米国、クリミア半島をロシア領土として承認へ:宥和政策は成功するのか?

ロシア・ウクライナ戦争を終結させる秘策として、トランプ政権がクリミア半島を正式にロシア領として承認する案をウクライナ側に提案したことが判明しました。

クリミア半島 Wikipediaより

2014年のロシアによるクリミア併合以降、米国は占領を承認しない立場を一貫して維持していましたが、この提案はその基本方針に対する大きな転換を示しています。

併せて、トランプ政権の和平案には、ロシアによるウクライナ東部4州の占領を承認することや、ウクライナのNATO加盟の可能性を排除する条件が含まれているようです。

https://twitter.com/show_murano/status/1914944136257708384

この提案に対して、ロシアに奪われた領土の解放を求めるゼレンスキー大統領は面白くありません。

あからさまな「現状変更」を許すことは、悪しき前例を作るのではないかと危惧されています。

停戦案を呑まないゼレンスキー氏に対してトランプ氏はお怒りのようです。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウォール・ストリート・ジャーナルの一面で「ウクライナはクリミア占領を法的に承認しない。これについて議論する余地はない」と豪語している。この発言は、ロシアとの和平交渉にとって非常に有害である。クリミアはバラク・フセイン・オバマ大統領の庇護下で何年も前に失われたものであり、議論の材料にもならないからだ。ゼレンスキー大統領にクリミアをロシア領として承認するよう求めている者はいないが、もし彼がクリミアを望むなら、11年前、銃弾一つ発射されることなくロシアに引き渡された際に、なぜ戦わなかったのだろうか?この地域には、「オバマによる引き渡し」以前から長年、ロシアの主要な潜水艦基地があった。ゼレンスキー大統領のような扇動的な発言が、この戦争の解決を困難にしている。彼には自慢できるものが何もない!ウクライナの状況は切迫している。平和を得るか、国全体を失う前にあと3年間戦うかのどちらかだ。ロシアとは全く関係ないが、毎週平均5000人のロシアとウクライナの兵士を救いたいという思いには深く関わっている。彼らは何の理由もなく命を落としている。ゼレンスキー大統領が本日行った発言は、「殺戮の場」を長引かせるだけで、誰もそれを望んでいない!合意には非常に近づいているが、「切り札のない」この男は、今こそ、ついにそれを成し遂げるべきだ。私が大統領だったら決して始まらなかったであろう、この完全な混乱からウクライナとロシアを救い出すことができることを楽しみにしている。

しかしながら、米国が軍事的介入する以外の方法で、ウクライナがクリミア半島ならびに東部四州を奪還する可能性は限りなく低いというのが現実です。

そして、米国はウクライナのために直接介入する気配は感じられません。2014年のオバマ政権期と同様にも、今のトランプ政権にその気は全くありません。

オバマ大統領(2016年)は、ロシア国境に位置する小さな非NATO加盟国ウクライナのために戦争をする価値はないと述べた。 当然のことです。この戦争に永遠に資金を供給することはできません。今すぐ終わらせなければ、彼らはアメリカの納税者の支援なしに戦争を続けることになるでしょう。

米国の代わりに欧州がウクライナ防衛にコミットしようとしていますが、どこまで本気なのかはわかりません。

トランプ氏はロシアが望むものをほぼ全て与えることで戦争を終わらせようとしています。この「宥和政策」が成功するかどうかはロシア次第です。

ウクライナを正式な国家として認めていないプーチン氏が、ウクライナの一部を手に入れるだけで停戦に応じるとは考えにくいでしょう。

「2008年、プーチン大統領は当時のブッシュ大統領に『ジョージ、ウクライナはちゃんとした国ですらないんだ』と言った。まさにトランプ氏が(カナダについて)言っていることと同じだ」 ジャーナリストのガブリエル・ゲートハウス氏は、カナダは「国家としてのみ機能する」という米国大統領の発言について論じている。

トランプ大統領(ホワイトハウス X)、ゼレンスキー大統領(同大統領インスタグラム)、プーチン大統領(クレムリンHP)