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転勤や進学などを理由に引っ越しを控えている人は多いのではないでしょうか。
今回は、1級建築士として30年間にわたり住宅設計に携わってきた八納啓創さんの著書「金運ハウス 一生お金に恵まれる家の秘密」(KADOKAWA)から、生産性を高め、経済的な安定につながる住環境づくりのポイントを紹介します。
『金運ハウス 一生お金に恵まれる家の秘密』(八納 啓創著)KADOKAWA
集中力を高めるレイアウトの重要性
仕事や勉強の効率を上げるためには、家具の配置が重要な役割を果たします。八納さんは次のように解説します。
「家の中を見渡してみてください。廊下から部屋に入るときに、扉に背を向けて配置している机やソファーはありませんか?これは、子ども部屋の学習机も同様です。もし、扉に背を向けて座るレイアウトになっていたら、扉が視界に入るように調整することをお勧めします」(八納さん)
人は背後に死角があると無意識に緊張状態になり、集中力が低下することが心理学的に知られています。背後でドアが開く音がすると、作業への集中が途切れてしまいます。一方、ドアが視界に入る位置にあれば、人の出入りがあっても集中力を維持しやすくなります。
このような環境の改善は、仕事や勉強の効率を高め、結果として収入向上や学習成果の向上につながる可能性があります。レイアウト的に扉を正面にすることが難しい場合は、横を向いたときに扉が見える位置に机を配置するだけでも効果があります。
快適な住環境づくりには、防犯対策も欠かせません。八納さん自身、20数年前に空き巣被害に遭った経験があります。
「夜中にトイレに行った際、リビングで人の気配を感じましたが、寝ぼけていたのでそのまま寝室に戻りました。朝起きると、ダイニングテーブルの上に夫婦の財布が並べられ、現金が抜き取られていたのです。もし泥棒と鉢合わせしていたらと思うと、今でも背筋が凍ります」(八納さん)
防犯対策は単に財産を守るだけでなく、家族の安全を確保し、安心して暮らせる環境を作るために重要です。防犯カメラの設置、窓や扉の施錠確認、センサーライトの活用など、基本的な対策を講じることで、被害リスクを大幅に減らすことができます。
住居費の適正化で経済的安定を
日本の住宅は新築から15年ほどで資産価値が大きく目減りし、購入時の2〜3割程度になることもあります。また、賃貸住宅に住み続ける場合も、家賃という固定費が生涯にわたって発生します。
「近年の光熱費高騰を予想していた人はどれほどいたでしょうか。賃貸の家賃や住宅ローンを収入に対してギリギリの金額で設定している人は、想定外の支出増により生活が困窮するケースが少なくありません」と八納さんは指摘します。
賃貸の場合は、より安い物件への引っ越しで固定費を削減できますが、持ち家の場合は住宅ローンの見直しや、省エネ対策による光熱費削減などの工夫が必要です。将来の収入変動リスクも考慮し、無理のない住居費設定が大切です。
快適で経済的に安定した生活を送るためには、まず生産性を高める環境づくりが重要です。家具配置を工夫し、集中できる環境を整えることで、仕事や勉強の効率が向上します。
次に、適切な防犯対策によって財産と家族の安全を守ることも欠かせません。そして、身の丈に合った住居費設定と将来を見据えた計画を立てることで、経済的な持続可能性を確保できるのです。
安心して暮らせる住環境を実現し、結果として経済的な安定にもつながります。小さな工夫から始めて、より良い住環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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