1月もはや8日が過ぎました。6日が仕事始めのところが多く、世間はすっかり御屠蘇気分も抜けたころですが、わたしは未だ御屠蘇気分で初詣にふさわしい神社のネタを書いています。今回旅したのは宮崎県日南市の鵜戸神宮です。
鵜戸神宮は日南市の海岸沿いにある神社。宮崎駅から空港経由で日南市方面に向かうバスが日に何便か出ており、バスでのアクセスが可能です。風光明媚な場所にあることもあって、昭和40年代ごろは新婚旅行にきたカップルでにぎわったといいます。
海沿いの参道を歩いていくと岩場に突き当たります。灯籠の向こうに見える玉橋を渡った先、岩場を下っていくと本殿に辿り着きます。通常神社の本殿は階段を登った先などの高い位置にあることが多いですが、鵜戸神社は比較的珍しい下り神社です。
階段を下った先にあるのが本殿の入り口です。左手に見える鳥居の先、洞窟の中に本殿が存在します。
こちらが洞窟内に造られた本殿。海食洞の中にすっぽりと納まっています。
鵜戸神社の祭神は日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)。一度では覚えられない名前ですね。。。初代天皇である神武天皇の父とされる人物です。
日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊の母、豊玉姫が彼を生むために産屋を建てたのがこの場所だと伝えられ、3~4世紀の崇神天皇の時代に神社が創建されたのが始まりといわれています。
ちなみに日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊の父は火遠理命(ほおりのみこと)と呼ばれる人物。この名前ではピンと来ないかもしれませんが、神話に登場する「海幸山幸」の山幸彦のことです。その後、この地は神の生まれた場所として崇められ、縁結びや安産にご利益があるとされてきました。
本殿の奥もぐるっと一周、洞窟を巡り歩くことができます。
本殿の奥にあるのがお乳岩と呼ばれる岩。豊玉姫が育児のため、両乳房をご神窟にくっつけたといわれ、今も清水がここからしたたり落ちています。安産やこの成長にご利益があるとして信仰の場となっています。
鵜戸神宮ではお守りなどと並んで「運玉」と呼ばれる「運」と掘られた石が5玉200円で売られています。
この石をこの「霊石亀石」の穴の中に投げ入れ、みごと穴の中に入ったら願いが叶うとされています。結構人気のアトラクション(?)でチャレンジする方が後を絶ちません。ちなみに私は生まれてこの方筋金入りのノーコンであり続けているので辞退しました。
霊石亀石もそうですが、鵜戸神宮の周辺には変わった形の岩が数多く点在します。砂と泥交じり合った層にクラゲやなまこなどの有機体の死骸が積もった団塊が隆起して海面に出て、それが長い年月をかけて波で削られた結果このような丸みを帯びた変わった形の岩が誕生しました。このような変わった形の岩があることからこの地には霊が宿ると考えられ、平安時代には修験道の道場も開かれていました。
話は変わりますが、鵜戸神宮にはウサギの像や絵馬が多くあります。
これまでに何度も出てきたこの地の祭神、日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊の「鷀」がウサギを意味することから鵜戸神宮の守り神とされてきました。ちなみに「鸕」は鳥の「鵜」のこと。鵜戸神宮の名はここから来ています。
でも守り神は鵜じゃなくてウサギです。洞窟の中の本殿裏には開運の撫でウサギも存在しています。
天皇家につながる神を生んだ場とされ今も崇められ続ける鵜戸神宮。海沿いに建つ朱塗りの建物がとても美しく、洞窟内にある本殿や独特の形の奇岩の姿も相まって神秘性を纏った神社でした。
日南に観光に来た際にはぜひ訪ねていただき、しばらくこの神秘の世界に浸ってみてもらいたいと思います。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。