こんにちは、自由主義研究所の藤丸です。
日本では「格差是正」「福祉」を名目に、国民から税金を吸い上げて、政治家の支持基盤へのバラマキがずっと続けられています。減税を求める国民の声は無視され続け、増税ばかりで今や国民負担率(令和5年度、実績見込み)は46.1%に達しています。財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は54.6%と非常に高くなっています(財務省のHPより)。
また、既得権益層を守るための規制が緩和されることはなく、規制緩和を望む多くの国民に不便が強いられています。例えばタクシー不足が問題になっているのに、諸外国では当たり前に使われているUberでさえ、いまだに日本では禁止されています。
日本の名目DGPはドイツに抜かれて4位に転落しましたが、このような政策を続けていては、今後は経済大国の地位を保つことされ難しくなってくる可能性さえありえます。まさに政府の増税と規制が、経済成長を邪魔しているのです。
起業家精神を発揮しイノベーションをおこし、人々の暮らしをより便利に豊かにすることができるのは、政府ではありません。
それができるのは起業家だけです。
政府の役目は、その起業家の邪魔をしないことです。今の日本政府は、起業家の邪魔ばかりしています。
政治家の中には、富裕層を敵視し税金をたくさんとることが当然のように考える社会主義者もいますが、彼らは富裕層が投資することでおこったイノベーションにより人類全員が恩恵を受け続けていることを軽視し過ぎています。
今回は、この観点について、左翼・社会主義者が理解していない「富とイノベーション」の関係についてのわかりやすい記事を紹介します。
アメリカの保守系シンクタンク・ヘリテージ財団のHPに2024年6月28日に掲載されたPreston Brashers氏の”What the Socialist Left Fails To Grasp About Wealth and Innovation in America”です。
以下から全文が読めます。
※太字と訳注は筆者です。
また、社会主義化により先進国から転落し貧困に陥ったアルゼンチン経済を立て直すために奮闘しているアルゼンチンのミレイ大統領も、ダボス会議でこのことに言及しています(下記の記事参照)。
What the Socialist Left Fails To Grasp About Wealth and Innovation in America(左派の社会主義者は、富とイノベーションを理解できない)
バーニー・サンダース上院議員(訳注:アメリカの極端な社会主義者)は、「我々は、貪欲と腐敗で45年間もこの国の労働者家族と争ってきた億万長者層を受け入れるわけにはいきません」と言いました。しかし、億万長者によって資金提供されている重要な経済活動を考えれば、億万長者のいない社会は私たちには耐えられない社会であることは明らかです。
すべてのアメリカ人が裕福なわけではありません。しかし、偉大な起業家がそのビジョン、革新性、勤勉さによって巨万の富を得ることができる社会に住んでいるため、すべての人がより豊かになっているのです。
1800年代半ばに生きた典型的なアメリカ人は、今日どころか20世紀のアメリカ人が享受する富と繁栄の量を想像することもできなかったでしょう。現代の中流階級のアメリカ人が当たり前のように使っているシンプルな家電製品や便利なものは存在しませんでした。革命的な新製品の発明と商品化に最も貢献したイノベーターたちは大金持ちになりましたが、その過程で他のアメリカ人の生活を向上させたのです。彼らの富は、彼らの仕事が何百万人もの人々の生活にもたらした価値を反映していました。
1800年代半ばの人々は、ろうそくや石油ランプで家の明かりを灯していました。電気のスイッチを入れたり電気器具のプラグを差し込んだりすることはできませんでした。食事は薪や石炭、ストーブや直火で作っていました。移動と農業は動物の力に頼っていました。冷蔵庫も自動車も電話も電子レンジも音楽録音も個人用カメラもありませんでした。
その後、特に1870年頃から新しい発明や技術革新の波が押し寄せ、人々の生活を一変させました。1870年代にはトーマス・エジソンが白熱電球と蓄音機を発明し、アレクサンダー・グラハム・ベル が電話を発明しました。1880年代にはエジソンが送電網を建設し、アンドリュー・カーネギーの費用対効果の高い鉄鋼が輸送と産業に革命をもたらしました。
