地震と台風に対する備えは「全国一律」ではない

南海トラフ臨時情報から1週間が過ぎて、何もないまま平時に戻りました。地震による追加の被害が無かったのは幸いなことです。でも観光地はお盆の書き入れ時にドタキャンを喰らって大きな経済的損失を出しました。

何だかコロナ禍に自粛ムードが日本全国に蔓延して飲食店が次々と廃業した時のデジャヴ感があります。

そして今週は東日本では台風が接近して、飛行機の新幹線が欠航・運休が相次ぎ、またまた観光地に打撃を与えています。

FrankRamspott/iStock

地震や台風による災害にしっかり対処すべきというのは、言うまでもないことですが、一方で過剰な警戒によるマイナスも考慮すべきです。

リスクだけを過剰に制御しようとすると、何もできなくなってしまいます。

土砂崩れや川の氾濫といった自然災害が報道される度に感じるのは、災害のリスクは「全国一律」ではないということです。

例えば、東京の中心部は崖のないフラットな地形が多く、土砂崩れのリスクはほとんどありません。道路が分断されて集落が孤立するといった可能性もありません。

むしろ心配すべきは、エレベーターが停止した時のタワーマンションの上層階の孤立です。

しかし、地上波のニュース報道を見ていると、地方の土砂崩れや床上浸水の映像や、飛行機や電車のダイヤの乱れによる都市部の乗客の混乱映像を流し、警戒を呼びかけるワンパターンなものばかりです。

それぞれの地域によって何をどう備えるかはバラツキがあると思います。

台風接近の中、無理やり飛行機を予約して、南海トラフ臨時情報の震源地となった宮崎に出かける。そんな天邪鬼な人は、日本ではマイナーな存在なのかもしれません。

という訳で、取り敢えず飛行機で宮崎に向かいます。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。