嫌われる老害にならない3つの対策

黒坂岳央です。

誰でも年は取ることは避けられない。だが同じように年をとっても、好かれる老人と嫌われる老人にわかれる。どうすれば老害と疎まれないだろうか?その答えはシンプル。ネットでもリアルでも老害に抵触する行動を見かけることがあるので、その逆をすればいいのだ。

老害行動は一言でいうと「老化現象」である。脳の前頭葉が萎縮し、感情のコントロールができないので怒鳴りつけたり、空気を読まずに相手のことはおかまいなしに話し続けたりしてしまう。だからこの老化を意識をして行動すれば、老害は自然に防止できるのだ。

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1. 未知の体験をして学び続ける

老害の特徴は不安や自尊心の欠如から、自分の持っている知識や経験を過大評価し、他者を上から目線でダメ出しをして自分の優位性を認識したいという欲求に駆られてかのような行動を取る。その一方で、時代の流れでなんとなく自分でもかつて栄光を放った知識や技術もくすんでいくことを感じており、その不安を強く否定したくて老害行動に走ってしまうのだ。

対策は簡単、常に新しく学び続けることである。一番いいのが自分の仕事に関係するスキルアップだ。どんな分野の仕事でも極める状態には到達することは難しい。いくらでも勉強をして学ぶべき対象がある。

それ以外に直接的でなくても、間接的にレベルアップできるスキルだ。最近では生成AIだろう。デスクワークに携わっている人なら、生成AIの影響を一切受けない人は少ないだろうから、書店に置いてある技術書やYouTube動画で紹介されている技術をなぞって自分に取り入れればいい。

未知の体験は才能の脳トレになる。お年寄りの中には計算ドリルや漢字ドリルなど、すでに熟練していることをなぞる形で頭を使おうとしがちだが、それをするよりこれまでやったことがない挑戦をする方がメンタルにもいい。

なぜなら新しい分野となれば、誰もが一年生である。勉強をすれば、「この教師は立派なスキルを持っていて尊敬できる」とか「自分もまだまだ知らない事が多い」と謙虚な姿勢を取り戻すことができるだろう。

2. 教えるより教わる

自尊心がない人ほど、他者より上に立ちたい欲求を持っている。そうした気持ちが「教えたい」という行動になって現れる。結果、「あの人はこういうところがダメだ。自分の若い頃は…」といった上から目線のダメ出しをしてしまう。

現在、パリオリンピックが盛り上がっているが、若い選手にえらそうにダメ出しばかり投稿したり、その他にもとにかく文句をつけてまわるタイプは完全に老害である。「では文句をつけるあなたはワールドクラスの何か実績やスキルはお持ちですか?」と問われれば答えに窮するだろう。そうした周囲からの冷ややかな反応に耳を傾けられないのも、一つの老化現象と考えたほうがいい。

そこで対策としては年を取るほど意識的に「教わる立場」でいることだ。多くの人は教わるより、教える方が気持ちよく感じる。自分がえらくなった感覚になるし、相手から感謝されれば自己愛も満たせる。自分は子供の成長も考えて、あえて「パパはこれがわからない。教えて!」と生徒役になることがある。そんな時、子供は嬉々として丁寧に細かく教えてくれる。

教えてもらったら「ありがとう」とお礼をいえば関係は良好だし、「その後は大丈夫そうですか?」と相手から気にかけてもらえるだろう。えらそうに上から目線でダメ出しばかりするより、周囲から愛されるのは間違いない。

3. 自分で機嫌を取る

老害は常に不機嫌で、イライラや怒りの表情を隠すことなく全面に出してしまう。これは自分のご機嫌を他人にとってもらう未熟な子供のようであり、「自分のご機嫌は自分で取って当たり前」という本質を欠いた態度だ。本来は対等な人間関係であるはずが「お客様」という扱いを求めるなら、当然、周囲から嫌われてしまうだろう。

そこでおすすめは自分のご機嫌を取るスキルを身につけることだ。もちろん、生きていれば嫌なことはたくさんある。でも感じるに任せていれば、不機嫌な老人の出来上がりだ。

1つ目は徹底的な自責思考だ。まずは解釈を変えることを勧めたい。イライラすることがあったらすべて自分の責任で考える。本来は他責でいいと考えるようなものも、一旦自分の責任で解釈を試みるのだ。

自分がサラリーマンだった頃、東京の満員電車で喧嘩をする人がいた。駅のホームで激しく口論をする様子も何度も見てきた。駅員さんに混雑のイライラをぶつける人もいた。たとえばこれを自責で考える。「自分がスキルアップをして年収を増やして、会社から徒歩圏内の物件に住むかリモートワークができる仕事へ転職をすれば満員電車に乗らずに済むかもしれない。もしくは独立して今流行りの地方移住はできないか?」と今の自分を高める方向で改善策を検討するのだ。

実現するのは簡単ではないが、やる前に「できるわけがない」と決めつけるのはもったいない。うまく処理すれば、今の自分を高めたり、変化させるきっかけになるだろう。自分自身、サラリーマンをしばらくやって合わないと感じて年単位で準備をして独立をして地方移住したし、今どきはそのハードルは昔ほど高くはないと感じる。工夫すればやりようはいくらでもある。

2つ目はイライラした時の対処法を持つことだ。イライラしたらそのストレスを解消しに行く人がいるがそれはあまり勧められない。友達に愚痴ったり、立場の弱い人にぶつけにいったり、お酒を飲むのはやめておくほうがいい。

一番効果的なのはイライラした瞬間にその日はすぐ寝てしまうのだ。自分はこれを意識している。気分が高揚した時に誰かに連絡を取ると攻撃的になってしまいかねない。特に話を聞いてくれるような大事な人に怒りをぶつければ、その大事な相手から嫌われてしまう。だが寝る効果は抜群だ。寝起きで就寝前の怒りのレベルを維持できる人は皆無である。

もしも気分が高まって眠れないなら、へとへとになるまで運動をすればいい。有酸素運動をしてシャワーを浴びて部屋で過ごせば気絶するように眠れる。現代人はメンタルは酷使するが、運動不足で体力が残っているので寝付きが悪い。

メンタルを激しく毀損するまであれこれ考えてしまう理由の一つは、体が元気すぎるからだ。しっかり運動をして体力を削ってしまえば、細かいことは気になる余裕もなくなるし、健康にもいいので一石二鳥である。自分はパーソナルジムに通うようになって、夜はベッドに横になったら5秒で眠れるようになった。うじうじ細かく悩む余裕がないのは精神的にはいいことなのだ。

自分が老害化していないか?を確認するバロメーターとしては年下との距離感である。若い人ほど、老害に敏感である。自分は日頃から自分の、よその子供と会話する機会が多いのだが、今のところ子供たちは自分を慕ってくれているし、会社のZ世代の若者からも「会社の奢りで飲み会やってくださいよー!」と何度も相手から言われるので、今のところはおそらく大丈夫だ。仮にこの風向きが変われば、自分自身も身の振り方を再考するタイミングだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。