黒坂岳央です。
ボストン大とミシガン大の共同研究によると、「人生を大きく左右するビッグイベントの8割は35歳までに起きる」という。臨床心理学者メグ・ジェイ氏もTEDでこのテーマについて語った。これは人生の大部分は若い時期にある程度固定化されるという示唆でもある。
その一方で、「人生に遅すぎることはない。今からでも変えられる」という意見もある。どちらが本当なのだろうか?
今の20代は昔の30代ではない
メグ・ジェイ氏のTED講演では「社会通念的には今の20代は昔の30代のようだ。寿命も健康も伸び、若い時期も伸びたという印象がある。しかし、実際は違う。今でも20代の生き方はその後の一生の人生を決めてしまうインパクトがある」という話があった。
20代の時期は誰しも、まるで若い時期が永遠に続くかのように錯覚しがちだ。「30代になれば、会社で役職を得て結婚、子供を持ち、一戸建てを持っているのだろう」そのように漠然と考えて、ぼんやり過ごしてしまう人もいる。だが、実際にそれが手に入るのは20代の内に手に入れるための具体的行動をしたものだけだ。35歳を過ぎて腰を上げても、もはや手に入れる難易度は同じではなくなっている。
「生き方」は若い時期で決まる
未婚と既婚、子の有無でそれぞれ人生の生き方は全く違う。自分自身、結婚をして生活のすべてが変わったし、子供を持った日からはもはや別の人間の人生を歩むような感覚になり、過去の人生すべての経験を振り返っても、これほど劇的な変化が訪れたことはなかった。一度煮た魚が生魚に戻ることがないように、この変化は不可逆的であり、もはや独身時代の自分の感覚には二度と戻ることはないと思わされる。実際そうだろう。
また、20代までの「生き方」「人生インフラ」はその後の人生の生き方に直結する。行動力やリスクテイクについての考え方が40代を超えて大きく変わる事例はそう多くない。人生を激変させるようなビッグイベントは35歳までに消化している。子供の有無で仕事や住む場所、付き合う人なども大きく影響を受ける。
そうなると、35歳以降は生き方について質的な変化が起きず、能力や知識、技術をHDDに書き込みをするような類の拡張型の能力開発で人生を生きていくことになる。あくまでHDDの性能を決めるCPUやメモリ、マザーボードの能力、デスクトップか?ノートパソコンか?といったHDDの性能に影響する環境が決まってしまっている中でパフォーマンスを出すイメージだ。
人生に遅すぎることはない!…でも
確かに生き方や人生インフラは若い時期で決まってしまうかもしれない。だが、それでも自分の信条としては「人生は何歳からでも変えられる」という考えである。今もこの考えに変わりはない。
自分は英語を教えているが、60代半ばから勉強を始めた人が、最後には英検1級合格するケースも見ている。また、自分の知人経営者は50歳間近で会社を起業し、60代で資産が数億円に到達した人がいる。彼は起業するまで年収300万円ほどだといっていたので、まさに劇的な変化だ。
しかし、冷静に考えればこうした人達も「生き方」は若い時から大きく変わっていなかったのではないか?という仮説はあり得る。早くから芽が出なかったのは、単に始めるのが遅かっただけで、もっと早くやっていれば結果も前倒しになったはず。つまり、遅咲きの成功者はたまたま成功する性質の持ち主が、始めるタイミングが遅かっただけと言えるかもしれない可能性はある。
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そうなると結局は「何歳からでもやってみないとわからない」と答えに帰結する。結局、今すぐやらないと何もわからないのだ。しかし、自分の生活インフラは固定化された条件下で頑張る必要がある。
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