60代男性が今のうちにやっておくべきこと

Fariz Fadillah Afdhal/iStock

自分では若いつもりでいても、還暦を超えれば肉体の衰えは誰でも少しずつ感じるようになるものです。10年経てば70歳、20年経てば80歳ですから残された時間はあまりありません。

これはいつまで生きるかという寿命の問題ではありません。元気に生きていても、やりたくなくなることや、できなくなることがたくさん出てきます。後からやらなかったことを後悔することは、今のうちにやっておく必要があるのです。

例えば、車の運転です。車が好きな人でも70代を超えてくると、高齢者の運転ミスによる事故が増えており、運転することがリスクになってきます。普通の乗用車にさえ乗らない方が良くなり、ましてやポルシェやフェラーリのようなスポーツカーは論外ということになります。

車好きであれば運転能力があるうちに自分の好きな車に心残りの無いように乗っておくべきです。

あるいは、旅行もそうです。

長時間のフライトのある海外旅行は体力が無いと行けません。そのうちに行くのが億劫になって、今は行ってみたいと思っているアメリカや欧州には行きたいと思わなくなるかもしれません。もっとアクセスの悪いアフリカや南米のような場所には早めに行っておいた方が良いでしょう。

そして、食事やお酒も体力次第です。

私は既にフレンチやイタリアンにはあまり行かなくなりました。もっぱらお寿司や焼き鳥といった和食に行くことが増えています。そのうちに、家のご飯が一番と思って、外食をする機会が無くなるかもしれません。

お酒もワインやウイスキーを購入し保管していますが、既に飲み切れる量を超えています。アルコールが楽しめるうちに、とっておきのお酒を飲んでおかないと後から後悔することになります。

年齢と共にやれることが少なくなれば、それにかかるお金も必要なくなります。

これからの10年は大きな病気をして治療費などに大きな出費でも無ければ、恐らく今までの10年より生活費が少なくなっていくはずです。

とすれば、60代男性がやるべきことは資産を増やすことではなく、資産を使って貴重な時間を心残りの無いように過ごすこと。

投資は経済的に豊かになるためにするのではなく、自分が楽しかったり、周りにいる人や社会の役に立つことに限定すべきだと思い始めました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。