2月に静岡から福岡に異動しました。
転勤はもう慣れたのですが、転勤先の支店の業務のやり方やらルールやら人やらを覚えるのはなかなか大変です。普通の業務をやるのにもいつも以上に時間がかかってしまいますし、それゆえストレスも感じます。
このストレスを持ったまま明日からの業務をするのはかなりしんどいと思い、福岡に異動が決まってからずっと行きたいと思っていた島に行くことにしました。
それは相島。海の中道の北に浮かぶハートを逆さまにしたような形の島です。古くから休みの日には釣り客でにぎわう島だったのですが、近年その様子が一変しました。きっかけは2013年、アメリカのメディアCNNがこの島を「世界6大猫スポット」として紹介したこと。海外から人気が火がつき今や内外から観光客が訪れ猫と戯れる「猫の島」となりました。
船は福岡市の隣、新宮町の相島渡船新宮待合所から出港します。休日はかなり混むという噂を聞き、7:50の第一便に乗ることにしました。7:30に車で船着き場に来ましたが、駐車場は7割ほどうまっています。この時間は猫目当ての観光客は少なく、多くは釣り目当ての方のようです。
ちなみに船は夏期は一日6便、冬期は5便です。海の状況によって欠航があります。特に島に渡った後で欠航すると大変なので海の状況のチェックは必須です。
朝日に照らされて、いざ出発!
船はテレビを見ながら寛げる船室とオープンデッキの2階建。
船に揺られて17分ほどで相島が見えてきました。ここは外海なので波が高い日は船がけっこう揺れるそう。この日は波も穏やかでした。8:10前に島に無事到着。猫目当ての少女たち家族連れなどとともに下船します。
下船した途端、第一猫発見!港でさっそく下船した船客を出迎えてくれます。まぁ、エサ目当てなんでしょうけども寄ってきてくれるだけでうれしいです。
出待ち猫。
もう港の前だけで何匹も猫がいます。どこに猫がいるのか探す必要なんてありません。海辺を中心に歩けばそこはもうキャットパラダイス!猫撮り放題です。
ベンチは人より猫が座ってることの方が多い。
営業前の屋台の前に座る、番犬ならぬ番猫。
写真を撮ろうとしゃがめば「エサくれるの?!」と寄ってくる。
トラ:お前こないだ俺のおやつ取ったよな?
黒:なっ…なんのことですか、兄さん…取ってないっすよ(汗)
茶トラ:「ねぇ…この前のこと怒ってる?」
ミケ:「別に」
茶トラ:「やっぱ怒ってんじゃん…」
そんな会話を想像しながら島を歩きます。相島の人口は215人。他方猫は200頭いると言われており数が拮抗しています。近年観光客が増えるにつれ猫の持つ病気などを気に掛ける声が上がり月に一度獣医が来て猫の様子を見て回っているそうです。
猫を病気から守るための募金を募る猫地蔵も神社の前に備わっています。
海の向こうに何を見る?
近くに寄っても全然気にせず写真を撮らせてくれます。
特にこのジンジャーキャットは始終のんびり。
ブロック塀の上で休む隻眼らしい猫。
パトロール中。
寿司のおこぼれ待ち…?
どっちもネコ。
朝鮮通信使の上陸に用いられた「先波止」。
少し猫から話題を変えましょう。実はこの相島は江戸時代、朝鮮からの派遣団、朝鮮通信使の中継地として利用されていました。江戸時代、日本は鎖国政策を敷いていましたが、朝鮮とは継続的に交易を続けていました。朝鮮から来た朝鮮通信使はこの島を経て大坂、京、江戸に向かっていました。
相島にはそんな朝鮮通信使が利用していた「先波止」などの遺跡が残っています。日本本土を目の前にして、相島はその準備を整える重要な島であり、相島の人々も何度となく彼らをもてなしたといいます。
昨夏、わたしも相島上空を飛んでいました。
相島と志賀島の間の海は福岡空港を離発着する飛行機の航路になっています。島を歩いているとしょっちゅう飛行機が飛んでいく姿を見ることができました。相島周辺は今も変わらず交通の要衝であり続けています。
港に本土から来た次の船が到着しました。私が乗った船と比べると混雑度が高い模様。多くの乗客が相島に降り立ちます。9:00前に島に着くこの船の乗客は釣りのほか猫目当ての方も多くいる模様で、下船後「猫にまっしぐら」な方が大勢いました。猫の写真をゆっくり撮るなら私が乗った7:50発の第一便がおすすめです。
「大人2枚と猫1枚ください。」
わたしは10:50発の船で本土に帰ることにします。切符売り場にも猫。ホントは入ってきたらダメみたいなんですが、平気で入ってきちゃいますね。11:00からは昼食を提供するお店も開くようなのですがそれは次回の楽しみにしたいと思います。
写真は甘鯛の某鮨。
その代わりと言ってはなんですが、対岸の新宮町のJAが営む「ひとまるの里」で相島名物の棒鮨(1000円)を買い、家でいただきました。九州電力が行う地域活性化PJで生まれたという海幸棒鮨。相島産のヒジキや大葉が混ぜ込まれた酢飯に、相島近海で獲れた旬の魚がぜいたくに乗った一品です。
どこを歩いても猫に出会う猫の島、相島。どの猫もマイペースで自分の時間をのんびりと過ごしていました。ああ、うらやましい。猫になりたい。と思いつつ後ろ髪をひかれながら本土に帰りました。
福岡から1時間でアクセスでき、猫から明日からの活力をもらえる相島。猫好きなら絶対訪ねたいスポットです。ぜひみなさんも猫から元気をもらいに訪ねてみてはいかがでしょうか。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。