黒坂岳央です。
補助金縮小でガソリン5円程度値上げになるニュースが話題を呼んでいる。だがガソリン代が上がること自体が問題ではない。値上げ前の駆け込み給油で大行列を作ったことである。
歴史を学ぶことでわかるのは、人類がいかに歴史から学ばないか、であるという話がある。今回の話もまさにそれだ。こうした駆け込み消費はガソリンに限らず、うまくいくことがほとんどないのに、人類は同じ歴史を繰り返してしまう。
誰もがSNSを使い、コスパ・タイパが大衆の思考になっても人間心理は変わらないままだ。SNSで駆け込み給油の様子を見て、「早くしなければ!」とさらに多くの人々が行列を作ってしまう。文明の利器は人間の非合理な行動にさらに拍車をかける逆効果を生み出す。
一体、何が問題なのだろうか?
駆け込み給油はコスパ最悪
駆け込み給油はコスパ面で最悪といっていい。数字を使って論理的に考えればわかる。
値上げ幅はおおよそリッター5円。軽自動車は平均して約27リットル、普通自動車は50リットルの給油が可能だ。
ざっくり、3分の2を給油すると計算すると、軽自動車は18.33リットル給油ができ、値上げによるコスト増は約91.65円。普通自動車は約33.33リットル給油でき、値上げコスト増は約166.65円。仮にほぼタンクを空っぽにして給油をしても、せいぜいその値上げインパクトは200円程度にしかならない。
この200円を稼ぎ出すのに必要な時間は、時給1000円の仕事をしているなら25%割増賃金で残業すれば約9分36秒、10分間だ。
つまり、10分間残業して200円を稼いで値上げ後に待たずに給油するほうが、駆け込み給油の行列に1時間並んで給油するより遥かにコスパが良いという計算だ。
駆け込み消費は明らかに損
ガソリン給油に限った話ではないが、世の中の「駆け込み消費」はほとんどの場合、損しかしない。
筆者は値上げ、増税、閉店セールなどの買い物を様々経験してきたが、多くの場合は駆け込み消費前にすでに販売者側で値上げがなされていることが多く、行列に並んで割高な買い物をすることがまったく割に合わないことがほとんどである。値上げの有無はさておき、行列に並ぶ時間は確実に無駄になる。ほとんどの駆け込み消費は「並んだら負け」なのだ。
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「みんな並んでいるから今のうちに!」と焦燥感から割高な買い物をさせられたり、時間を差し出されるのはシンプルに損である。何かの行列に並ぶ時、その時点で何らかの戦略の誤りを疑うくらいで良いだろう。
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