世界中から富裕層が集まるモナコは、美食国だ。上質で豊富なな地中海の海の幸と内陸の山の幸を使った、3つ星レストランの極めて洗練された料理から、食材力をストレートに生かしたシンプルな料理まで、フランス料理から中近東料理や日本料理まで、様々なおいしさを楽しむことができる。
流行に敏感で新店のオープンも多い中、2024年夏にオープンした「ラビス モンテ・カルロ」は、今、モナコで一番注目されているレストランの一つだ。

カウンターとテーブル席からなる空間。
”ラビス”とはフランス語で、”深海”の意味。深い海を彷彿させる絨毯の色合い。
©Veronese
仕掛け人は、ヤニック・アレノ。フランスで2軒のミシュラン3つ星店を手がけながら、世界中を舞台に活躍する、現在のフランス料理界を代表するの巨匠の一人。若い頃から日本と和食への興味を持っており、2018年に、和のエスプリが香るフランス料理と本格的な鮨を楽しめる「ラビス」を、パリにオープン。同店はミシュラン2つ星を得て、世界中の食通から愛されている。そんな「ラビス」が、2024年に世界へ拡大。モンテ・カルロと大阪に姉妹店が誕生した。

世界的名声を誇るヤニック・アレノと、「ラビス モンテ・カルロ」の料理長を務める岡崎泰也。
瀟洒なラグジュアリーホテル「エルミタージュ」に誕生した、モンテ・カルロ店。鮨カウンターに立つのは、パリの「ラビス」をアレノとともに立ち上げ、店の名声を高めた岡崎泰也。地中海で揚がる魚介の特徴を見極めた上で、脱水や昆布じめなどでそれぞれの魚の風味を高め、3種の酢で味付けをした日本産の米とともに、逸品の鮨に仕上げている。
鮨に先立って供されるつまみ的な小皿料理は、アレノのレシピ。食材の抽出液の芳醇な風味を利用したヘルシーなソースやコンテンポラリーで研ぎ澄まされた感性が特徴的な、アレノならではのフランス料理のアプローチ。そこに岡崎による和のエスプリがふわりと加わり、「ラビス」ならではの唯一無二の世界観を感じられるフランス料理を提供している。
つまみと鮨からなるコースを楽しみながらアレノのユニークなフランス料理&和食の感覚を楽しむもよし、岡崎が握る鮨に集中して、地中海食材が主役の鮨の魅力を満喫するもよし。いずれにしても、おいしさの本質に感動できるだろう。
そのおいしさは、すぐにミシュランも感動させ、オープンから数ヶ月後のこの3月の発表会で、ダイレクトで2つ星という高い評価を得た。

フランス料理と鮨、両方の魅力を楽しめる。
つまみも鮨も、利用する魚介や野菜などの食材は、そのほとんどが近郊産で持続可能に配慮したものを利用。廃棄ゼロにも強くコミットし、魚の頭や皮や骨は、ブイヨンなどの材料にする。モナコは以前から、国をあげて地球環境保全や持続可能な美食の啓蒙発展に努めており、「ラビス モンテ・カルロ」もその意識をしっかり共有している。
現代フランス料理の巨匠が披露する、極上のフランス料理と鮨が主役のエコロジーなレストランだ。
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