新しい挑戦をする人、しない人の違い

黒坂岳央です。

世の中には2種類の人種がいる。すなわち、新しい挑戦を好んでする人、しない人である。挑戦する人は年をとってもいつまでもいつからでもなんでもやる。その一方で、挑戦しない人は20代後半で早くも失速し、その後の人生はそれまでの人的資本や経験、技術や知識の取り崩しで定年まで現状維持でやり過ごそうと考える。だが、時代の変化が早い現代、このような戦略がワークしないことは誰もが知っていることだ。

両者の違いはどこにあるのか?

Philip Hoeppli/iStock

最近、失敗をした記憶ある?

自分自身でよく問いかけることの一つに「直近で失敗した記憶があるか?」である。もしもこの質問にNOが続くなら、それは新しい挑戦への行動力が足りていない。なぜなら挑戦する人とは「常にたくさん失敗をし続けている人種」のことだからだ。

「バカバカしい。ビジネスマンたるもの、そう頻繁に失敗ばかりするのは無能ではないか」と反論がありそうだが、そうではない。どれだけ優秀な人でもまったく新しい領域への挑戦となれば、失敗をゼロにすることは不可能に近い。どれだけリサーチをしても、想定外のミスは起きるのが普通で、優秀な人はそこで試行錯誤、素早い軌道修正で最終的に失敗を経験にひっくり返して成功裏に導く人種なのだ。

その点、手前味噌でおこがましいようだが、自分はよく失敗しているのでこの点は合格だ。日々、企業から仕事の依頼が来るのだがまったく新しい仕事で失敗することもある。また、つい先日、自分で新しいYouTubeチャンネルの作成に挑戦したが、思い切り失敗してしまった。今回は特に大きめに初期投資をかけたので、かなり手痛い失敗だったが、その失敗から学べた教訓は非常に価値があった。正直、失敗したことは悔しいし、かけたコストもダメージとしてしっかり食らっている。だが、何もしないままただただ年を取るより、遥かにいい時間の使い方ができたと思っている。

今年になって始めたプログラミング学習やパーソナルジムに通って筋トレをしても毎日失敗だらけだ。「うわー、これは買う必要がなかったな」「これはやったらダメだったのか」と思うことはしょっちゅうだ。だが振り返ると着実に前進をしている。

挑戦しない人の価値観

挑戦しない人は他責思考で依存体質である。パーソナルジムのトレーナーから聞いた話では、「ここに入会すれば100%自分が理想とする体系になりますか?」と結果の保証を求める人も少なくないそうだ。しかし、これは間違った姿勢である。

どこで何を誰から学んでも結局は自分次第。東大合格者を多数輩出する最高の教師のもとで最高の教育を受けても、全員が東大に合格するわけではない。仮に現役合格が無理でも、諦めずに正しい努力を継続すればいつかは合格するかもしれないが、その判断や合格に足る学力を作る勉強などはスクールではなくその本人次第だ。「100%成功しますか?」は聞く相手が間違っている。本来は自分自身に問いかけるべきものだ。

挑戦する人の価値観

その逆に挑戦する人は自責で自立している。失敗しても人にせいにはせず、「次回より成功に近づけるための改善点はないか?」と自分で変えうる要素に目を向ける。この姿勢が当たり前になっているので、「失敗は当たり前。大事なのは2回目が1回目より前進していることだ。改善ができて諦めなければいつか必ず成功する」と考えている。だから新しい挑戦をすることにためらいがないのだ。

挑戦しない人は結果しか見ない。「投下した時間と労力は100%報われて当然、失敗は悪」という単眼思考に陥る。しかし、挑戦する人はプロセスにも価値を感じ、たとえうまくいかない失敗からも数多くを学ぶ。

自分は過去に自社商品の販売促進のためにGoogle広告を出したことがあったが、結果から言うと赤字続きで失敗した。だが、その失敗を時間をかけて分析し、改めてゼロベースで広告を学び直して今度はSNS広告に切り替えた。こちらはものすごくうまくいった。もしも最初のGoogle広告で諦めていたら、SNS広告に行き着き、そしてうまくいくことはなかったと断言できる。

最後に挑戦しない人は失敗を恐れる一方で、挑戦者は停滞を恐れる。成功の反対は失敗ではなく、何もせず時間が過ぎていくことである。なぜなら失敗するということはたくさんの経験、知識、技術を拾うプロセスの一つといえるが、何もしなければ文字通りただただ人生の持ち時間を減らしてしまったということだからだ。

よく、「中年になっても中身は若い頃と何も変わらないよ」という人がいるが、自分はこうした言葉をあまりポジティブに受け止めない。なぜなら年を取るということは前進を伴って然るべきであり、何も変わらず年だけ取るのは時間の経過で社会的価値は逓減し続けるからだ。実際、新しい挑戦を何もせず、現状維持に抗う人ほど他者の挑戦を外野からバカにする。これは自分の人生の発展性を完全に諦めた老化現象の一つである。

人が年を取って後悔すること1位が「挑戦しなかったこと」である。やってみてうまくいかないことは大したことではない。しかし、年を取ってもはや挑戦することも許されないのは悔やんでも悔やみきれない。後悔するということは、これまでの自分自身の生き方が間違っていたと自分で認めるようなものだからだ。未来の自分を後悔させないためには、今すぐ毎日行動し続ける方が良さそうである。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。