若者が気付かずに取ってしまう「とてつもないリスク」

今週、ライバーの女性が山手線の高田馬場駅近くの路上でライブ配信していたところを、ファンの男性に刺殺される事件がありました。

投げ銭と呼ばれるファンからの資金提供だけではなく、数百万円の資金の貸付けに対する返済を要請し裁判を起こしたにも関わらず無視されたことから、恨みを募らせた容疑者が犯行に及んだものです。

女性側は男性の強い怒りの感情に気が付くことなく、知らないうちに命を狙われるという「とてつもないリスク」を取ってしまいました。容疑者に非があるのは当然ですが、被害者も相手のファン心理を利用して度が過ぎる営業行為を行い、恨みを買った時の恐ろしさをもっと知っておくべきだったと思います。

少し前に話題になった闇バイトも、気軽に始められる高収入の仕事だと思っていたら、気がつかないうちに犯罪に巻き込まれてしまいます。中には、殺人事件の加害者になってしまい、人生を棒に振ってしまうような「とてつもないリスク」を取ってしまったケースも存在します。

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最近、自転車評論家の疋田智氏が書いた記事がSNS上で話題になっています。

それが、漕がずに猛スピードで走行できるフル電動自転車(通称:電ジャラス自転車)のリスクです。

本来はナンバープレートを付けて原付と同じような登録が必要な二輪車を無免許で走り回る。このような車両で万が一人身事故が発生した場合、死亡事故となれば、1億円を超える賠償金が請求される可能性もあります。ところが保険の適用外となり、加害者が賠償を自己資金で行う必要が出てきます。

支払えない場合には自己破産になりますが、賠償が免責されない可能性があるというのです。最悪の場合、自己破産した上でその後も一生収入の一部が常に差し押さえられる人生という「とてつもないリスク」を負ってしまうのです。

無知が故に上記のような様々なトラブルに巻き込まれ、一発で人生が詰んでしまう。知らない方が悪いと言えばそれまでですが、それはあまりにかわいそうです。

人生を甘く見ることで生まれる「とてつもないリスク」について、もっと多くの若者に知ってもらえる機会を作っていかなければなりません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。