1月5日に豊洲市場で行われた新春恒例のマグロ初競りで、青森・大間産クロマグロ(276kg)が最高値となる2億700万円で落札されました(写真)。
競り落としたのは銀座おのでらを展開するONODERA GROUPと豊洲のマグロ卸のやま幸さんです。この2社による落札は5年連続です。
銀座おのでらでは、都内で展開している回転寿司のお店でこのマグロを2貫1160円という採算度外視で提供するそうです。原価は3万円くらいとのことですから破格の大盤振る舞いです。
2億円の仕入れ価格には全く見合わない大赤字ですが、年初に全国に報道されることによる広告効果は絶大です。テレビCMを打つよりも圧倒的な効果があると思います。お客様に安く提供することでより好感度が高まり行ってみようという人も増えるメリットも期待できます。
このような広告戦略はONODERA GROUPが単なる寿司店ではなく、飲食事業を始め幅広い業態を展開する大企業だから可能になったことです。個人経営のお寿司屋さんで、2億円の仕入れは不可能ですし、そもそもやる意味もないと思います。
同じ日にうにの初競りでも700万円の高級ウニが落札されましたが、こちらを落札した寿司店は1貫40万円で提供するそうです。それでも赤字なのかもしれませんが、ご祝儀で食べる常連の富裕層狙いの仕入れです。
お店とお客様の合意で提供しているのですから、部外者がとやかく言うことではありませんが、ウニ一貫を40万円で提供し、ドヤ顔で支払う情景はあまり見たいものではありません。ホストクラブで味もわからず高級シャンパンを100万円で開けるセンスと何だか似ています。
2億円を超える価格で初マグロを競り落として1160円で提供する寿司店と、700万円で仕入れた初競りのうにを40万円で提供する寿司店。
同じ初競りの高額落札ですが、どちらが商売上手でイケてるやり方なのかは言うまでもありません。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。