さぁ、万博、未来は拓くか、赤字は避けられるか?

なんとも微妙なタイトルですが、外から見る万博にはそんなイメージがあるのです。今さら万博という気もするけれど、イベント好きな日本の方はなんだかんだ言いながら行くのだろうな、という気もします。

吉村大阪府知事 もずやん@大阪府広報担当副知事Xより

1970年の大阪万博来場者数が6400万人、2005年の愛知万博が2200万人。今回の万博は前売り券の販売目標1400万枚に対して現状800万枚。愛知万博を超えるかどうかは現状微妙ですが、私は案外、外国人観光客ブームの勢いに乗ってそれなりの来場者数になるのではないかとみています。

私の周りのカナダ人たちも「俺も、私も…」的な感じ。東京のシェアハウスに滞在している外国人も「万博見てから帰国する」と言った具合で私のところに万博の話題を振ってくるのはなぜか全員外国人というのもなんとも言えない話であります。

更におかしいのは当地の大手メディアから取材を託された私の長年のカナダ人の友人が一週間前に「ひろ、頼みがある。俺が1月から申請しているメディアパスの返事が全然来ないんだ。ウェブサイトもあるところまで行くと日本語だけになって読めないし、どこにどう問い合わせたらいいかわからない」と悲鳴。そこで彼の申込番号など詳細情報を添えて日本語のお問い合わせフォームに日本語で事情を書いて送ってもなしのつぶて。いよいよ電話しなくてはいけないと思いきや、電話番号が見つからず。

想像できるのは担当窓口が外国人とのやり取りでてんやわんやの状態になっている可能性でしょうか。だってメディアパスなんてどういう説明をすれば「メディアの人間だ」と証明できるのでしょうか?ユーチューバーやブロガーもメディアですかね?つまり定義があいまいなのだと思います。

知日派英国系カナダ人と典型的なカナダ人ファミリーのお父さんと私の先日の会話。万博に行くことにしたカナダ人ファミリーの父親氏は「昨年の春休みに初めて東京に行ったけど、とても楽しくて家族がまた日本に行きたいとせがむので今回は夏休みに万博に行くんだ!」。英国系カナダ人曰く「夏の日本はとてもじゃないが普通では過ごせないぞ。湿気もとんでもないし。更にホテルもどうせリーズナブルな価格のところは取れないだろう」と冷たい返事。私は「万博会場直行長距離バスを使えば安く旅行できるかもよ」と外国人が思いつかない裏技で応酬しました。ちなみに会場直行長距離バスは新宿から日に5便も出るのをはじめ、名古屋、福井、高松、広島、徳島などいろいろ出ているようで夜行バスで会場に朝早く到着、帰り便は夜遅くの発でまる一日、会場にいられるような時間帯で運行されるものも多いようです。これなら宿泊は避けられます。とはいえ、大阪まで行って宿泊しない選択は外国人にはありえないかも知れませんが。

さて万博がなぜ盛り上がらないか?いろいろ意見はあると思うのですが、私が引っかかるのはメインテーマの「いのち輝く 未来社会の デザイン」。この日本語、理解できる人がいたら教えてもらいたいです。ところが英語の併記には「Designing Future Society for Our Lives」うむうむ、良い標語です。この標語、誰がどう作ったのか知りませんが、英語が先にありきで下手なコピーライターが無理な日本語訳をつけたような感じなのです。私が英語をベースに多少手を施すと「人類の未来、どんな社会か描いてみよう」になるのですが、これの方がイメージしやすいのではないかと思うのです。

どんなことにも批判派はいるもので今回も建築費や推進した維新の下心、とくに統合型リゾート開発のインフラ整備を兼ねたという政治的理由の指摘はあります。一方、大阪の地盤沈下を防ぐためには魅力づくりの努力を続けなくてはいけないのです。その為の投資だと思えば反対ではないと思います。またユニバーサル スタジオ(USJ)に近いことで、抱き合わせマーケティングもあり、京都に押され気味だった大阪がセンターステージに立つのは良いことだと思います。

ところで私は「秘密のケンミンShow」をよく見るのですが、国内文化比較というのは実に面白いと思います。その中で東京と大阪の比較は特に面白いと思います。東京人からすると大阪人は文化の濃さが怖くて店に1人で入るのは躊躇します。一方、大阪人からすると東京人は冷たくてめちゃ緊張するというのです。おかしいですよね。

日本に行ったことがあるバンクーバーの人に「東京、大阪、どっちが良かった?」と聞けば7-8割の確率で大阪と言います。多分、何を喋っているかわからないけれどフランクな性格に見える大阪人の方がとっつきやすいということではないかと思います。その点は私も認めます、東京は概して冷たい、そして一見さんは特に居心地が悪いと思います。ある意味、不思議です。もともと地方育ちの人が東京に出ると突然、東京人になるのです。

比較文化論的に言うとニューヨーカーに近いと思います。あそこも人種のるつぼだけどアメリカ人とは違うニューヨーカーという人格形成をします。以前、シェアハウスにいたニューヨーカーの若い女性がロスから来た同じアメリカ人の女性のことをけたけた笑って「あんたの英語、イモくさいわ」と言ったのは印象的でした。

今日のタイトル、「未来は拓くか」、これは大阪のために、「赤字は避けられるか」、これは維新のために捧げたいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年3月17日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。