空き家数を巡り『空き家天国』世田谷区が国の推計に異議

最新の国の統計では、所有者や用途が不明な物件が全国で約385.6万戸にのぼるとされています。しかし、東京都世田谷区が独自に調査をしたところ、区内の空き家の数は国の推計の4%弱にとどまっていると主張しています。このため日経新聞は、国の空き家対策は対象の絞り込みが甘く非効率になっている可能性を指摘していますが、実際のところはどうなのでしょうか。

空き家に関する国の統計調査は、総務省が2024年9月に公表した住宅・土地統計調査が最新のもので、2023年10月時点の推計値に基づいています。この調査では、全国の20万区域から無作為に抽出した各区域17戸ずつを戸別訪問し、空き家の有無を確認しています。

そのなかで東京都の空き家数は89万6500戸と全国最多です。とくに世田谷区は空き家数が5万8850戸と最も多く、個人住宅の空き家はそのうち2万3840戸にのぼります。世田谷区の空き家率は都平均と同じ10.9%ですが、空き家の「数」の多さでは都区部の空き家の6〜7軒に1軒が世田谷区に集中しており、『空き家天国』と指摘されていました。


新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化

国の推計では、広義の空き家は900.2万戸に達しており、全国の総戸数の13.8%を占めています。内訳は、賃貸用が443.6万戸、売却用が32.6万戸、別荘などが38.4万戸、そして所有者や用途が不明な「その他」の空き家が385.6万戸と推計されています。

空き家問題は、地方を中心に着実に進行しており、盗難や管理不全による地域への悪影響も懸念されています。

また、空き家の草刈りや管理代行を担う高齢者の活動が目立つ一方で、無資格業者による不正な仲介など、新たなリスクも顕在化しています。

世帯数の減少が進む中で住宅開発が続いていることから、今後空き家の数はさらに加速的に増えるとみられています。

放置された空き家は周囲への倒壊リスクや自治体の財政負担を招くため、推計のずれを放置すれば、本当に対策が必要な物件への対応が遅れる恐れがあります。しかし、推計はともかく空き家が増え続けることだけは確かです。

それでも東京の未来は地方に比べてはるかに明るいようです。