若者のリアル!親子の葛藤と成長ストーリー

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文部科学省の調査によると、令和3年度の高校中退者数は38,928人、中退率は約1.2%です。そのうち、進路変更がもっとも多く、35.3%、学校生活・学業不適応が34.2%となっています。

15歳の叫び あんな大人になりたくない」(松谷咲 著)みらいパブリッシング 

親の思いは伝わりづらい

ある日のこと、松谷さんは母と少しだけ喧嘩になります。学校を辞めた理由のひとつとして、「母親の勉強へのプレッシャーが大きかったから」と言ったことが原因でした。

「『あなたには、勉強をさせるために私立に行かせたのではなく、自由な環境、いろんな人を見て欲しかったから』と伝えられました。よくよく思い出せば、そうだった・・・・・。 幼い頃の記憶は曖昧になる。母には、このように子どもに良い教育を受けさせたい、という思いがあったので、私は私立小学校を受験することになりました」(松谷さん)

「保育園では、とてものびのびと遊び、虫を食べていたり、パンツ一丁で駆け回ったり、THE野生児という感じで過ごしていました。 そんな5歳の野生児に、お受験のためだからと、いろいろなことを暗記させるのは本当に大変で、勉強は母と私のチームプレイだったと思います」(同)

毎日、塾に通い、その成果もあって私立小学校に合格します。ところが、お金持ちの人が通うような小学校だったので、とても窮屈に感じたそうです。

「小学3年生になった時、中学校は私立に行くことを条件に、公立小学校へ転校させてもらえることになりました。転校先の小学校に慣れることに時間はかかりませんでした。 そして、親友と呼べるRという友達に出会うことができました。しかし、Rと遊んでいた私が、髪を染めたり、ピアスを開けたりし始めたため、母に、『もうこの子とは遊ばないで』と何回も言われました」(松谷さん)

「今では、母はその子を気に入っているのですが、小学校で一番辛かったのは、自分が一緒にいたいと思う子とも遊べない、友達のことを母にけなされる、ということでした。そんなことで友達との関係を絶つわけもなく、反抗し続けて遊んでいました。今でもそうですが、私は友達がいないと本当に何もできません。そんな大切な友達を悪く言われ、何度も母と喧嘩しました」(同)

17歳のリアルとは

書店には「生き方」の本がたくさん陳列されています。しかし、それらの多くはリアリティに欠けています。松谷さんのようなティーン世代がどのように感じ、どのように自分の道を切り開いていこうとしているのか? それらを大人が理解することは簡単ではありません。

17歳といえば多感な時期です。本書は、子育てをしている親御さんや学校で「先生」と呼ばれている人たちに読んでもらいたいと思います。本質に触れることで、何かを感じるのではないかと思います。

悩みを抱えていない子供もいないと思います。お父さんや、お母さんの言うことだけを聞いているいい子ではなく、ちょっと壁にぶち当たっている人にもおススメしたい一冊です。

今回、初出版を実現した、松谷咲さんの輝かしい前途を祈念します。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)