ムカつく相手との上手な戦い方

黒坂岳央です。

人生を生きていると、職場やSNSで攻撃的な相手や批判を受けることは避けられない。そんな時、上手な戦い方を知識として知って入れば、慌てふためいたり、過剰に不安になったり、激昂して相手のケンカを買ってしまうことはなくなる。

筆者は記事や動画を出している立場なので、難しい相手からコメントをもらってきた。駆け出しの頃は不安で夜も眠れぬこともあったが、今ではシステマティックに落ち着いて対応できるようになった。

多くの人は批判慣れしていないだけで、わかっていれば実は大して難しくはない。コツを提案したい。

Satoshi-K/iStock

見るべきは攻撃者ではなく「ギャラリー」

攻撃的な相手との勝敗は自分たちが決めるのではない。実は周囲でその様子を見ている観客、ギャラリーが勝敗を決めるのだ。これはディベートという競技ルールに似ている。ディベートは第三者であるジャッジ(審判)が決める。それと同じと考えてもらえばいい。

SNSを開くと毎日のようにあちこちで口喧嘩をしている。中にはヒートアップして、お互いに攻撃し合う姿も見られる。そしてフォロワーから「どうか冷静に。こんな人は相手にしなければいいのに。冷静さを失って怒っている◯◯さんは見たくありません」などとなだめられていることもある。

仮に口喧嘩に勝ったところで周囲の印象が悪くなれば、その戦いは「相手に勝っても自分にとっては負け戦」となる。時間もエネルギーも、そして周囲の印象も悪くなってしまうからだ。ダメージだけを負うならそれはもう完全に負けなのだ。攻撃者からどう思われてもいいが、周囲の印象が悪くなることは避けたい、と思う人は多いはずだ。

そのため、相手からの攻撃に対してはまず、周囲の印象だけを考えるべきだ。

非礼を品性で倒す

まず、基本的に失礼な人を相手にする必要はない。筆者は不快な相手の9割はスルーして一切反応しないようにしている。だが、どうしてもスルーしきれない場面も出てくる。そんな時はどうすればいいか?結論、品性で迎えればいい。

品性ある対応をすることで、ただ相手を打ち負かせるだけでなく、周囲の支持を得られる。特に、社会的に立場が上の人ほど、周囲は品性ある大人な態度を期待する。攻撃的な相手に感情的に反応し、わざわざ自分が下に降りて争えば、その時点で負けが確定してしまうわけだ。

有名インフルエンサーの中にはとても上手にこれをする人がいる。たとえば「お前はわかってないね」「そういうところがダメ」と上から目線で批判されたら、「なるほど、勉強になります」や「そういう見方もありますね」とテンプレ対応をしている。まさしくこれがベストな対応だろう。

ポイントは、相手を積極的に肯定も否定しないことだ。正面からぶつからず、かれいに交わす。イメージ、闘牛士が怒り狂う牛を赤いマントでひらりと交わすようなものだ。攻撃者も積極的に反論されているわけでもなく、相手もケンカを勝ってくれないから相手は空振りし、どこか間抜けに見えてしまう。

自分でもカッコ悪いことがわかっているから黙ってすごすごと退散し、周囲は「さすが大人の対応だ」と称賛するのだ。

相手のペースに乗らない

攻撃的な人は相手を煽り、自分のペースに引き込むことで優位性を保とうとする傾向がある。しかし、こちらがそのペースに乗らず、品性ある態度を維持すれば相手は勝手に自滅する。攻撃的な人ほど精神的に脆い場合が多く、精神的に脆いがゆえに最初から火力全開で挑んでくる。そこで高い品性がその弱点を突く武器となるのだ。

筆者もこの心理学を学んだことで、リアルでもネットでも相手が怒っている時ほど、スーッと鉄が氷で冷えていくように逆に気持ちが冷静になるようになった。

ケンカ、というのは一方的に怒り続けることはできない。相手も同じレベルに脳が沸騰しなければ成立しない。だがこちらはその手に乗らず、あくまで冷静に対応し続ければいい。

そうすれば、相手は怒り続けることができなくなり、エネルギーが切れたところでサッと幕を下ろせば戦いは終了する。戦わずして勝つわけだ。

いくら無礼な相手だからと、先方につられて怒るようでは相手と同じレベルである。華麗にスルーできれば相手は勝手に自滅する。一度敗北すれば、相手もプライドがあるのでもうケンカは売ってこなくなる。これが一つの最適解と言えよう。

 

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。