2025年1月10日(金)に発表される2024年12月の米国失業率の市場予想は4.2%のようだ。
雇用統計は毎月12日を含む週をデータの集計期間としているため、それぞれ12日を含む週で11月と12月を比較すると、新規失業保険申請件数は21.5万人から22万人へと微増、失業保険継続受給件数は189.7万人から189.6万人へとほぼ同じ状況だ。
趨勢としては、新規失業保険申請件数は低位安定、失業保険継続受給者数は増加傾向をたどるものの、この数カ月は190万人弱で横ばい、といった具合である。新規失業者が低位安定し、現存の失業者数も足元で横ばいであれば、2024年11月と同じ失業率4.2%という市場予想は妥当に思う。
但し、2024年11月の失業率は細かくは4.246%だ。失業率は失業者数÷労働力人口で求められるため、失業者がわずかに増えるあるいは労働力人口がわずかに減れば失業率はすぐに4.3%になる状況だ。
労働力人口は、最近2カ月は労働参加率の低下から減少している(但し、一時的な可能性も十分あり、はっきりとしたトレンドを形成しているとは言えない)。
一方、失業者数は、失業保険継続受給者数が増加傾向にあり、また平均失業期間も長期化していることから、増加している。
そして、失業者数の増加によって失業率が上昇している(このように失業保険継続受給者数・失業者数・失業率は連動性がある)。
但し、12月に関しては、冒頭の通り、失業保険継続受給件数が11月とほぼ同じため、失業者も大きく伸びることはなく、11月と同等水準になるのではないか。
まとめると、労働力人口は減少(あるいは11月と同等水準)、失業者数は11月と同等水準と思われるため、失業率は4.2%~4.3%を軸に考えたい。一方で、失業者が大幅に減少または増加する気配もないため、失業率4.1%や4.4%はなさそう、といったところだ。
非農業部門雇用者数はどのようになるだろうか。
足元の新規失業保険申請件数は悪くない数字が続いているが、新規失業保険申請件数6週平均が前月比で悪化していることから、前月比で22.7万人増を記録した11月ほどの伸びは期待できないように思う。
なお、しばらくの間、平均時給(賃金)にも注意を払っておきたい。※市場予想前月比0.3%、前年比4.0%
今後失業率が上昇し、平均時給も上昇傾向が続く場合、平均時給の上昇が物価上昇につながっていくことで、スタグフレーション懸念が強まりかねないからである。物価上昇率が高くなれば、当然FRBもFF金利を下げづらくなる。
今回、仮に失業率が4.3%へ上昇し、平均時給も市場予想を上回った場合、市場の反応は良くないだろう。
参考までに、平均時給が前月比13セント上昇すると、前月比0.4%、前年比4.1%の上昇となる。13セントの上昇…、2023年以降で、23回のうち12回発生と、確率は52%である。