独立して後悔する人がいない理由

黒坂岳央です。

独立した人の多くに共感を得られる話が、「脱サラして後悔する人はいない」というものだ。「独立した全員がうまくいっているわけはなく、サラリーマンに戻る人もいるではないか」と反論がありそうだが、そうなった人もおそらく後悔はしていない。100%ではないが非常に高い確率でそうだろう。もちろん、自分自身も一瞬たりとも後悔したことはない。

この仮説の根拠を取り上げたい。

frema/iStock

独立する人、しない人

自分はサラリーマンの時から「いつか会社員なんてやめて起業したいな」という人は何人が見てきた。二人で飲み会をしてお互いのビジネスプランを語り合ったこともあった。

しかし、独立に興味がある人はそこそこいたが、本当に独立する人はほんの一握りだ。「こんな会社、いつか絶対にやめてやる!」という人ほど、転職や独立せず結局何十年も居続ける一方、周囲に一言ももらさずいつの間にか次の転職先を決めたり、独立準備をして「実は」と告白する人もいる。

そう、世の中には独立する人、しない人がいる。しない人は願望はあるが「今は時期が悪い」「準備が十分でない」と結局行動しない。その逆にする人はどんな状況でもする。資金が十分でなくても、子供が生まれた直後でも、今の仕事がうまくいっていてもする。

こうした人種は自分を含めて「社会性」の欠如がある。周囲の顔色を伺うことをせず、多少迷惑でも気にせず自分のやりたいことを優先する。自分自身もそうだ。逆に周囲の顔色ばかり見ている人には独立は難しい。

独立後の生活の魅力

独立後の生活は魅力に溢れている。残業時間を気にせず好きな時に働き、やりたい仕事だけをやり、フリーランスなら上司も部下もいない。出勤もスーツも気にせず、ジャージを着て自宅で仕事ができる。

よく「起業したら目覚まし時計のない生活ができる」「満員電車に乗らなくてもいい」みたいな話があってこれは正しいが、「嫌なことをしなくていい」というより、独立組は「好きなことだけを時間の制限なくたくさんできる」という意味で言っていることがほとんどだ。実際、独立した人はのびのびとものすごくよく働く。

もちろんいいことばかりではなく、パンデミックのようにいきなり仕事がなくなってしまう人もいる。資本力がなければたまらず会社勤務に戻るしかない人もいる。だが、独立するような人は別に悲観的には考えない。雇われに戻った後も虎視眈々と次のチャンスを狙っているからだ。

仮に自分が何らかの事情で一時的に雇われに戻るとしても全く悲観はしない。そうなったらそうなったで「ようし、また新しくゼロからビジネスをしよう!」というフレッシュな気持ちで頑張りたいと考える。彼らは不安定さには完全に慣れている。そうでなければ脱サラなんて絶対にできない。独立を後悔するような人はそもそも脱サラはしないのだ。

もちろん、厳密なことを言えば独立して後悔する人はゼロではない。SNSのインフルエンサーの煽りに乗せられてせっかく内定を得た大企業を辞退し、いきなりフリーランスからキャリアを始めてしまった人。それから定年退職後にいきなり店舗開業をして大失敗してしまう人である。これらは例外としてやはり、ほとんどの独立組は後悔する気質の人種ではないのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。