どうする??増える不登校

不登校児童が増えていると報じられています。文科省の調べによると小中学生の不登校生は昨年比16%増の約35万人にもなっています。2014年と比べるとざっくり3倍近くに増えています。少子化もその間進んでおり、小中学生数の目安としては2000年生まれで14年に14歳だった生徒数が119万人いましたが、現在14歳である2010年生まれの子供は107万人(10%減)となっているので学童当たりの不登校率は急伸していると言えます。

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推移のグラフを見ると2020年を境に不登校生数が増えていますのでコロナが関係していることは確かです。ただ、個人的にはコロナは背中を押したけれど根本的理由は違うところにあると考えています。

不登校とは定義上、病気や経済的理由以外で年間30日以上の休学がある場合を不登校と称しています。一般的に学校に行きたくない理由はいじめにあったというような直接的な要因が思い浮かびますが、最近はそればかりではなく、「面倒くさい」という意識が生まれているように感じます。

理由は人とのコミュニケーションができない、疲れる、友達付き合いの仕方がわからないといったことを想定しています。その本質は共稼ぎ夫婦が増え、家に親がいない時間が長くなったことはあるでしょう。一人っ子が増え、兄弟もいないことから家族内の会話量が激減していると思われます。もう一つはスマホ世代の深化ではないかと思うのです。今の小学生は友達と遊ぶにしても画面越しのゲームの対戦を介したやり取りでコミュニケーションを図ったりします。そしてそのゲームとやり取りする相手は自分が選んだ自分の好きな人です。

一方、学校に行けばクラスメートという自分が選んだ集団ではない社会が存在し、先生がその集団のベクトルをコントロールします。そこは自分の意思で参加する社会集団ではなく、行かされ感、やらされ感が生まれる素因はあります。集団のベクトルから少しでも外れるものならば注意されたり、クラスメートから何か言われたりします。子供たちは少人数の仲良しを作るグルーピングを行いやすいのですが、仲間に入れないと登下校を含めぽつんと一人になることもあり得るわけです。すると話し相手がいない、給食の時もクラスメートと溶け込めないとなれば学校は面白くなく、はじき出されるというのが私の考えるシナリオです。

問題はこのような不登校を経験したままですと自分が社会に溶け込めるキャパシティが小さくなりやすく、大人になってもうまく立ち回れないリスクが心配です。先日、新卒者が就職後、3年以内に3割ぐらい退職する話をしましたが、個人的には会社組織にうまく乗れない人たちが弾き飛ばされるとも言えそうです。就職した場合、そこでみる社会は幅広い年齢層の組織、一定のヒエラルキー、コーポレートガバナンスという枠組みや制約、マナー、大人の常識などありとあらゆるレベルの要求度を満たすことが求められます。

考えが飛躍しすぎと指摘されるかもしれませんが、オレオレ詐欺やら昨今の強盗事件と何らかの関連性はあるのではと疑っています。なぜ20代の若者が金欲しさに闇バイトをするのか、その構図はわかりにくいものです。警察はそのあたりの取り調べを当然していると思うので闇バイトに走る若者の動機や家庭環境、心理状態を分析したものを大々的に公表して社会問題として認識を広めるべきだと思うのです。

では不登校になった学童やその予備軍を抱える親と社会はどう対応したらよいのでしょうか?個人的には即効薬はないと思います。

背景には幼少期から十分なコミュニケーションと「人と人の距離感」を身に着けなかったことが主因ではないかと考えます。幼児時代に「なかよくしましょうね」と教え、園児同士がケンカしたり泣かされたりしないよう必死に守る経営側の姿勢とモンスターペアレンツによる介入を見直すべきなのだと思います。子供が泣いて帰ったら親は幼稚園に文句を言い、泣かせた子の親は謝りに行くという社会が私には理解できないのです。

幼児や子供にもそれぞれのレベルでの社会経験させているのであり、やってよいこと、ダメなことを経験値から学ぶべきなのに指導側がその経験をさせず、事なかれ主義に走るのです。もちろん、指導側も親から文句を言われるのはたまらないし、時としてモンスターキッズも存在するのです。「親の顔が見たい」と言いたくなるような悪ガキです。ここは難しいところです。

社会が刺々しい、今の時代をそんな風に感じるならば不登校世代が生み出す社会風潮も背景の一つなのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年11月10日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。