トランプvs.パウエル、どちらに分がある?

ユダヤ人の友人がバンクーバー最大級のメディアから委託を受けて万博で取材をしています。私に先ほど写真付きでメールが来たのですが、「白人の外国人が少ない」と。えっ?という感じです。万博の公式サイトも土日を外せば「平常」と出ています。外国人の夏休みにはまだ早く、本格的には6月後半から8月いっぱいがピークになるのでしょう。私の友人からは「官僚的な日本ではお前の助けがなければ入館のメディアパスすら手に入らなかった。だけど多くのスタッフは実に親切で楽しんでいる。既に記事は2本ぐらいかける準備ができているし、今回の訪日を契機に本を書こうと思う」と。ユダヤ目線の日本でも書くのでしょうか?よう知らんけど…。

では今週のつぶやきをお送りします。

トランプvs.パウエル どちらに分がある?

トランプ氏がFRB議長のパウエル氏を解任できるか検討すると報じられています。パウエル氏の任期は26年5月でルール上は解任できません。よってこれを無理やりやるなら非常にこじれると思いますが力づくで実行するのか、双方が落としどころを見つけるのか、はたまたトランプ氏のブラフなのか、どれもありそうです。ではトランプ氏の不満であるFRBは金利を下げる気がないという点についてどちらに分があるのでしょうか?

トランプ氏は関税上げ⇒国内物価上昇⇒国内景気低迷⇒利下げで刺激のシナリオです。パウエル氏は関税上げ⇒国内製品への需要過多⇒サプライチェーンの目詰まり⇒物価高騰⇒利下げ様子見です。パウエル氏はコロナの際の物価上昇がトラウマになっているのでしょう。当時と真逆のスタンスで「一時的な物価上昇」から「こびりつく物価」さらには「サプライチェーンの呪縛」へとスタンスが変わってきています。これ、私から見るとアプローチの違いに過ぎないのです。同じ問題に端を発しているわけで、それをどう解決に向けて展開するかの議論に見えます。

スタグフレーション、つまり物価は上がるが景気が悪いという状態になると一般的な金融政策では対応しにくく政策的な後押しが必要です。パウエル氏は物価が上がるなら金利は高めを維持したいし、トランプ氏は景気が悪いなら金利は下げたいというわけです。どちらも正しそうに見えます。個人的見解をすれば十分な対策を政権レベルで打ち出しながら金利は下げ気味にするのが正解だと思います。物価は上がりますが、消費者や企業に余力がなくなり、真の意味での物価過熱にはならないと考えます。また関税が自動車で25%ですから考え方としてはそれだけ余計に払えば丸く収まるのです。シンガポールなんて複数の税金を組み合わせると自動車は2-300%も課税されます。それでも廻るということです。

トランプ大統領とパウエルFRB議長

どうするウクライナ

このところニュースの主役から外れているウクライナ問題、理由は停戦交渉が膠着状態にあるからです。トランプ氏の「すぐに決着がつく」という言葉とは真逆で様々な利害関係が複雑に入り混じります。おまけにトランプ氏は資源ディールを推し進め、ウクライナからビジネスをかすめ取ろうとまでしているのです。傍から見ると結局ウクライナは丸裸にされつつあるように見え、コメディアン出身のゼレンスキー氏にとって笑い種になりかねない最悪シナリオが見えてきてしまいます。

停戦交渉の最大のポイントは2点。ひとつはウクライナはNATO加盟申請を諦めるか、もう一つは東部ウクライナの処遇をどうするか、です。前者はたぶん当面は代替案である欧州を中心とした平和維持軍の国境警備で妥協が可能な気がします。ただし、後者の領土割譲はゼレンスキー氏は譲らないでしょう。仮にプーチン氏が主張するウクライナの大統領選を早期に行い、別の人が大統領になった場合、あっさり領土割譲となる公算もあります。言い換えるとゼレンスキー氏のツッパリが今の問題が解決しない主因であり、交渉による落としどころをそろそろ提示しないと第三国による強制的な縛り、ないし世界世論を味方につけ続けるのが困難になる公算があります。

私がわからないのはウクライナの世論が真の意味でゼレンスキー氏を支持しているのかであります。同国の世論調査ではトランプ氏とケンカした直後、ゼレンスキー氏の支持率が68%までジャンプしていますが、基本的にはこの反応は瞬間的なものです。また戦争当事国の国民からすれば弱気になれないけれど本心はもうコリゴリのはず。日本が終戦した途端態度が変わったのと同じです。とすれば私はゼレンスキー氏は大統領選を通じて国民に問う勇気を出すべきだと思います。我々外野がどうこう言うより自国民にその判断を問うべきでしょう。

不動産は買いか?

金儲けの話が嫌いない人は少ないと思いますが、その中で不動産は人生最大の買い物であり、長期のローンを組んで買った自分の資産が少しでも値上がりしてくれるとそれは嬉しいものです。私の住むカナダのコンドミニアムの隣人が居住数年で売ることに決め、売り出しをしていました。金額が現在の市場価格レンジからはかなり上で「マジか?」という水準。しばらくして隣人とばったり出くわしたのでエレベータートークで「どうです?」ときけば「あの金額で売れたよ!」と。心の底で「えぇぇぇぇー」であります。多分数年間で3000万円は儲けたでしょう。

では日本。この10年強は不動産価値が大きく変化した時期だと思います。過熱感はないのですが、知らぬ間に人気ある物件なら2倍になっているという感じでしょうか?土地も場所により5割ぐらい上がっています。では不動産の高騰は今後も続くでしょうか?私の見方は土地代の上昇率より建築費の上昇率が高く、結果としてマンション価格の底上げが継続されるとみています。一方、土地については有効活用できなければ日本全土で一律平均で上がることはなく、今後はまばらな展開になるとみています。商業地は別ですが、住宅地で駅から遠いところは需要が限られます。人口減と人口集積が同時に起きるはずで今後、不動産価格形成はとてもいびつになるでしょう。

カナダのメディアは「今年の春の不動産市況はかつてない低調な展開」と報じていますが、私の隣家のように物件によってはすぐに売れます。ポイントは世の中に一つとして同じものがないはずの不動産において圧倒した特徴を持つ物件は値上がりし続けるはずで、長年お付き合いできる秘訣です。そんな不動産は日本でもカナダでもたぶん全体の数%しかないと思います。不動産で儲けたいなら価格で選ぶのではなく、物件の持つ価値観で選ぶ、これが最も重要なポイントです。

後記
先週末の土日にイベント出店。今回はアニメ本ではなく、転んでも骨が折れにくいカーペットと訪問介護事業の案内ブース。他の出店者はじゃんじゃん売れて2日で100万円ぐらい売るところも続出の中、私たちはゼロ円の売り上げ。それでもどうしても日本発のカーペットの下に敷くハイテク衝撃吸収材を紹介したくて私を含め3人がかりで95%の非日本人に売り込みです。2mの高さからガラス製のジャーを落としても割れないパフォーマンスをすればすぐに人は寄ってくるので3人がそれぞれのお客さんに商品の説明で2日間、しゃべり通しです。こんな地味なビジネスだけど日本のテクノロジーを紹介することもたこ焼きや弁当を売るのと同じぐらい大事なプロセスだと信じています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月19日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。