ロシア・ウクライナ戦争を終結させる秘策として、トランプ政権がクリミア半島を正式にロシア領として承認する案をウクライナ側に提案したことが判明しました。

クリミア半島 Wikipediaより
2014年のロシアによるクリミア併合以降、米国は占領を承認しない立場を一貫して維持していましたが、この提案はその基本方針に対する大きな転換を示しています。
トランプ政権、ウクライナに「クリミアをロシア領に」と提案 米報道 https://t.co/jsUQ1dbFt3
— 毎日新聞ニュース (@mainichijpnews) April 21, 2025
併せて、トランプ政権の和平案には、ロシアによるウクライナ東部4州の占領を承認することや、ウクライナのNATO加盟の可能性を排除する条件が含まれているようです。
この提案に対して、ロシアに奪われた領土の解放を求めるゼレンスキー大統領は面白くありません。
【ウクライナ アメリカの和平案を“拒否”】
ゼレンスキー大統領
「ウクライナはクリミア占領を承認しない。話すことは何もない」▼一部メディアでアメリカが「ロシアのクリミア半島領有」承認を和平案としてロシアに提示したと報道
→ゼレンスキー大統領はクリミア占領は認めないと改めて強調… pic.twitter.com/0Q9mBR0Pqv— 報道ステーション+サタステ (@hst_tvasahi) April 23, 2025
あからさまな「現状変更」を許すことは、悪しき前例を作るのではないかと危惧されています。
トランプ政権が停戦を求めすぎたために、露には停戦を高く売れる機会が到来してしまったということ。現在の攻撃をやめることへのご褒美が大きすぎる。昔占領した土地を認めてもらい、今回占領した土地を確保したうえで制裁が解除されるなら、「侵略は大成功だった!」以外の結論にはならない。
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) April 23, 2025
停戦案を呑まないゼレンスキー氏に対してトランプ氏はお怒りのようです。
Ukrainian President, Volodymyr Zelenskyy, is boasting on the front page of The Wall Street Journal that, “Ukraine will not legally recognize the occupation of Crimea. There’s nothing to talk about here.” This statement is very harmful to the Peace Negotiations with Russia in that…
— Donald J. Trump Posts From His Truth Social (@TrumpDailyPosts) April 23, 2025
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウォール・ストリート・ジャーナルの一面で「ウクライナはクリミア占領を法的に承認しない。これについて議論する余地はない」と豪語している。この発言は、ロシアとの和平交渉にとって非常に有害である。クリミアはバラク・フセイン・オバマ大統領の庇護下で何年も前に失われたものであり、議論の材料にもならないからだ。ゼレンスキー大統領にクリミアをロシア領として承認するよう求めている者はいないが、もし彼がクリミアを望むなら、11年前、銃弾一つ発射されることなくロシアに引き渡された際に、なぜ戦わなかったのだろうか?この地域には、「オバマによる引き渡し」以前から長年、ロシアの主要な潜水艦基地があった。ゼレンスキー大統領のような扇動的な発言が、この戦争の解決を困難にしている。彼には自慢できるものが何もない!ウクライナの状況は切迫している。平和を得るか、国全体を失う前にあと3年間戦うかのどちらかだ。ロシアとは全く関係ないが、毎週平均5000人のロシアとウクライナの兵士を救いたいという思いには深く関わっている。彼らは何の理由もなく命を落としている。ゼレンスキー大統領が本日行った発言は、「殺戮の場」を長引かせるだけで、誰もそれを望んでいない!合意には非常に近づいているが、「切り札のない」この男は、今こそ、ついにそれを成し遂げるべきだ。私が大統領だったら決して始まらなかったであろう、この完全な混乱からウクライナとロシアを救い出すことができることを楽しみにしている。
しかしながら、米国が軍事的介入する以外の方法で、ウクライナがクリミア半島ならびに東部四州を奪還する可能性は限りなく低いというのが現実です。
そして、米国はウクライナのために直接介入する気配は感じられません。2014年のオバマ政権期と同様にも、今のトランプ政権にその気は全くありません。
Obama (2016) said the small, NON-NATO country of Ukraine that sits on Russia’s border is not worth going to war over.
Obviously correct. We can’t fund this war forever. It’s time to wrap it up now, or they can continue without US taxpayer support. pic.twitter.com/QlSPulomLJ
— Geiger Capital (@Geiger_Capital) February 28, 2025
オバマ大統領(2016年)は、ロシア国境に位置する小さな非NATO加盟国ウクライナのために戦争をする価値はないと述べた。 当然のことです。この戦争に永遠に資金を供給することはできません。今すぐ終わらせなければ、彼らはアメリカの納税者の支援なしに戦争を続けることになるでしょう。
米国の代わりに欧州がウクライナ防衛にコミットしようとしていますが、どこまで本気なのかはわかりません。
【新着記事】アゴラ編集部: 欧州が大軍拡を表明:感じられない本気度 https://t.co/EX5attFBUa #アゴラ
— アゴラ (@agora_japan) March 10, 2025
トランプ氏はロシアが望むものをほぼ全て与えることで戦争を終わらせようとしています。この「宥和政策」が成功するかどうかはロシア次第です。
トランプの和平案はチェンバレンのミュンヘンの宥和と同じだ、という議論があちこちで起きている。 https://t.co/GED1mjdlrx
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) February 15, 2025
ウクライナを正式な国家として認めていないプーチン氏が、ウクライナの一部を手に入れるだけで停戦に応じるとは考えにくいでしょう。
“In 2008, Putin said to then President Bush, ‘you understand George, Ukraine is not even a proper country’. This is exactly what Trump is saying about [Canada].”
Journalist Gabriel Gatehouse discusses the US President’s remarks that Canada “only works as a State”.#Newsnight pic.twitter.com/KmDWzcRSsk
— BBC Newsnight (@BBCNewsnight) March 14, 2025
「2008年、プーチン大統領は当時のブッシュ大統領に『ジョージ、ウクライナはちゃんとした国ですらないんだ』と言った。まさにトランプ氏が(カナダについて)言っていることと同じだ」 ジャーナリストのガブリエル・ゲートハウス氏は、カナダは「国家としてのみ機能する」という米国大統領の発言について論じている。

トランプ大統領(ホワイトハウス X)、ゼレンスキー大統領(同大統領インスタグラム)、プーチン大統領(クレムリンHP)