上司が納得する提案の極意

こんにちは、徳田です!

今回の対談では、累計4,500社に導入され、組織の成長を支援してきた「識学」の事業戦略本部 本部長・吉原将之氏と、累計500社以上の海外展開を支援してきた私・徳田が、「上司が納得する提案の作り方」について語りました。

吉原 将之(よしはら まさゆき)氏
株式会社識学 上席コンサルタント/事業戦略本部 本部長。University of Central Missouriで英語教授法修士を取得後、アメリカでキャリアを開始。帰国後、教育系上場企業やBritish Council(英国政府系団体)などでマーケティング・事業責任者を歴任。 3児の父でもある。

徳田 祐希(聞き手)
世界へボカン株式会社代表取締役。「日本の魅力を世界へ届ける」というミッションのもと、日本企業の海外進出に特化したデジタルマーケティングを18年以上行う。越境ECの年商を34億円から1000億円まで伸ばすなど、数多くの越境ECのプロジェクトで成果を伸ばす。書籍を2冊出版。『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』、2025年4月に新しい書籍『越境EC&海外Webマーケティング“打ち手”大全 インバウンドを契機に世界を狙う 最強の戦略 91』を出版。また、1万人超えのYouTubeチャンネルで海外Webマーケティングに関する情報を発信する。

若手 vs 経営陣:海外展開に対する“ねじれ”構造

徳田:私が製造業・メーカーのお客様から「海外展開の相談」を受けると、よくこんな構図に出会います。

若手「このままでは未来がない。海外へ出よう」
経営陣「分かるが、今じゃない」

正確に言うと、社長は自社の将来のために海外販路開拓の重要性を感じているものの、取締役陣の合意が得られずに前に進めずにいる状況が多いです。

こういった会社内でねじれが発生している場合でも識学メソッドを活用して企業の成長を促すことができるかを吉原氏にお聞きします。

上司を説得してやろう!分からせてやろうというマインドは間違い

吉原氏(以下、敬称略):そもそも上司に何かを上申する際に、説得してやろう、分からせてやろうというマインドは上司部下の位置関係が崩れるためおすすめしません。

部下が考えるべきは上司の承認を得るためにどういったプレゼンテーションをすれば良いかという点です。そして伝えるべきは想いや情熱ではなく、事実です。ビジネスなので数値と期限を用い、上司が意思決定をするのに十分な情報を提供する必要があります。

徳田:上司は見返す相手ではなく、承認してくださる相手なので、きちんと承認に必要な情報を用意しなければならないという視点、とても大事ですね。それでは、どういった情報を持っていけば良いでしょうか?

提案を通すために必要な5つの情報

吉原:2050年には人口が1億人を切ると言われている今、内需が減少することは確かです。しかし、熱量だけで海外販路開拓が成功するほど簡単ではありません。そのため、上司に承認書運を得るための必要な情報を揃え、上申しなければ前進することはできません。

・対象国  :どの国に販路開拓をするのか?
・期限   :どれくらいの期間挑戦するのか?
・必要予算 :販路開拓に予算が必要なのか?
・目標売上 :どの程度の売上が見込まれるのか?
・撤退ライン:どういった結果になったら撤退するのか?

根拠と計画を明確に伝えることで上司も挑戦を応援してくれるかもしれません。

もし、上司に上申してもなかなか伝わらない方がいらっしゃいましたら、これらの情報が不足しているかもしれません。是非、見直してみてください。

徳田:長年、海外販路開拓に携わってきた身として、上申する際のアドバイスをするとしたら、どんなに国内でビジネスが上手くいっていたとしても、海外販路開拓はすぐにうまくいかないということです。

弊社で日本では誰もが知るメーカーの支援をさせて頂いておりますが、その企業の海外販路チームの方とランチをさせて頂いた際に「日本では知らない人はいないかもしれませんが、海外では会社の名前でアポイントや成約が取れるなんてことはなかった。」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

吉原:そうですね。海外販路開拓を博打にせずに冷静に判断する必要があります。

上司は部下にどう接するべきなのか?

徳田:企業の未来を担う若手が上申してきてくれることは上司にとって嬉しいことだと思いますが、感情に左右されず判断しなければならないと思います。部下が感情的に上申してきた場合、どのように対応したら良いのでしょうか?

吉原:情報が不十分では承認をすることができません。頭ごなしに否定をせずに、承認に必要な事実を部下に投げてあげることで部下が何処まで深く考えているのかを把握することができます。

部下が上申してきた情報をもとに組織が継続的に成長するために今、本当に海外販路開拓が必要なのか?ということを上司や経営陣は判断する必要があります。

徳田:なるほど。ここのコミュニケーションが不十分だと、若手が「この会社にいても未来はない」と判断してしまい離職を生んでしまったり、「この人たちに何を言っても無駄だ」と考え、提案してこなくなってしまいますね。「部下に承認に必要な情報を求める」という視点の重要性を感じました。この視点が上司、部下共にあると企業のコミュニケーションが円滑に進みますね。

〇×を明確にする

吉原:上記のような海外販路開拓に関する上申のプロセスを経ることで、その取り組みが良かったのか、悪かったのか〇×が付けられず、判断が曖昧な△ばかりが発生してしまいます。事前にどういう状態であれば〇×なのかを共通の認識を持つことで後で解釈がずれることがなく、判断をすることが可能になります。

徳田:なるほど…〇か×を明確にすることは企業を継続的に成長させるには不可欠ですね。

次回は、外国人部下のマネジメント、海外駐在での識学的アプローチとは?について引き続き吉原氏と対談していきたいと思います。

(次回につづく)