ザ・政局、大胆予想をしてみよう:野田氏と政策が重なる小泉・石破両氏

野田佳彦氏が立憲民主党の党首になりました。枝野氏が出馬意向を持っていたのは春頃の雑誌のインタビューを読んで気づいていました。故に、初夏のころ、立候補すれば有利ではないかと述べました。その後、野田氏が立候補をしたので野田VS枝野の戦いとなれば野田氏が勝利すると変えました。

野田佳彦新代表 立憲民主党HPより

私は予想するにあたり立憲民主党の閉塞感を見ていました。泉氏は立憲の向かうべき方向を明白に出せず、リーダーシップとしての重みに欠けました。多くの議員と党員はさまよったといってよいでしょう。共産に接近してみたりとにかくポリシーなき動きで票ありきの姿勢に情けないと思ったのです。「票は政策についてくるものだ」ということが泉氏にはわからなかったのでしょうか。

野田氏も枝野氏も同党の重鎮でありますが、傷を負った2人でもあります。つまり、過去、この2人は立憲の敗軍の将であり、みそぎ云々を言う議員も未だいます。一方、自民が裏金事件でグタグタになり、一部の国民は「選びたい政党がない」という状況に陥ります。(維新も兵庫県知事問題で人気を落としています。)私はこれが野田、ないし枝野氏復活のきっかけになると考えたのです。こういう状況の時はベテランに限る、よって双方傷もの同士なら野田氏が元首相という圧倒的経験値、そして伝説とも言える安倍氏との国会での論戦が今生きるだろうと考えたのです。

さて、自民党総裁選の行方ですが、メディアの情報をベースとした各種票読みを見る限り、石破、小泉、高市の三氏で絞られた感はあります。よってこの3氏に限ったうえで先行きを占ってみたいと思います。

私が注目しているのは野田氏の立憲における立ち位置です。言うまでもなく保守から中道ラインであります。一方、石破、小泉氏は自民の中ではリベラルに近くなるため、仮にこの両名のどちらか首相になれば野田氏との政策論争における差が詰まってしまうのです。言い換えると野田氏が手ぐすねを引く国会論戦で激しいガチンコ勝負が起きるとみています。

もう一つ、石破、小泉氏のどちらかが総裁になった場合、自民党内部の力関係は分裂を引き起こす可能性が高いと見ます。組閣を見る必要がありますが、メンバーはかつての常連メンバーからかなり入れ替え戦が起きるのではないかとみています。特に小泉氏の場合、氏自身が閣僚経験がほとんどない中でどのように組閣するのか、皆目見当がつかないのです。ましてや党役員人事は私の想像の域を超えます。

その上、小泉氏は衆議院早期解散を目指しているとされます。なぜそこまで急ぐのでしょうか?自身への付託の確認でしょうか?私はもう一つあるとみています。それは安倍派離脱分裂の準備をさせないということではないかと思うのです。小泉氏の父が総理の時、多くの議員は「なんでこんな風になったのだろう」と嘆いたのです。全く想定外の動きでそれまでの常識論をぶっ飛ばしてしまいました。つまり小泉家に議員を縛るチカラはない、よって小泉氏が首相ならば自民は分裂する公算があり、保守派がごっそり抜けて新党立ち上げをする可能性はなくはないとみています。

石破氏になったらもっと想像ができない、それが素直な意見です。下手したら将来、立憲と連立を組む可能性すらあります。公明との関係も強化し、日本に中道左派の大母体が誕生、そんな気がしてならないのです。中道左派政権になると何が困るか、といえば最大の懸念は外交、次に経済成長です。外交は言うまでもなく、対中国外交がかなり穏便な状況になると予想されます。

選管主催のオンライン政策討論会 石破茂氏インスタグラムより

経済については中道左派、リベラルとも称する政策は基本的に中間層の厚みを増す政策が主体になり、ばら撒き、底上げ型政策になります。ところがその場合、トップを走るリーダー育成が弱くなる傾向が見えてしまいます。強い企業や強い経営者は苦境の中から生まれるものでぬるま湯からはなかなか成就しにくいものなのです。

では高市氏はどうなのでしょうか?この場合、野田氏と正面ガチンコ勝負になるでしょう。保守派には好都合かと思いますが、組閣で旧安倍派を排除しにくくなり、野党とマスコミから叩かれる公算があります。また先日、高市氏は日銀が利上げしている姿勢を強烈に批判しています。これは私から見ると「本来、日銀の独立性からして言ってはいけないこと」を平気で述べている点で大丈夫かなぁ、と思うのです。日銀政策は政治に影響を受けてはいけないのです。

高市氏のもう一つの懸念は外交政策において中国と会話路線が形成できない公算があります。中国政府はこの総裁選をかなり詳細に分析していますが、高市氏は中国側から要注意マークがついています。これは中国が日本との外交交渉で壁を作ることを意味します。高市氏は中国要人とそう簡単に会談できなくなるかもしれません。二階さんのような中国通も少なくなります。高市氏は政権の中枢にそのようなメンバーを入れないでしょうからガチガチの組閣になるでしょう。これはたぶん、実質的に崩壊すると思います。つまり、長続きせず、1年持つかどうかの政権になるとみています。

衆議院解散をいつするかは最も興味あるテーマですが、個人的にはアメリカ大統領選を控える中であまり急ぎ過ぎるのはどうかと思います。ただ、早期解散は避けて通れないだけに日本の政局が不安定になり、外交も手薄、そうなれば岸田氏がそれなりに築いたものはどんどん陳腐化し、国際影響力が低下しやすくなるともいえるでしょう。

外から見る限りは日本はしばし様子見ということになります。早めに安定を築けるようしていただきたいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。