
Grok
報道では、兵庫県知事の処分や、知事の一連の判断に関する議論がされています。
そんな中、橋下徹氏がXで提言を含めて論考を発表しました。
(斎藤さん問題)
地上波・マスメディアの失態もしっかり踏まえなければならない。
パワハラ・おねだり問題では、信憑性の薄い職員アンケートを基に斎藤さんを過剰に責めすぎた。斎藤さんへの誹謗中傷にもあたる。… https://t.co/tT8AVTYjtJ— 橋下徹 (@hashimoto_lo) March 27, 2025
橋下氏の提言としては主に
- 斎藤知事は、辞職すべき
- 報道機関にも反省点はある
- 権力者への告発は、どのようなものであれ第三者機関にゆだねよ
の三点と読みました。
まず、橋下氏の具体的な批判と提言には敬意を表したいと思います。
また、斎藤知事が文書を入手した後、直ちに職員を調査した件については、「やりすぎであった」という意見については同意します。
もし根も葉もない怪文書ならば、斎藤知事自らが公表・反論して、あとは世論にゆだねるなどの手もあったように思います。
斎藤知事は辞職すべきか
ただし、一方で播磨元県民局長が報道機関等に「問題の文書」を送った3月初旬から、公益通報として受領される4月4日までの期間は、当文書が「怪文書」か、「公益通報」か、という点について意見が分かれるところです。私は、公益通報の手続きが完了していない以上、当文書は「怪文書」であると考えます。
繰り返しになりますが、「怪文書」とはいえ、当文書確認後ただちに通報者を探した斎藤知事の初動は軽率です。しかし一方で、もし当文書が役所のPCを使って、就業時間中に書かれたものであることが強く疑われる外形的な要素があるのであれば、調査そのものを「ただちに違法」とし、「辞職すべき事由」と考えるには、無理があると考えます。
一方で、「公益通報も県の内部機関の一つで、完全な第三者たり得ない」という告発者の言葉は重いものがあります。ここで必要な議論は、通報者にとって匿名性が担保される、しっかりした公益通報窓口の構築が必要だ、という部分だと考えています。また、それは兵庫県という一つの組織の話ではなく、我が国の企業を含む社会的な問題と思料します。
報道の問題
また、主に報道機関が「一方的にすぎた」という橋下氏の反省もおっしゃる通りと考えます。
ただし、橋下氏の視点として、そもそも多くの兵庫県民の怒りを巻き起こした背景について、主要メディアが、斎藤氏の功績やそれに伴う県職員の「斎藤おろし」のモチベーションがあった可能性について、まったく報じなかったという部分が抜けていると考えます。
例えば、天下り先の厳格な運用に関し斎藤知事が進めた改革が、どの程度の効果があり、結果役所職員としてはどのような反発が想定されうるか、という報道を、私は見たことがありません。
第三者機関について
橋下氏の提言について、「権力者に対する通報は、どこに通報されたものであれ、公益通報かどうか判断する第三者機関を設けよ」という件については、私は現実的ではないように思います。
私の認識が間違っている可能性もありますが、橋下氏の提言は、以下のような第三者機関を想定されていると読みました。

このような仕組みを、日本社会に敷衍して構築することが、はたしてできるでしょうか。例えば、一般の企業ではどうでしょう。どこに送られた怪文書であったとしても、その内容が公益通報かどうか判断するには、独立した第三者機関の判断が必要ということは、そのような機関を常設する必要がありますが、企業がそのような機関を設置する余裕はないものと考えます。
この仕組みのもう一つの問題点は、公益通報窓口とは別に「公益通報か否か」を判断する第三者機関を作った場合、通報者は公益通報窓口ではなく、とりあえず報道や、無差別ビラや、権力者の配偶者など、「最も効果がありそうな先」に怪文書を送ることを選ぶことになりかねない、という点です。
この議論でも、結論は「通報者にとって匿名性が担保される、しっかりした公益通報窓口の構築が必要」という議論の提起であり、「公益通報窓口を第三者機関にすべき」というところに落ち着くのではないでしょうか。

そうだとすると、それは我が国の法整備の問題となり、例えば外部機関として弁護士事務所等を想定するような議論の提起となりそうです。その意味で、提案は国会議員や政党に対してなされるものとも思います。






