食費の高騰でエンゲル係数が28.3%に:先進国の座は過去のものか

2024年の消費支出に関する総務省の家計調査によると、日本の家計における食費の負担がかつてないほど増していることが明らかになりました。

消費支出全体は実質で前年比1.1%減少し、1世帯あたりの平均消費支出は30万243円となりました。そのうち食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%に達し、1981年以来の高水準となりました。

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食品価格の高騰が家計を直撃しています。特にコメは前年比27.7%の値上がり、生鮮野菜や果物も大幅に価格が上昇しました。

一般的に、エンゲル係数が高い国は発展途上国とされてきました。つまり、現在の日本の家計に余裕がないことを示唆しています。

もちろん、近年は外食の普及や食文化の変化もあり、エンゲル係数がそのまま貧困度を示すとは言い切れませんが、物価上昇が家計を圧迫し、実質賃金の伸びが追いつかないまま、日本の貧困化が進行している可能性には留意すべきです。

内閣府の1月の消費動向調査によると、2人以上の世帯のうち「1年後に物価が5%以上上昇する」と予測している人は5割を超えました。消費者心理も萎縮する一方です。

一方で、日本の農業を保護するために高関税が維持され、その結果、国内の食料品価格は上昇し続けています。

エンゲル係数の上昇こそが、日本経済の実態を最も端的に示しているのかもしれません。

生活が苦しくなり、食費の割合が増え、自由に使えるお金が減っていく――。それでも、政府は「緩やかな回復基調」などと言い続けるのでしょうか。