ねんきん定期便の事業主負担:「企業も負担している」と注記するだけ?

厚生労働省は、2024年4月から「ねんきん定期便」の記載内容を見直し、厚生年金に加入する会社員向けの定期便に、事業主も加入者と同額の保険料を負担していることを明記することを決定しました。これは、SNS上で「事業主負担が記載されていないため、年金給付額を多く見せている」といった批判が出たことを受けた対応とのことです。

現在、厚生年金の保険料は、32等級に区分された月収に対して18.3%の保険料率を適用し、労使で折半して納めています。例えば、月収65万円の上限区分に該当する人は、労使合計で月11.8万円(本人負担は月5.9万円)を負担しています。

ねんきん定期便 日本年金機構HPより

これまでの定期便では、厚生年金の事業主負担に関する記載がなく、本人が負担した保険料のみが反映されていたため、SNS上では「事業主負担分がどこに消えたのか」といった疑問の声が上がっていました。

厚生労働省の担当者は、今回の見直しについて「制度そのものが変わるわけではないが、事業主が同額の保険料を負担している仕組みについて、国民の理解を深めてもらうことが目的」と説明しています。

「ねんきん定期便」に会社負担分の金額が記載されていない理由は、「会社負担分も含めると、支払った総額が寿命が尽きるまでに回収できないことが明らかになってしまうため」と考えられます。

しかし、「企業も負担している」と注記するだけで金額は明記されないんだとか。

しかし、議論の焦点がズレているように感じられるという指摘もみられます。

いずれにせよ、何が問題なのかわからずに厚労省を擁護する動きに歯止めがかかるといいですね。

2025年は、公的年金制度の見直しが行われる5年に1度の年にあたり、高所得者の保険料負担引き上げ案などが議論されています。こうした背景もあり、厚生年金保険料への関心が高まっています。