1890年代には、リチャード シアーズとアルヴァ・ローバックが通信販売カタログを送り、農村部のアメリカ人の消費財の選択肢を増やすことができました。1900年代初頭、 ウィリス・キャリアのエアコンは工場の生産性を向上させ、暑い夏の日でも人々の生活をより快適なものにしました。1908年、 ヘンリー・フォード はT型を発表し、中流階級でも自動車を所有できるようになりました。
エジソン、ベル、カーネギー、シアーズ・アンド・ローバック、キャリアー、フォードはみな、発明や努力によって巨万の富を得たのです。今日の大手企業は、そのルーツをこれらの人物に遡ることができます。
ゼネラル・エレクトリックは、そのルーツをエジソンに遡ることができます。AT&T は、そのルーツをベルに遡ることができます。カーネギー・スチール・カンパニーの後継者であるU.S.スチールは、現在でもアメリカ最大の鉄鋼会社のひとつです。もちろん、キャリア、フォード、シアーズにはそれぞれその名が付けられています。
さらに、これらの起業家たちのアイデアと成功は、競争を呼びおこし、照明や送電網、電話通信、低コストの鉄鋼、空調完備の工場、自動車などの利用によって可能になった、まったく新しい産業を生み出しました。
過去150 年にわたって、他にも何千もの発明や革新があり、その中には大規模で革新的なものもあれば、小規模で漸進的なものもあります。
そうでないことを望む人もいるかもしれませんが、利益を求める起業家や投資家は、政府のどんな再分配プログラムよりも、人々を貧困から救い出すためにずっと多くのことをしてきたのです。
富とイノベーションは今日でも密接に絡み合っています。イーロン・マスクからジェフ・ベゾス、ウォーレン・バフェット、ラリー・エリソンに至るまで、今日最も裕福なアメリカ人は、産業、商業、日常生活を変える革新的な企業を設立することで裕福になりました。アメリカの富豪たちの富は通常、1つの資産あるいは少数の資産、つまり彼らが経営する会社の株式や所有権に集中しています。その結果、彼らの富は文字通り、彼らが設立した会社や築いた会社とともに栄枯盛衰を繰り返してきました。
億万長者、中小企業経営者、投資家の富は、金庫の中で漫然と眠っているわけではありません。工場の建設、在庫の補充、製品の出荷、新製品の研究開発、給与の支払いなど、経済全体で活発に活動しています。
億万長者はベンチャー企業から大きな利益を得ていますが、他のアメリカ人も同様なのです。彼らの会社は数百万人の労働者を雇用しています。消費者は彼らの製品を楽しんでいるのです。そして、その企業に直接あるいは投資信託や退職金口座を通じて投資している他の人々は、最終的にその企業の利益のほとんどを手にすることになります。最も裕福な億万長者がその会社から1ドルの富を得るごとに、7ドル が他の投資家に入るのが普通です。
また、アメリカの富裕層の税金は、連邦政府のかなりの部分を賄っています。政府の試算によれば、2024年には上位0.1%の高所得者は下位90%の合計よりも多くの連邦所得税を支払うことになります。
富裕層をさらに苦しめ富の再分配を望む社会主義者たちは、アメリカの富裕層からどれだけ搾り取れるかを過大評価し、それが経済やアメリカの起業家精神にもたらす害を過小評価しています。紙の上では、フォーブス誌の「アメリカの最も裕福な400人」の価値は合わせて4兆5000億ドル、つまり国家債務の約13パーセントに相当します。しかしその富は不安定なもので、彼らの会社に縛られているだけではありません。彼らの富はそれらの企業の分け前なのです。
企業の市場価値は、主に現在保有している資産から構成されているのではなく、企業が将来生み出すことができるであろう利益に対する投資家の期待から生まれています。 言い換えれば、企業の市場価値のほとんどは、その企業がまだ生み出していないものに基づいているのです。
政府はまだ存在していないものを奪うことはできません。さらに悪いことに、裕福な企業経営者への過酷な課税は、金の卵を産んだガチョウを殺してしまう危険性があります。あるいは、少なくともそのガチョウを追い払うことになるでしょう。
自称社会主義者の政治家が「億万長者は存在すべきではない」と言うとき、それは単に「そのようなイノベーションは存在すべきではない」という意味なのです。成功を悪者扱いし、成長とイノベーションを窒息させる社会になることは、許されないことです。
※ この記事は、ヘリテージ財団の「富とイノベーション」プロジェクトの一部です。 これらは、イノベーターや起業家が豊かで目的のある社会を築くための繊細なプロセスに不可欠なものです。
編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。