大企業健保、保険料率9.34%に到達:なんで保険料は簡単に上げられるの?

2025年度、大企業の従業員が加入する健康保険組合の平均保険料率が過去最高の9.34%となる見通しです。

背景には、団塊世代がすべて後期高齢者となり、現役世代からの拠出金が急増していることがあります。保険料率は18年連続で上昇しており、健保組合の約76%が赤字です。

賃上げによって保険料収入は増えているものの、高齢者医療への拠出がそれを上回り、健保組合の財政は改善していません。

現役世代が高齢者医療を支える構図が固定化され、保険料率が10%を超える組合も増加。企業にとって健保組合を持つ意味が薄れ、解散を検討する動きも出ています。

現在、家計の所得のうち社会保険料だけで約30%が消える計算で、消費や可処分所得に大きな悪影響を与えています。所得税や住民税の合計(15%前後)よりも負担が重く、消費税(10%)とあわせて実質的な国民負担率は非常に高い水準です。

一方、自営業者が加入する国民健康保険はさらに深刻な状況です。例えば京都市は2025年度に平均で約10%の保険料引き上げを決定。高齢化による医療費増加や財源不足が理由で、これまでのような基金や一般会計による補填は限界を迎えています。

政府は保険料抑制のため、高額療養費制度の見直しなどを打ち出していましたが、物価高の影響もあり改革は凍結中です。歳出改革による圧縮も計画されていますが、実行が遅れればさらなる負担増は避けられません。制度の持続性と公正な負担のあり方について、一刻も早い見直しと具体策の実行が求められています。

このような中、社会保障制度の改革が進まなければ、企業や家計への負担がさらに増大し、持続可能性が危ぶまれます。しかし、政治や世論の一部では、社会保障の重要な財源である消費税の減税を求める声が上がっており、制度の安定性に対する懸念が高まっています。

現在、健康保険料などの社会保険料が上昇し続けており、賃金の増加による恩恵が実感しにくい状況です。特に現役世代は、高齢者医療を支えるための負担が増加しており、この構図には限界が近づいています。