日本経済新聞社が2026年度の新卒採用計画について行った調査によると、2025年度に初任給を「月30万円以上」とする企業は131社にのぼり、前年度の58社から倍以上に増加したとのことです。
初任給30万円以上130社、25年度倍増 地銀や私鉄伸びhttps://t.co/4sm6DeDfBT
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) April 13, 2025
初任給全体の平均も過去最高を更新し、前年より約5%高い25万4228円となっています。

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大手企業だけでなく、地方銀行でも初任給の引き上げが目立っており、特に都市部よりも人手不足が深刻な地域での対策として行われています。福井銀行は、2024年春に20万5000円だった初任給を26万円に引き上げ、地元でのUターン就職を促す狙いがあるとしています。
名古屋銀行
2026年春の新卒初任給を30万円に引き上げ
2025年度比で4万円増
Uターン就職促進と人材確保を目指す pic.twitter.com/NPXLLd62zu— クラウディアK.S. (@prettyreiko) February 20, 2025
さらに、大和ハウスグループは初任給を10万円引き上げて35万円とし、金額ベースでは全体で最も大きな引き上げとなりました。同社は「これまで当社を選択肢に入れていなかった優秀な人材の獲得を期待している」としています。
大和ハウスに入社する後輩から
「入社直前に初任給が25万→35万に上がった」と— むさこボーイ@不動産マニア20代 (@musako_boy) February 25, 2025
さらに、サントリーホールディングス(HD)や大成建設は、転居を伴う転勤者に対して高額の一時金を新たに支給する制度を導入しています。
そして東京一極集中が進む。地方支社などを縮小せざるを得ない。
サントリーHD、転勤一時金50万円 大成は最大100万円:日本経済新聞(松井基一、橋本剛志) https://t.co/anECspAiH6
— のとみい (@noto_mii) December 13, 2024
採用人数についても増加が見られ、2026年春に入社予定の大学卒業者の採用計画は、前年より11.5%多い14万302人となりました。増加率こそ前年よりも鈍化しましたが、4年連続で2桁の増加となっています。文系(7.9%増)よりも理工系(16.0%増)の伸びが顕著で、特に技術系人材のニーズが高まっているそうです。
JR東日本、高卒・専門卒も総合職に 学歴で差をつけずhttps://t.co/JzSnFulwt2
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) February 28, 2025
業種別では、ドライバー不足が課題となっている陸運業で33.4%の大幅増となっていますが、大手以外で対応するのは難しい面もあります。
大手中心に進む賃上げで中小企業の対応が大変。前年の人手不足倒産は最多を更新しており、業種はサービス業、建設業、運輸業などの労働集約型産業で増えている。無理な賃上げで人件費上昇に耐えきれずの倒産も増加。大盤振る舞いの初任給上昇は就職氷河期だけでなく、中小企業にも大きく影響している。
— 中小企業診断士/行政書士@中村 (@kaisyasindan) February 3, 2025
企業は人手不足に対応するだけでなく、インフレへの対応や社員全体の処遇改善も意識しています。
いや、冗談じゃなくてそうなるかもしれない。私は日経平均が30万円になっているころに大卒の初任給は100万円になると言った時に「そんなバカな!」と言う反応ばかりでした。しかし、それから5-6年立ってすでに新卒の初任給は30万円に達しています。 https://t.co/i3AWsggyaj
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) April 1, 2025
業種別では、銀行業や鉄道・バス業界で初任給の引き上げ幅が大きく、採用競争が激化しています。ただし、その初任給の賃上げの原資は、ミドル世代の昇給を抑えることでねん出している側面もあります。
新卒の初任給30万円、氷河期世代の給料削って捻出してて草。 pic.twitter.com/6qj6RgXFUO
— お侍さん (@ZanEngineer) April 10, 2025
そもそも氷河期世代は政治からもなかったものとされてしまいました。
【悲報】氷河期世代、本格的に救済対象から外される
氷河期世代の給料削って新卒の初任給30万円捻出してんのに、さらに減税しようってのかい。
>国民民主党が30歳未満対象の「若者減税法案」を10日に提出へ 参院選に向けて若者の支持拡大を図る狙い pic.twitter.com/xryhD5WKsj
— お侍さん (@ZanEngineer) April 9, 2025
一方で、アメリカのトランプ政権による関税政策などで世界経済の先行きが不透明になっており、企業業績が悪化すれば、新卒採用計画を縮小する企業も出てくる可能性があります。
株式市場の暴落やサーキットブレーカー発動で、世界恐慌もありそうな雰囲気。
今年入った新入社員は、初任給30万円や50万円の、昔では考えられなかった金額もらったけど、世界恐慌になったら、来年からの新入社員はそうも行かない。
たった1年だけの好条件は、後の世代から「奇跡の世代」と呼ばれそう— ひきこうもり (@Hikikomori_) April 7, 2025
ただし、新卒の初任給が30万円以上となっても、それに見合ったパフォーマンスを出すにはしばらく時間がかかりそうです。
新卒初任給30万円超が珍しくなくなってきたけど、転職市場でスキルのわりに給与水準が高すぎて給料大幅ダウンもしくは買い手がない問題が浮上してると人材業界から聞いている。技術職ならともかく文系総合職の第二新卒に既にいる中堅社員を遥かに上回る数字を要求されたらドン引きするな。
— peko (@peko409) April 1, 2025