話題の兵庫県斎藤知事の「折を見てお願いします」。ある意味どうとも取れる言葉です。日本語の難しいところで地方によりその言葉のニュアンスが変わる場合もあります。立場の点では例えば県を挙げてワインを売るならば試飲程度のワインは飲ませてもおかしくありません。また日本人の会話に於ける期待値の観点からワインの話をされて「そうですか」で終われば説明した方もつまらないでしょう。飲食関係では試食するのが当たり前だけどアルコールなので控えざるを得ないとすれば「折を見て…」の話は盛り上がり過ぎ。結局それよりも齋藤知事の人間力が足りないから我慢していた層が爆発しただけでマスコミがそれに乗じただけではないでしょうか?
では今週のつぶやきをお送りします。
トランプ氏が招く市場混乱
市場関係者は神経質になっているでしょう。トランプ氏の1時間半に及ぶ大統領候補受諾宣言のスピーチ、およびその前に公開された6月下旬のトランプ氏の政権運営プランはかなり具体的であると同時に一部には矛盾もあるし、本当にそこまで極端に針が振れるのか、という疑心暗鬼もあります。ただ、私がトランプ氏を画像を含めて拝見する限り、今回の様子は前回選挙のドタバタ劇とは打って変わって貫禄満点なのです。自信に満ち、絶対的な確信をもって物事に進んでいく迫力を持っており、ひょっとするとすさまじい構造変化を起こす起爆になる可能性すら秘めている気がします。
そのスタンスには西高東低ならぬ「東高西低」。これは西海岸が主力のナスダック上場企業から東部の伝統的企業へのマネーのシフトであります。今週前半から中盤にみられたダウ指数の大躍進とナスダック指数の低迷は好例でしょう。またドルが高すぎるというトランプ氏の思惑はまさかアメリカが近隣窮乏化をするとも思えませんが、日本や台湾、韓国との経済不均衡は不満でしょう。一方でドル円を見ると一時期の衝撃からじわりと円安の流れに戻りつつあり、こちらも売り方買い方が激しい攻防となっているようです。
市場が読めない時は休むに限ります。今後、大統領選に向け様々な衝撃的発言に市場は右往左往することも予想されます。ボラティリティが上がると個人投資家は多くが振り落とされる運命にあります。バイデン氏の民主党大統領候補からの撤退発表も近いうちにあり得る状況ですが、その場合、ハリス氏が大統領候補となるわけでしょうからトランプ氏と勝負にはならないと思います。市場関係者は戦々恐々としながらどれほどのギアチェンジが必要か探り合いが続くことになりそうです。
体操、宮田選手の代表はく奪は妥当か?
著名人から一般人まで含めて議論となっている体操日本の代表、チームリーダーでエースでもあった宮田笙子選手が飲酒に喫煙をしていたことが発覚、代表を取り消され、合宿地のモナコから既に帰国していると報じられています。19歳という年齢が引っ掛かっているわけです。厳しすぎるという意見と当然という意見がぶつかり合っています。
お前はどう思うか、と言われれば厳格派なので「残念だけど今回はだめね」ということになります。理由は至極簡単。規律です。仮に宮田選手だけを許すと後で似たような事件が生じた時に「あの時は…」という前例を作ることになります。それこそ、最近あちらこちらの大学運動部で起きている大麻事件もストレス発散の一環が理由ですが「しょうがないな」という判断ができますか?話が飛躍しているだろうと指摘されると思いますが、判断基準はあらゆる事象から検討する必要があり、日本代表の重圧があるならルール違反をしてもいいわけではないのです。
ではお前はどんなこともルール通りにしているのか、といえば私は相当いい加減です。社会のルールが多すぎるからで、たぶん1日数回のルール違反は知らないうちにしているでしょう。多くがJ-Walkと称する信号待ちせずに交差点を渡るケース。車や自転車を日常運転する方ならもっとあるでしょう。ではお前は良くて宮田選手はだめなのか、といえば私が良いわけではなく、それをとがめられても致し方ない認識があるということです。ということは宮田選手もストレスに耐えられなくなって飲酒や喫煙をした時点でとがめられるリスクを背負ったということです。よって外野がどうこう言うものではなく、本人の意識とリスクテイクの問題だと思います。
SF映画もどきの「ブルースクリーン」障害
マイクロソフトが採用しているセキュリティ対策のクラウドウェア社製ソフトウェアの不具合が発生、世界で飛行機、鉄道、銀行、証券などあらゆるところで機能不全に陥りました。クラウドウェア社は既に根本問題が判明、問題を切り分け修正プログラムが出ているようなのでいづれ収まると思われますが、大規模障害はついにこのレベルにまで拡大するのかと思うと今後も進化する社会においてアナログとデジタルを使い分ける必要は大いにあるという警鐘にも見えます。
私は経営情報全てをパソコンに預けておくことが経営者として必ずしも正しいことだとは思っていません。確かにクラウドベースでのデータ保存は多いのですが、自分のパソコンに取り込んでいるデータもあるし、いまだに紙にしてファイルしているものもあります。私の日本の会計士は決算期の度にCDにデータを焼き付けてそれを保存用データとして送ってきます。経理のデータは一度なくすと取り戻せません。これは経理をやっている人間ではないとこの重要さはわからないわけで安価で出来るCDのデータは情報の保険として極めて意味があることです。
私がいつもリスキーだと思っているのは携帯電話です。ほぼすべての人が生活の為というより記憶、処理、通信、画像といった人間の頭脳が本来持っていたものをあの小さな端末に全部預けている点です。携帯が無くなったら生活できないという人はいくらでもいるでしょう。私は何ら問題がありません。それは携帯がなかった時代を当たり前に過ごしていたからです。その点、今の50代から上の人は耐性があるはずですが、それを維持する覚悟は重要でしょう。カドカワのように企業ベースでは残念ですが、何か混乱が起きたらなすすべもない状態に陥るのでしょうか?これは夏のホラーより恐ろしい話です。
後記
海に浮かぶ事務所を作るために業者の工場視察に行ったのですが、バンクーバーのはるか北の島にあるため、朝6時半のフェリーに乗り、戻りのフェリーが着いたのは夜の8時半と一日がかりでした。その会社は海上施設建築ではカナダ西海岸では圧倒的に大きな会社で、それこそ三菱商事などが絡む液化天然ガス輸送基地の海上施設も作るような会社です。そこで見たのは工場制作と海上輸送の組み合せで、当地では将来モジュール住宅の普及も検討される中で、船で運べばずいぶん応用範囲はありそうで高コストの在来工法に対抗するオプションになりそうだと改めて感じたところです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月20日の記事より転載させていただきました。