トランプ旋風は突風になり、今や暴風状態になっていますが、ひろの「私が見た未来」は4年後に照準をあわせ始めました。果たしてオセロ返しはあるのか、それともミーイズムで縮こまるアメリカが継続するのか、であります。特にトランプ氏に於いては大統領退任後、相当数の訴訟が待ち構えるはずで社会がそのゴシップ的な話で落ち着かなくなるだろうと想像しています。韓国となんら変わらない状況になるのでしょうか?世界はトランプ氏の報復が怖くて手足を縛られた状態ですが、4年後にそれが解き放たれた時が一番動乱が起きやすいともいえます。我々はずっと乱気流の中にあり、シートベルトは外せない状態が何年も続くのかもしれません。
では今週のつぶやきをお送りします。
市場はゴルディロックス?
アメリカの株式市場は総じて好調でおおむね新値更新が続きます。関税交渉で苦戦するカナダも実は指数はずっと新値をつけています。日本も日経平均4万円近辺にありますが、素地は上に向かう調整局面に見えます。ゴルディロックス(ぬるま湯相場)という言葉がありますが、私には「夏休みぐらい刺激が強すぎるニュースからは解放されたい」という我儘相場にしか見えないのです。トロントの証券マン氏から「カナダの金利は下がると思うか」と聞かれたので「秋の経済動向と株式相場次第だと思う」と返答しました。
市場をつぶさに見るとミーム株やビットコインの暴騰など大幅高になる銘柄や投資対象が散見される半面、多くの銘柄は高値水準で足踏みになっています。大手テック系でも株価が新値水準にあるのはマイクロソフトとエヌビディアだけであとはボチボチという感じです。カナダ銘柄では銀行株が驚異的に買われているのですが、理由が配当金。カナダの金利が更に下がるかもしれないという期待感の中、配当率が高い銀行などの銘柄に資金が集まっているのが現状です。つまり市場の本質である次の時代のコアとなる産業や銘柄への強力な資金の流れは見えないのです。極めて保守的なスタンスです。
ぬるま湯に浸かっているといつかは温度が冷めて風邪をひきます。私は秋に向けた投資戦略を考えているのですが、アメリカ関税8月11日に実施され、その影響が統計値に反映される9月から10月頃に調整期に入るシナリオを考えています。その場合、ドル安と世界不和がメインテーブルとなるので金(ゴールド)と上がり過ぎた金に対して銀が相対的に買われやすくなる状態は続くと見ています。金銀レシオは今年3月に102を超えていたのですが、現在は88程度。心地よいゾーンは80ぐらいで一定の調整が進めば金銀共に上がるシナリオはありえるかもしれません。
選挙主題 外国人政策
今までの選挙で在留外国人にここまで焦点が当たった記憶はありません。私が見るこの問題の背景は2つあります。1つはコロナでほとんどいなくなった外国人が一気呵成で日本に戻ってきたこと。それに対して日本政府が支援をし、「コロナ前の訪日外国人の水準を早く回復させる」という4000万人、6000万人といった数を追うだけの状況になっていたことが上げられます。もう1つは選挙におけるポピュリズムでしょう。一部の保守的な方には外国人が増えたことがうざいわけでそれを選挙議論のテーマに上げてくれれば注目に値します。
外国人問題で私が問題視するのは中国人に対するビザ発給要件の異様なまでの緩和ぶりで、10年といった長期間のマルチの訪日が可能になった富裕中国人が目指すのは日本の不動産取得でしょう。特に中国の都市部と比べれば破格に安い上に所有権付きという魅力があります。その上、運転免許証も簡単に切り替えられました。この自動車免許切り替えだけは早速見直しが入りましたが、今までそれほど放置プレーだったのかと思うと「驚き 桃の木 山椒の木」であります。
今の中国は日本のイシバに大満足しています。中国の社会科学院日本研究所所長の楊伯江氏が「今の政権が最良」と日経のインタビューに応じており、高橋洋一氏が噛みついていましたが、石破、岩屋、森山各氏の顔ぶれを見れば中国にとって笑いが止まらないのは言うまでもありません。おまけにトランプ氏との関税交渉は暗礁に乗り上げています。これは日本の政治の大変革のマグマが動いているとみています。選挙の行方はわかりませんが、与党の劣勢は否めず、当面は国政が不安定になり、方向性が明白になるにはしばし時間がかかりそうです。私が思うもう一つの外国人対策は入国管理局の強化と不法滞在者の徹底した取り締まりを進めるべきでしょう。
石破首相と習近平国家主席 中国外交部HPより
M&Aブームがもたらすこと
今年1-6月のM&Aが31兆円で世界のM&Aの1割を占めるほどになったと報じられています。以前から日本には上場企業が多すぎるから今より3-4割減らすべきと申し上げてきましたが着実にその方向に向かっているようです。私が目指すのは「上場会社を1000社減らせ」です。できれば2030年ぐらいまでに達成すべきです。これは資本効率を上げ、不必要な市場のレッドオーシャン化を避けること、更に不足する人材を有効活用するには企業合併による効率経営は避けられないのであります。また日本企業の内部留保、つまり現金を持ち過ぎ、配当もちょぼちょぼでは株主からは突き上げを食うということです。
その中でホンダと日産が興味深い協議をしていると報じらています。日産が持つアメリカの工場の稼働率が低いからそこでホンダのクルマをOEMで作るというわけです。もちろん、関税問題が引き金ですが、むしろそのおかげで両者の経営効率という点で結びつきができた点は喜ぶべきだと思います。日産のエスピノーサ新社長は就任以降、様々な手を打ち、必死の対策をしているのが手に取るようにわかります。同社の閉鎖予定だった追浜工場で鴻海と組んで車両を組み立てる可能性が出てきており、タブーなしの全方位攻めに見えます。
日本企業は今、過渡期にあると思うのです。それなりの規模になってそれなりの利益も享受できる水準なのですが、次の柱がないのです。そのために企業買収という手段に打って出るのは今の時代、最も効果が早く正しい戦略だろうと思います。海外で見る世界と日本を比べると日本人や日本企業がもつ素質は世界の中で突出していると思います。粘り強さとか改良するチカラ、最高の品質を提示し、長く使えるという意味では世界に類を見ないレベルです。今や埋もれた能力とも言えるのですが、これを引き出せば日本に夢よ、もう一度になるかもしれません。今までのやり方を変え、一歩飛び出す勇気を持てば人口減の日本でも面白い存在感を示すことができるはずです。
後記
相変わらず本はよく読んでいるのですが、骨のある内容とか、ボリュームがある書籍にも抵抗がなくなりました。一冊600ページぐらいを超えると昔は手が出にくかったし、書店でペラペラとめくりフォントが小さい書籍だとこりゃ大変だと思わず、書架に戻していたのですが、欲しければ買って読むようにしています。最近、読んだ中で耐性が必要だったのが世界で爆発的に売れた「三体」(劉慈欣著)かも。面白いですが、専門的な内容が含まれ、難解でもあります。タイパでAIの時代となれば一冊10数時間かけてこのような本を読むのは「無意味、非効率」と切り捨てられそうですが、読むチカラは大事だと思います。私は世の中がどれだけ「答え一発GPT」になってもこの非効率な読書という習慣は私のエキスの源として続けたいですね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年7月12日の記事より転載させていただきました。