S&P 500は結局GAFAMが欲しいかどうか

先週のS&P 500は2本目の週足下ヒゲ陽線となった。先週の記事では日足サポートを5455に置き、上値余地を5600台半ばと置いたが、上下ともブレイクされてしまっている。5455は月曜4/28の無意味な下げを支えたが、水曜4/30のスタグフレーショナリーなGDPを受けてぶち抜かれてしまった。

しかしだいぶ悪化を先取りしてきたマクロ指標ではトレンドを変えることはできず、「月末は月中の値動きの逆張りのリバランスが入るとすれば米株とドルの買戻しになりやすいはずだ」としていた通り、一旦下値を試した後はじりじりと買戻しが入り、ついにS&P 500はプラス域で引けることになる。

「一度でも例えば”海外時間で大幅安→米国時間でフラットまでも戻せず大幅続落”を経験したらじり高モードが終わってしまう」としていたが、フラットまで戻せたことからじり高モードは終わらなかった。

その後はMSFTMETAの決算が一気に上に持っていった。マグニフィセント7が売られると何かと盛り上がる一方、戻る時は誰も取り上げないわけで、しかしここまで戻った後の米株は結局「マグニフィセント7が欲しいかどうか」に尽きるのである。

マグニフィセント7のうち滑ったのは結局AAPLだけだった。GDPで調整した後とはいえ、決算で更に上に飛べるのは先週の記事の想像を超えた。先週少しだけ話題になったAI過剰投資懸念もこれで終わってAIバブルが再開した様相さえある。

ここまで戻ったことで、過去の10%調整後のペースにようやく回帰する。もちろん急落が速かったのは珍しい人工的な下落だったためである。ローズガーデン以来の下げ幅については全戻しした形となる

GS CTAは少なくとも5月中旬までは買戻しが続くと推測する。

先週初めのデータとはなるが、DBの統合ポジショニングは少しだけ買戻しが進んだ。裁量投資家は結局ポジションを落としておらず、システマティック勢が行って来いになったということになる。

野村もVolコントロールの買戻しが続くと推定する。1ヶ月リアライズドVolはまだ高止まりしているが、これからローズガーデンの下げが抜けていくため、大幅な下落が見られない限り、1ヶ月リアライズドVolを用いるモデルは買戻しを指示するだろう。

GSの4/23時点のものにはなってしまうが、ディーラーがネガティブガンマ域で指数の上昇を迎えたことが分かる。

決算は終盤を迎えており、自社株買いブラックアウト期間も明ける。FOMCが控えているが、ドットプロットが出ないマイナー回なので、記者会見で失言が見つかるかどうかに注目することになる。

NAAIMは跳ね始めたため、これまでの数週間よりも買い場でなくなってくる。

テクニカル。2本目の週足下ヒゲ陽線のヒゲ5433が週足サポートとなる。25SMAも似たような水準に位置している。上値は5700近辺の週足50SMA、5750の日足200SMAが並んでおり、引続き5700台前半を簡単にぶち抜けるイメージは持っていない。さしずめ5433-5750のレンジというところか。

最も近いサポートは日足50SMAの5582となる。買い手は引続き自社株買いと機械勢の買戻しが主力と思われ、後者は今のようなじり高が続くと主に引け近辺に入りやすいだろう。逆に一度でも終日の大幅下落が見られたら機械の買戻しの勢いは削がれそうである。

通商関連のヘッドラインは先週まではポジティブなものが多く、楽観的な雰囲気が広がっているが、買い戻しているのがヘッドラインを見ない機械であることに触れずにファンダメンタルズから株価を解説するような声は聞く必要がない。ニュースの陰極については本ブログは4月上旬に既に通過したと述べている。逆に、機械に逆らって「織込みは楽観的すぎる」と下ヒゲ陽線に向けてショートするのは引続きワークしづらいだろう。もし5433が先にブレイクされれば再び下落トレンドが鮮明になる。


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年5月4日の記事を転載させていただきました。