4月13日 広島県尾道市に来ました。昨日、単身赴任帰宅で愛知県に帰っていたのですが、そこから福岡市に戻る途中、ふらりと寄り道したくなったのです。本当は京都に寄り道する予定だったのですが、天気が良くないとのことだったので天気が回復していた尾道を選びました。
尾道駅は2階が展望デッキになっています。駅の南はすぐ海。川のようにも見えますが尾道水道とよばれる海で、すぐ向こうに向島(むかいしま)が見えます。
向島には頻繁にフェリーや渡し船が出ていて尾道の市民の足として活躍しているのですが、駅にほど近い場所に渡船場があって福本渡船が施設の老朽化を理由に今年3月末をもって廃止されました。135年の営業に幕を閉じることとなりましたが、高校生が多く利用していた記憶があります。通学の影響が心配です。

残る他の渡船が向島と市街をつなぎます。
尾道水道沿いに遊歩道が整備されていて行き交う船を眺めながら散歩することができます。この遊歩道が好きで尾道に来ると必ずここを歩きます。
学校帰りに海辺で座っておしゃべり。最高の時間だよね。海辺の町でしかできない贅沢な友との過ごし方。
遊歩道にはところどころ桜も植えられています。だいぶ散ってしまっていましたが残った花の蜜を吸いにスズメが集まっていました。
尾道は海と山が迫る町。平地がほとんどなく、このような階段の脇に民家があることも珍しくありません。尾道きっての観光地、千光寺公園は千光寺山にあります。多くの人はロープウェイで登るのですが、わたしは頑張ってこの階段を登ることにしました。20分ほどのプチ登山です。
階段と上り坂の連続に心が折れそうになりながらもなんとか息絶え絶え千光寺公園に辿り着きました。最近できた新しい展望台、千光寺頂上展望台PEAKが出迎えてくれます。らせん状になった階段を登って展望デッキに向かいましょう。
眼下に広がる尾道水道と尾道の街並み。尾道に来るたび見ている景色なんですが、何度でも来たくなってしまいます。
東にはしなまみ海道の最初の橋、尾道大橋も見ることができます。これができて車で向島に渡ることができるようになりましたが、結構大回りになるので市街地からぱっと乗れる渡船の優位性は失われていません。
東の方からJRの列車がやってくるのも見えました。227系レッドウィング。新しい車両でこちらの方が乗り心地はいいんですが、写真的には国鉄の115系の方が黄色で目立ち、景色によく映えます。
展望台を降りて千光寺に向かいます。みなさんあまり気付いてませんでしたが途中の木の幹の枝分かれが動物の化身みたいでなんだか不気味でした。

千光寺裏門。
展望台やロープウェイの山頂駅から降りてくると、千光寺は裏手から入ることになります。

断崖絶壁に建つ鐘楼、驚音楼。
尾道の街中に鐘の音を響かせます。

千手観音が祀られる本堂。

本堂の向こうには山陽本線を走る貨物列車の姿も。
千光寺は806年に開基されたといわれる由緒あるお寺です。赤いお堂が特徴的で千手観音が祀られています。舞台造の本堂でここからも尾道水道の景色をよく眺められます。
展望台からの景色もよかったですが、少し降りて千光寺から見る尾道水道はより水道が近くに見えてこれもまた素晴らしいです。
千光寺をでて山を下っていきます。天寧寺の三重塔の脇の道を降りていくと猫が好きそうな細い路地に入っていきます。
この界隈は「猫の細道」と呼ばれ、猫を祀る神社やオブジェ、猫の絵画などが多くみられる「猫前面推し」のエリアです。
古民家を利用して造営された「福石猫神社」。正確には神社ではなくアート作品のひとつです。猫の絵を描いた石は神社の中だけでなく、細道のあちこちで見かけます。

古民家の壁面に猫のオブジェや絵が描かれます。

岩肌を猫に見立てて猫の顔を描いてみたり

路面のひび割れもここでは猫になってしまいます。
今回、本物の猫に会うことができなかったのが残念ですが、猫愛に溢れた猫の細道。きっとその愛に導かれて猫も優雅にこの道を散歩しに来てくれることでしょう。
猫の細道を抜けて艮(うしとら)神社にやってきました。艮、つまり北東の鬼門を守る意味で建てられたといわれる神社。樹齢900年の大楠は県の天然記念物です。
この神社、すぐ脇に千光寺山に登るロープウェイがあって、大楠の上をゴンドラが渡っていきます。由緒ある神社の上を掠めていくなんてなかなか大胆な設計です。
歩き回ってお腹が空いたので名物、尾道ラーメンをいただきました。尾道ラーメンの店はたくさんあるのですが、海岸通り沿いにある「たつみ」さんの特製ラーメンをいただきました。尾道ラーメンの特徴である醤油ベースのやや濃い目のスープに表面に浮かぶ背脂がこってり感を加えてくれて絶妙な味に仕上がっています。
しっかりラーメンを堪能したのですが、デザートもいただいちゃいましょう。駅前にある「おやつとやまねこ」さんの「尾道プリン」は尾道みやげで買いたい一品。お店も昭和レトロを感じさせる懐かしさを感じさせる雰囲気です。
地元産の卵と牛乳を使ったプリンは牛乳瓶を小さくしたような瓶に入って480円。なめらかですがしっかりコクがあります。魚の形をした容器に入っているのはレモンシロップ。広島県はレモンの生産量が全国トップ。シロップをかければカラメルとはちがってすっきりさっぱりとした味わいに変化します。食後のデザートに最適でした。
急に決めてふらっと立ち寄った尾道でしたが、何度見ても美しい尾道水道の景色に猫の細道、グルメも楽しんで充実した3時間でした。福岡に越して比較的来やすくなったので、またこの景色を見たくなったらふらりと寄り道しに来たいなと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。