薪ストーブ:捏造されたブーム

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薪ストーブ関連では、よくこんなキーワードを拾うことがあります。

「湘南スタイル」「湘南の冬の風物詩」「薪ストーブが元々多い」
「薪ストーブは湘南の定番」「葉山町で薪ストーブライフ」
「おしゃれなアウトドア、エコなセレブ生活」「湘南の暖を支える」
「湘南の暖房の主力」「湘南のマストアイテム」云々。

噴飯するようないい加減なフレーズが並びます。

そんなものは、元々この地域には存在しません。薪ストーブ関連や建築不動産業者たちの仕掛けたブーム煽りの言葉です。

「風物詩」でも「定番」でも「主力」でも全くありません。多くの「まともな住人」はそんなことを言っても思ってもいない。本当に地元愛にあふれた人は、こういう迷惑発煙行為はしていません。

「湘南スタイル」を勘違い、履き違えている人(特に勘違い移住者)が増えてきて本当に迷惑です。

元々の住人たちは、

きちんと相手の立場に思いを致して近所に迷惑を掛けず、
静かで快適で綺麗な環境を享受しながら平穏な生活をしてきた、
常識と良識をもった住民たちが平和で快適に暮らしてきた、

それが本当の元々の「湘南人の生活スタイル」です。

当然、住宅地で煤煙臭気をまき散らすような薪ストーブや暖炉など、元々普及などしていません。廃掃法厳格化以前から「焚火をしない時間」というような地域の素晴らしいルールさえ有った地域です。

以前から、住環境で煤煙を出す行為は迷惑と見なされている地域です。

そもそも湘南という場所は、冬季でも温暖で生活しやすい気候環境であることから、別荘地や保養所などが多いわけです。

極寒冷地でもないこの地域、必ずしも薪ストーブのようなもので暖をとらなくてはならないような土地柄ではありません。それでないとダメだという必然性が全くありません。

温暖地域では薪ストーブは極めて特殊な趣味性の濃厚な領域の機器であり、奢侈品であり、生活必需品とは言い難いものです。

元々僅かに残存していたのは藁葺き屋根に囲炉裏です。それは家屋の外に薪ストーブや暖炉のように大量の排煙を出していません。屋根の茅葺きがフィルタとなって家屋の外には殆ど出ません。

そのかわり家の中は燻製状態だったそうです(経験無いのでわかりません)。

それも50年くらい前にはほぼ潰滅したはずです。

薪ストーブや暖炉は現代の日本の住宅事情からみて、近隣じゅうに迷惑がかかるのが子供でも判ることだから、住宅地で煤煙臭気をまき散らすような薪ストーブや暖炉など、わざわざ設置するということ自体、少なくとも住宅地では「あり得ない事」でした。

ここ20年前後のブーム(某業界のしわざによる:詳しくは後日稿にて)になる以前は、この地域でも薪ストーブなど設置している家屋はこの地域では見たことすらありません。

「薪ストーブが元々多い」などは根拠の全く無い完全な虚偽情報です。ある業者の言う「元々普及している」などというのは完全な妄言です。

「湘南の冬の風物詩」というのは薪ストーブに携わる業者の販売促進のためのイメージ戦略のキーワードでしかありません。

元々無いのだから、「風物詩」などと煽ること自体、根拠の全くないことで迷惑千万です。

田舎暮らしに憧れて湘南に引越し、田舎だから薪ストーブや暖炉を設置してモクモクやってもいいのだ、薪ストーブ関連業者は「無煙無臭です」「住宅地でも全然OK」等と無責任極まりないセールストークを展開し、更にはそれを煽るような雑誌や多くの書籍までも登場しました。

それを真に受けて大きな勘違いをし、たとえ住宅地であっても、法律や条例が無いし、エコな事しているのだから文句を言うな我慢しろ、或る意味自分勝手でも問題ない、薪ストーブや暖炉をがんがん焚いて、おまけに廃材まで燃やして煤煙臭気モクモクやっても完全に許される、全く問題ない、何が悪いの?という人格を疑うような行動を許容するような間違った認識を植え付けてしまったことが彼ら扇動者の「自覚無き大罪」です。

そして、そのような勘違いで引っ越してきた住人たちを見て、

元から居た住民の一部で、お金が少し余って、でも他に趣味の無いような人たちが、やはり妙でお門違いな勘違いをして、又は「新参者になんか負けるものか!」と張り合って見栄を張って、よくリサーチもせずに同じように住宅地の中で薪ストーブや暖炉を設置して虚栄心を満たしつつ、周辺に対する配慮の気持ちすら一切無く傲慢自分勝手な思考のもと、一方的にモクモクしてしまった、という残念な状況が実際のところです。

「湘南で薪ストーブライフ!」「北欧みたいでおしゃれ♪」などと、脳みそのふやけた戯言を口ずさみながら薪ストーブや暖炉を主目的に引っ越したりリフォームしないで欲しい。

元々のきれいな空気を汚す人が増えるのはもう、これ以上は勘弁です。

これから湘南に住もうと思っている人、現住でリフォームしようかと思う人に言っておきます。薪ストーブをやたらと勧める業者は絶対にお薦めしません。

後々であなたと周辺住民とのトラブルになる可能性が確実に高くなります。

空気が綺麗だから湘南に引っ越そうかと思っている人にも言っておきます。

現段階では、やめておきなさい。

せっかく引っ越してきて、空気がキレイ!と思ったのもつかの間、運悪く近所に薪ストーブハウスが出来たら、ジ・エンドです。

お金を貯めて家を建てて夢いっぱいで引っ越してきた、それが一瞬で、毎年、約半年間を何十年も、いつ終わるとも知れぬ、繰り返す悪夢に変わります。

それこそ、

「人生で最悪の家造り」になってしまいます。

「あなたの人生から豊かさを奪い最悪にする、他人のその最凶の道具」のせいで。

もう一度言います。空気のキレイを求めるのであれば、今は湘南移住は、やめたほうが良い。

また、せっかく引っ越してきたのに、薪ストーブ家屋からの煤煙で喘息が悪化し、再び都市部に帰っていった人も筆者は実際に複数を知っています。薪ストーブが隣人の健康や人生、生活設計を狂わせる事象をいくつも見聞してきました。

それほど無配慮無神経な薪ストーブ使用者は罪深いものです。


編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2025年3月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。