人生を変えるメンターとの出会い方とは

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自分の人生を変える「メンター」に出会うためには、どのような心構えが必要なのでしょうか。人脈づくりに例えて解説します。

ユダヤ人大富豪の教え」(本田健 著、だいわ文庫)

[本書の評価]★★★★(85点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

メンターに出会うための心構え

メンターとは、「人生の教えを授けてくれる先生」という意味です。日本語では「恩師」という言葉が一番近いと思いますが、学校の先生だけではなく、職場の上司や仕事上付き合いのある人、業界で活躍している人など、さまざまなケースが考えられます。

自分より先を行く人たちに、人生の知恵を授けてもらうという意味で「人生の師」といえますが、成功している人には、必ず「心の師」という存在の人がいるものです。素晴らしい出会いが人生の方向性を大きく変え、今の幸せで豊かな生き方を実現しているのです。

著者の本田さんが最初にメンターだと思える人に出会ったのは、13歳のときだったといいます。当時、通っていた中高一貫校の教師であり、イエズス会の神父でした。教師として学問を教え、神父として人に希望を与え、なおかつ自由に英語を話しているのを間近に見て「この人のようになりたい」と憧れたそうです。

「『英語が話せると人生が変わる』ことを教えてもらえて、本当に幸運だったと思います。当時、学生だった私にとって、英語は授業の一つでした。しかし、英語を話せるようになることで、広い視野を持ち、外国の友人をつくったり、世界中を旅して歩いたりできる、そんなグローバルな人間になれるという夢を持つようになったのです」(本田さん)

「メンターとは視野を広げてくれる、人生を変えてくれる存在だと実感しました。メンターの話をすると、『メンターは、絶対必要なものですか?』と聞かれることがあります。メンターはいなくても困らないでしょう。しかし、メンターがいれば、もっと広い世界を見てから、自分の人生を決めることもできるのです」(同)

人脈づくりには時間がかかる

「メンター=人脈」と置き換えてみます。人脈が欲しい人は即効性を求めています。しかし、それは無理な話です。

人脈構築を目的とした異業種交流会があります。著名人が参加していると、名刺交換に列を成していることがあります。会食中でも会場を走り回り、名刺収集にいそしむ人がいます。しかし、本来の人脈は人に魅力がなければ集まらないものです。人脈とは「本来は努力して構築するような類いのものではない」のだと思います。

また、多くの交流会では「売り込み臭」が漂っているものです。参加者のほとんどが「仕事をもらいたい人」になるため建設的にはなりません。同じような人種が参加している交流会に参加しても得るものはありません。

相手が著名人の場合、「自分に還元してくれないかな」と思うことがあるかも知れません。これは「善意の搾取」になります。情報を教えてもらったら、参考になるような情報を返します。こうしてフラットな関係にしておくことが関係を長く続けるコツといえます。

人は簡単に結びつくものではないことに気付いた人は、このような交流会に嫌気がさすようになります。名刺コレクターになってしまうため機会損失につながります。交流会では、ざっくばらんに話せて打ち解けるまでには至らないのです。

筆者の場合、交流会や勉強会の類いでメリットになる人脈が構築できたことはなかったように思います。さて、あなたはどのようにしてメンターをつくりますか。また、メンターが必要だと思いますか。この機会に考えてみるのはいかがでしょうか。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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