今日はソフトな話題から入りたいと思います。禁酒と禁煙、何が難しいのでしょうか?
この手の話は皆さんの人生経験の中でいろいろ思い起こすこともあるでしょうし、あるきまった答があるわけでもないと思います。各自が自分の性格に見合ったやり方で進めるしかありません。

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私のケースを簡単にご紹介しましょう。禁煙の話です。私は吸い始めはリーガルエイジをちょっと超えたぐらいで回りがモクモクやっている中で俺も、と軽い気持ちでスタートしたのですが、その後、それが癖になります。当時は今のように肩身が狭い思いはしなくてよかったのである意味、抑制する理由が見いだせなかったのです。
が、カナダにきて喫煙ルールがあり、さらに運動をするという生活習慣の変化において喫煙の制約の存在を意識し始めていました。ちなみに日本にいた時も2度ほど禁煙を試みたのですが失敗しています。当地でマラソン大会に出るための練習でもっと速く走りたいならタバコは絶対ダメという明白なモチベーションが強い意思となりました。それでもある日突然バシッと止めらないと分かっていたので細巻きの葉巻に切り替えて「口寂しさ」対策をしたのです。これが功を奏したと思います。
今、私は医者から酒を飲むな、と言われています。2度目の警告なので結構真に受け止めており、家の冷蔵庫からビールが消えました。その代わりノンアルビールにしたのです。もう1つは自分への褒美で週に2度だけ飲める日を作っています。これは私がお付き合いも多いので飲める理由付けだとも言えます。こうやって2か月近く経つわけですが、思ったよりたやすいことに気が付いたのです。家で何気にビールのプルトップを引っ張った時のシュパッという音が生活のリズムに於いて一日の解放感の音だったのです。だけどノンアルビールのプルトップでも同じ音がするじゃないか、と意識したのです。
酒量は当然減っているので外で飲んでも昔ほど欲しくなくなっていることにも気が付きました。良い傾向です。
さて、今日は禁煙や禁酒という話題を通じて意思の強さを考えてみたかったのです。私はやり抜く力(GRIT)が人生で如何に重要か今更ながら大事なポイントだと思うのです。
GRITをAI君に解説してもらうと
Guts (ガッツ): 困難に立ち向かう度胸、勇気.
Resilience (レジリエンス): 失敗や挫折から立ち直る復元力、粘り強さ.
Initiative (イニシアチブ): 自ら目標を見つけて、積極的に取り組む自発性.
Tenacity (テナシティ): 最後までやり遂げる執念、粘り強さ.
のかしら文字と出てきます。私がGRITという言葉に出会ったのはずいぶん前にアンジェラ ダックワース氏の『やり抜く力 GRIT』を読んだ時でこれは衝撃的に印象がありました。自分は粘り強い性格だというのは自負していたのですが、これを更に昇華させてGRITにするのだという気づきを与えてくれました。
最近、仕事をしていると奇妙な困難にぶつかることがやけに増えてきました。私が見る理由は社会が新たなレベルに上がるために様々なルールや制限やレポートを要求し、更にそれが正しく判断、処理されるかを複数レベルでチェックするようになっているのです。例えば銀行に行って窓口で海外送金なり、銀行為替手形作成なり、あるいは多額の預入れなどを依頼すると1人のテラーさん(窓口の人)が処理を完遂できず、後ろに控えるマネージャーが追認する仕組みになっているのです。なので処理に時間がかかるようになりました。
あるいは役所などとのやり取りでは担当者のメールにその上司がCCで入っており、最終的には担当者の一存ではなく、先方の上司の確認を経て物事が進んでいくという仕組みになってきています。これはある意味、ストレスフルで非効率でもあり、時として困難な状況にもなりえます。これら社会の変化にどう立ち向かうか、と言えば社会に抗う訳にはいかないので自分をGRITさせるしかないのです。私の周りでは嘆きの声、不満の声、時として暴力的な反抗すら見受けられるのですが、社会から逸脱しないようにぐっとこらえるしかないのです。
人々がかつて以上に不満を持つのは社会の変化に対して素直に同調できないことはあるでしょう。もちろん理不尽であれば声を上げ続けることは必要ですが、少なくとも私の住むカナダでは加速度的に社会の仕組みが変わってきており、文句を言う暇すら与えない状況なのです。
とすれば強い意志を持って今を乗り越える、そのようなメンタルの強さが今後社会を生き抜くにおいてとても重要なエレメントになると思います。私は自分の生きてきた昭和チックな緩い社会が懐かしいのですが、もうそこには戻ることは絶対にありません。むしろ今の若い方々が我々よりはるかにハイレベルのGRITを求められる時代に突入したのだろう思います。なかなか大変な世の中になったと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月27日の記事より転載させていただきました。







