参院選直前に、話題の参政党代表の労働政策がSNS上で話題となりました。
【参考リンク】参政党代表、引きこもり・ニートの労働を提言
外国人労働者を増やす前に、ニートや引きこもりを就労支援して働かせろというロジックらしいです。
今回の参院選では計15議席と躍進しましたが、果たして参政党のエキセントリックな労働政策は実現できるんでしょうか。
そして、外国人労働者抜きではもはや成り立たないと言われるようになって久しい日本経済が、真に向き合うべき課題とは何なのでしょうか。
いい機会なのでまとめておきましょう。

「働け」というだけで働かせられるなら誰もニートなんてやってない
ちなみに、筆者は過去に著作中で元ニートの人を取り上げていますし、自立支援施設にも取材に行かせてもらっています。
【参考リンク】3年で辞めた若者はどこへ行ったのか
そういう中で理解したのは、彼らニートは理由は様々ですけど自分でそういう選択をしているのであって、個別の事情をスルーしてお上の都合で一律の就労支援するだけでは問題は解決しないということです。
ちなみに民間の自立支援団体の取り組みですけど、それはもうその道のプロたちが日々知恵を絞って20年以上試行錯誤を続けているわけですよ。
寮生活を通じて規則正しい生活を送り、支援団体が用意した仕事に就いて肩慣らしをし、めでたく自立していく人もいれば、なかなか軌道には乗れない人もいるといった感じですね。
少なくとも、政府がポンとお金を出しただけですぐに外国人労働者の穴を埋められる可能性はゼロでしょう。
もうね、昔から多いんですよ。人手不足の業種に無職や生活保護受給者を送り込んで働かせろとか。
かつてソ連がホームレスを片っ端から強制収容所に送って「堕落した資本主義諸国とは違い、共産主義にホームレスはいない!」って豪語していた時代がありましたけど、あれと同じ感覚ですね。
では、彼らに対する支援はどうすべきか。筆者は自立支援は専門ではありませんが、企業内の人事制度を手掛けている身からすれば、勤続年数によらない流動的な人事制度整備が重要なサポートとなるはずです。
担当する仕事内容で処遇を決めるジョブ型人事はその代表でしょう。
というのも特に氷河期世代に多いんですが、新卒時に就活でコケた、(ブラック企業含む)不本意な企業にしか入社出来なかった→そのままニート入り、というパターンが目立つ印象があるためです。
人手不足の近年こそ「30歳までの応募可、新卒既卒、職歴の有無問わず」みたいな緩い求人も徐々に出てきてはいますが、これがもっとスタンダードになれば、新卒カードを使い損ねてそのままニート入りというパターンはかなり減らせるのではないか、と個人的には考えていますね。

【参考リンク】第一志望が「通年採用」へ→学生「もう即戦力じゃないと無理では?」 企業の採用方針に変化が…?
ついでに言うと、新卒カードの価値を減らすことは、間違いなく労働環境の改善につながります。
騙したり適当なこと言って入社させてもすぐ転職できる(=新卒カードがさして重要でなくなる)のなら、企業側は真面目に労働環境の改善に向き合うしかないからですね(これが、筆者が退職代行サービスに肯定的な理由でもあります)。
参院選では雇用政策は全然クローズアップされず、バラマキや減税といった空中戦ばかり展開された印象ですが、今後はこうした「地に足のついた」政策議論をお願いしたいものです。
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社内失業者の活用こそ労働力確保と賃上げの一石二鳥の政策
これから“社内失業者”でいることはとても危険な理由
Q:「氷河期世代に対しては何をすべきだったと思いますか?」
→A:「解雇規制の緩和が一丁目一番地だったはず」
Q:「あえて20代ではなく30代でやりたいことを探すのはアリ?」
→A:「人間万事塞翁が馬です」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2025年7月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。






