投資におけるグローバルとインターナショナルの違い

閉鎖された経済圏において、投資対象の総額は、全ての資金供給額の総計であり、同時に、全ての資金調達額の総計だが、経済圏が成長している限り、必ず増加する、即ち、必ず利益を生んでいるはずである。しかし、閉鎖された経済圏として想定し得るのは地球全体になるが、誰しも、地球上の全ての資金調達手段には投資し得ず、また、地球経済が多数の通貨で構成されているなかで、誰しも、自分の基軸通貨に拘束されるから、地球上の全ての投資家が必ず利益を得るとは限らない。

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例えば、日本の投資家は、現状において、円という通貨から、地球の極めて小さな部分に著しく偏った投資を行っているわけだから、その成果は、地球経済の成長とは甚だ大きく乖離しているのに違いなく、地球全体における利益は、日本という部分における損失と矛盾なく併存しているのである。故に、安定的に地球経済の成長に参与するための技術的工夫として、国際分散投資の課題があるわけだ。

国際分散投資の決定的な難点は、宇宙人にならない限り、地球の全体は見えないことである。自分自身が全体の極小の一部にすぎないなかでは、その無にも等しい点から、全体が見えるはずもないのである。そこで、国際分散投資の第一歩は、地球全体のなかから一部の投資対象を選択し、自分なりの地球を定義することになる。

このとき、一方では、地球全体を複製する、即ち、地球を主にして、そのなかに日本を位置付けるべきではあるが、他方では、日本の円という特定の通貨から投資するのである以上は、日本を主にして、日本に対する関係で、日本以外の地球を定義する方向も重要になる。つまり、英語でいえば、グローバル、即ち、日本を含む地球という視点と、インターナショナル、即ち、日本を除いた外国という視点との適切な組合せが重要なのである。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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