黒坂岳央です。
世の中には生き方や仕事術の「速度」についていろんな意見がある。「自分のペースでゆっくりとやれ」という人もいれば、「世の中の求められる速度でこなせ」という人もいる。結論的にはそれぞれの文脈や条件下で答えは変わるが、その中でも自分が勧めたい考え方がある。
それは「前倒しで進める」ということだ。これこそが最大公約数的に多くの人にフィットするやり方ではないかと思っている。
焦らず遅すぎず、でも急ぐ
過去記事で何度か取り上げている話に「現代人は集中力と忍耐力がなく、焦り過ぎで本来は長期的視野に立って取り組むべきことを短期的視点で解釈するので失敗することが少なくない」ということを取り上げた。
この例はいくらでもある。本来は10年、20年の長期投資で始めたはずが数時間、数日の値動きに戸惑って底値で売ってしまう。また、1年、2年で取り組むつもりで始めたお稽古をたった数日で投げ出してしまう。最も失敗と挫折に直結するのは焦りの気持ちである。
しかし、かといって自分の好きなペースであまりにのんびりとやるのも勧められない。特に仕事など他の人を巻き込む場では迷惑をかけてしまうし、一人社長とかフリーランスでも仕事は遅い人は市場から評価されない。
そこでおすすめなのが焦らず、遅すぎず、しかし「できるだけ急ぐ」という考え方だ。これが冒頭に述べた「前倒しする」ということにつながってくる。
前倒しに後悔なし
まず、現時点である程度余力があるからこそ前倒しができるという前提がある。「元々は来週やろうと思っていたので、時間的余裕がある。来週まではダラダラ過ごそう」と考えるのではなく、できるならドンドン前倒しをして来週の仕事を今日やってしまうのだ。
前倒しにはたくさんのメリットがある。まず仕事が早いとクライアントに感謝される。自分は雑誌の取材に応じたり、講演依頼の仕事が来ることがある。その際、「今週末までに」と先方から言われた返事も、連絡が来た瞬間に返す。それが無理な場合は、その日中に必ず回答をする。そうすることで信用を勝ち取り、同じ会社の同じ担当者から仕事が来たことは過去に何度もあった。仕事が早ければ先方が急いでいる時に「そういえば仕事の早いあの人に頼もう」と白羽の矢が立つからだ。
さらに仕事を前倒しで進めるメリットは他にもある。それは納期までに見直しができるということだ。早めに仕事を終わらせておくと、提出後も頭の中で「あの件はもう少し深堀りできるかもしれない」「この話をいれるとさらに内容に磨きがかかる」といった気づきが降臨することがある。納期までに仕事をブラッシュアップすることで、成果物のクオリティを高めることができる。逆に納期ギリギリで慌てて出すと「しまった!あのデータが間違っていた」とたくさんの粗が出てしまう。
プライベートでも同じだ。自分は半年先の旅行をする場合なども、ギリギリまで先送りはせずできる限り早めにしっかり計画を立ててドンドン予約も終わらせてしまう。直前だと時間帯によっては空きがなかったり、早期割引を受けられないことも少なくない。何か変更があっても早めの予約変更なら、先方に迷惑がかかることもないのだ。
◇
自分は人生で後悔していることはあまりないのだが、数少ない後悔があるとすればその全てが「もっと早くやっておけばよかった」というものだけである。その逆に後から振り返って「前倒しな生き方で良かった」と感じることは少なくない。やはり、前倒しは正義だ。
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