私も塩野義製薬の効かないコロナ治療薬の被害者

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薬効なく急性肺炎、厚労省も「効かない」

私は5月にコロナに感染し、高熱を発し、近所の医院で診察を受けました。医師は「コロナにかかり、喉がやられている。よく効く薬が開発されている。1週間飲んでください」と、処方されたのが塩野義製薬が開発した新薬(22年11月)のゾコーバでした。1錠が7000円以上、10錠分、払ったのに、全く効かない。

服用開始から、2〜3日で急性肺炎になり、肺で血液に酸素が供給されないのか、真夜中、手足などが動かせなくなりました。肺炎の重症度は10段階のうちの8、9というレベル(後の専門医の判定)に達し、1〜2日遅れていれば、死去していたかもしれません。救急車で病院に搬送され、2週間入院、2か月も自宅療養を強いられました。自宅では酸素供給装置を置き、パイプを通じて酸素を鼻から取り入れていました。

そのゾコーバに対し、中央社会保険協議会(厚労省)が9日「費用対効果が極めて悪い」(つまり効かない薬)という最低の評価を下しました。ペナルティは数%の価格引き下げです。厚労省側にも新薬を認可した手前、面子があるのでこういう表現にしたでのでしょう。本音では「効かない薬だから、使わないほうがいい」。「効かない薬」という私の直観を1年半後、厚労省は認めたことになります。

私がコロナウイルスに感染したと推測されるのは5月11日あたりで、3〜4日後に38度前後の高熱に達し、慌てて近所の医院(医療モールの耳鼻科)に駆け込み、診察を受けました。医師は直ちに「コロナにかかっています」と、喉にびっしり痰がからまっている検査機器の映像を見せられました。

「ついにコロナか」と、ショックを受けいると、耳鼻科の医師は気軽に「コロナによく効く薬」といったのがゾゴーバ(塩野義製薬)という薬です。ちょっと高く、1錠7400円です。「10錠飲んでください。初日に3錠、その後は1錠ずつで、7日間、飲んでください。それでも直らなかったら、入院となります」。

10錠で7〜8万円(医療保険の自己負担は約1万5千円)です。「ばかに高いな」と思いつつ、「飲んで治るならいいや」と、飲み始めたのに全く効かない。厚労省「7錠」といっているのに、どういうわけか、この耳鼻科医は「10錠」(予備かな?)買わせたのも不思議です。

どんどん重症化(急性肺炎化)し、服用開始から2〜3日後に重態となり、救急車で大きな病院に搬送です。飲み残しを取り出し、ラベルをみると、確かに「ゾコーバ」という薬名です。国内発の経口治療薬として、ニュースになりました。

私の場合は、感染してから3〜4日後に発症(高熱、声がでない、急性肺炎)しました。ネットで調べると、「発症後、3日以内に投与されると、症状が改善する」とあります。その範囲に入っていますから、この薬は効くはずです。

ブログで「コロナ闘病記=重症化、急性肺炎、救急車で緊急入院、2週間」(6月2日)を書きました。さらに「肺損傷で酸素不足、せん妄、声がでない」(3日)、「慢性の誤嚥性肺炎が重症化の引き金か」(6日)のほか、肺の機能が回復するまで2か月間も自宅で酸素ボンベを使いながら療養したことなど、計4回の闘病記を掲載しました。

ブログを読んだ専門家とみられる方2人から「ゾコーバは重症化しやすい高齢者にはむかない。医師の処方が間違っている。別の薬(確かラゲリオ、パキロビット=ファイザー製)がよい」というコメントが来ました。結論は、治療薬が間違っていたうえ、厚労省(中医協)の判定では薬そのものが「効かない薬」になりました。ひどい話です。

ネットで検索すると、「発症から3日以内に投与された場合、発熱、咳、息つまり、喉の痛みなどが1日、早く治る」「コロナウイルスが作られるのに必要な酵素系の働きを邪魔し、ウイルスが体内で増えるのを抑制する」などの説明が掲載されています。「なんだ、効いたとしても1日、早く治る」とはなんだ。

ゾコーバについて、22年6月の審査で「有意な結果を示すことに失敗し、承認見送り、追加検査へ」という情報がネットでみつかりました。コロナ禍なので緊急承認されたのは22年11月、効果が疑わしいので再評価することになったのが23年3月、最低ランクの評価(効かない)が発表されたのが10月9日です。いかにも慌ただしい薬務行政です。しかも効果があったとしても、治癒(通常7-8日)が1日短縮するだけです。

日経新聞で見つけた記事(10月10日)では、「中医協の専門組織は『有効性はゼロとは言い切れないが、費用対効果は極めて悪い』としている」とあります。私自身が体験した新薬だっただけに、「たちの悪い話だし、こんなことをやっているから国民医療費(21年度45兆円)がどんどん膨れ上がる」と痛感してます。効かない薬代、入院してからの各種検査代、薬剤点滴費、医師の報酬、その他費用を入れると、約50万円かかっております。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年10月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。