを借りる、あるいは、買うのが良いのか?バンコクの日系不動産会社「心友不動産」の北浦社長に話をうかがいました。

心友不動産 北浦社長

住む場所に悩むならスクンビット通りエリア一択

――バンコクのどこに住むべきか悩んでいたら、どこをお勧めしますか?

北浦社長(以下、敬称略):日本人在住者の一番人気はスクンビット通り周辺ですね。駅を挟んで両側に2つの大きなショッピングモールが立つプロンポンを中心にしたこのエリアには、日本人向けのスーパーマーケット(フジスーパー)、日本人向けレストランが揃っています。また、お子さんと一緒にお越しの場合、お子様の習い事(学校のスクールバス、塾などの習い事)など、必要なものが揃っています。

――タイ人にとって、スクンビット通り周辺は、どういうイメージなのでしょうか?

北浦:若くて収入・資産のあるタイ人がスクンビット通り周辺に集まってきています。これまで、バンコクの中心地は、サイアムやシーロムでしたが、スクンビット通り周辺は勢いのあるエリアとして見られていますね。

スクンビット通りエリアは、駅ごとに個性的

――スクンビット通りには、BTS(高架電車)スクンビット線が通っていますが、日本人の多いエリアでいうと、何駅から何駅でしょうか?

北浦:地下鉄との乗換駅のアソーク駅からスタートして、プロンポン駅、トンロー駅、エカマイ駅、プラカノン駅、オンヌット駅。このあたりが、日本人エリアと言ってよいでしょう。

タイ国政府観光庁、タイ観光案内サイト「バンコク路線図」より一部加工。
※赤い線で囲ってあるのがスクンビット通り周辺

――駅ごとの雰囲気はどんな感じでしょうか?

北浦:アソーク駅は、駅直結のショッピングモールやホテルもある中心地で、駅の近くに歓楽街もあるから、新宿のイメージですね。

――その例え、分かりやすいし面白いですね。

北浦:プロンポンも、駅直結のショッピングモールがある中心地で、渋谷でしょうか。そして、トンローは、三宿とか三軒茶屋とか恵比寿のイメージ。駅前というよりも駅から離れたところにオシャレな店が多く栄えています。エカマイは、あるデベロッパーが「トンローの妹」という表現をしていました。トンローの後を追うように栄えてきた、トンローに似たオシャレな店の多い町です。その一方、駅前にスーパーマーケットもありますから利便性も高いですね。次のプラカノンも徐々に栄えてきていますが、プラカノン以上に次のオンヌットがCP財閥による再開発もあって将来栄えてくるでしょう。吉祥寺のようなイメージになりそうです。

エカマイ駅直結のショッピングモール内には日系の飲食店も多い
筆者撮影

スクンビットでどういう物件に住むか?約6万円で節約するか、100平米以上の豪邸か?

――お子様と一緒に住む方には、どこがお勧めですか?

北浦:日本人小学校のスクールバスが来るのは、アソーク~プロンポン~トンロー~エカマイまでなんです。ですから、お子さんと一緒に住む駐在の方は、アソーク~エカマイに住む方が多く、塾などの習い事もこのエリア、とくにプロンポン駅の近くに多いです。ですから、お子さんと一緒にいらっしゃる方は、アソーク~エカマイが便利でしょう。

――お子さん連れですと広い部屋に住みたい方が多いでしょうが、広い部屋もありますか?

北浦:プロンポン駅からトンロー駅にかけては、全部屋100平米以上というコンドミニアムもあります。Vittorio(ヴィットリオ)やMarque Sukhumvit(マルク・スクンビット)です。このエリアのコンドミニアムで100平米以上の部屋を借りると、家賃は12万バーツ前後(約50万円)からになります。

――プロンポン駅の近くは便利ですね。3、4駅ほど離れて、プラカノン駅とかオンヌット駅あたりまで行けば、100平米以上の部屋も安く借りられますか?

北浦:離れると、100平米以上の部屋がめっきり少なくなりますが、逆に家賃が下がり、また、コンパクトなお部屋が増えてきます。

――逆に、単身者がバンコクに移住する場合など、どれくらいの値段からありますか?

北浦:スポーツジム・プールの付いているような、きれいなコンドミニアムで、BTS(高架電車)オンヌット駅あたりの利便性の高い場所あっても、Studioの狭い部屋であれば、14,000バーツ(約6万円)からあります。

スクンビット線=黄緑色のE4からE9が日本人の多いエリア
タイ国政府観光庁のウェブサイト掲載の路線図を一部拡大

高級ホテルが運営する高級コンドミニアムという選択肢

――富裕層の方、事業を売却した方など、バンコクでゆったりと豪華な生活を送りたいという方もいらっしゃると思いますが、そうした方向けのコンドミニアムはありますか?

北浦:そういう方には、高級ホテルが運営するコンドミニアムが良いでしょう。メジャーなところでは、リッツカールトンが運営するもの、フォーシーズンズが運営するもの、マンダリンオリエンタルが運営するものがあります。いずれも、日本人駐在者の多く住むスクンビット通りエリアではなく、金融の中心地のエリア、高級ホテルの多いチャオプラヤ川沿いにあります。

――BTS(高架電車)のチョンノンシー駅に近いリッツカールトンは別として、あとの2つは、必ずしも交通の便が良いとは言えなさそうですが。

北浦:たしかに交通の便はそれほど良くないでしょう。でも、富裕層の方は毎日通勤する訳ではないでしょう。チャオプラヤ川沿いで開放感があり、ゆったりとした生活をおくるのにはぴったりだと思います。

――家賃はいくらくらいですか?

北浦:リッツカールトンやフォーシーズンズであれば、125平米くらいの部屋が15万バーツ(約65万円)くらいから、マンダリンオリエンタルであれば140平米くらいの部屋が25万バーツ(約105万円)くらいからです。

高級コンドミニアムを、借りるのではなく買う!

――家賃にそれだけ払うのであれば買ってしまおうという方もいらっしゃいますか?

北浦:結構いらっしゃいます。約120平米の部屋が約2億5000万円からの値段で買えます。新築時からの値動きを見ていて、価格は下がらないです。ですから、買ってから自分で数年お住まいになり、売却するというのも十分ありだと思います。

――高級ホテル運営というほど高価なものでなくても、コンドミニアムを買う方はいらっしゃいますか?

北浦:もちろんいらっしゃいます。バンコクでは、三菱地所、野村不動産、東京建物、住友林業、阪急阪神不動産など日本のデベロッパーがタイのデベロッパーと共同で開発しているコンドミニアムが多いです。日本のデベロッパーが関与している物件であれば、日本の富裕層の方にも安心感があるのではないでしょうか?

――日本と少し違うなという特徴はありますか?

北浦:日本では高層になるほど値段が高くなり、低層階になるほど安くなりますが、バンコクではそれほどの差はありません。しかも、高層階やペントハウスは賃貸に出してもテナントが付きやすく、売却するときにも高値での売却がしやすいです。ちょっとした値付けのバグですね。購入されるならば、高層階かペントハウスがお勧めです。

リッツカールトン運営のレジデンスは、金融・ビジネスの中心街のランドマーク

インタビューを終えて

バンコクは日本人が多く住む都市。日本人駐在者の多いエリアで利便性を取るか、チャオプラヤ川沿いで優雅な生活を取るか。バンコクの懐の深さを感じるインタビューでした。