農林中金理事長「米国債大量売却は事実でない」

農林中央金庫の北林太郎理事長は、日本経済新聞のインタビューで、米国による相互関税導入直前の米国債大量売却について「事実はない」と明確に否定しました。市場で噂された農林中金の売り浴びせについても否定し、「収益力はすでに改善しており、市場急変時に慌てて対応する必要はない」と述べました。

参照:農林中金、4月の米国債大量売却否定 運用改革は中長期に 日経新聞

2024年度に行った低利回りの米国債などの一括売却は、運用改革の一環であり、すでに完了していると説明しました。

アメリカのFOXニュースなどで「農林中央金庫が米国債を損失処理し、トランプ前大統領の関税政策による影響から世界(中国を除く)を救った」との噂が話題になり「米国債を運用し、世界を大恐慌から救った日本のヘッジファンドに拍手を送ります」といった称賛の声も一部で見られましたが、フェイクニュースでした。

実際、農林中金は2024年4〜12月に約12.8兆円の外国債券を売却し、その結果、2025年3月期に1.9兆円規模の最終赤字に転落したとみられています。この責任をとって奥和登前理事長が辞任し、北林氏が4月1日に新理事長に就任しました。

その1.9兆円の赤字の穴埋めのため、米価が吊り上げているのではという「陰謀論」も登場しています。

もし農林中央金庫が米国債を売却していなかったとすれば、市場で起きた変動はやはり中国による売却が原因だったのではないかという点が、気になるところです。

一方、農政の迷走で、パンの方が米より安く感じられるようになっています。米中貿易摩擦などの影響で穀物価格が下がり、小麦の輸入価格は3年半ぶりの安値となりました。一方、政府が備蓄米を追加放出したものの、コメの店頭価格は高止まりしています。1食分の価格では、コメはパンの約2倍となっており、節約志向の家庭では小麦製品への関心が高まっています。

参照:「1食」のコメ価格、パンの2倍 日経新聞

参照:国民はJA農協が「儲かる値段」で買わされ続ける プレジデントオンライン

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