栃木信用金庫は、保有する国債などの有価証券の含み損が自己資本を上回ったため、信金中央金庫から50億円規模の資本支援を受けることになりました。
含み損は68億円にのぼり、信用金庫法に基づく早期是正措置の対象となる可能性がありましたが、信金中金の支援により自己資本比率を約8%に引き上げ、金融庁は業務停止命令を見送りました。
円建て国債の含み損が自己資本を上回り、金融庁が定める「早期是正措置」の基準に抵触する信用金庫が現れ始めています。特に信用金庫は、より高い利回りを求めて償還期間の長い債券を多く保有しており、長期金利がさらに上昇すれば、含み損の拡大によって財務に一層の打撃を受けるおそれがあります。
信金中金は今回、有価証券の含み損にも対応できるよう支援ルールを改定し、栃木信金がその初の適用例となりました。全国では多くの信用金庫が同様に含み損を抱えており、今後も支援が必要となる可能性があります。
栃木信金は本業では黒字を維持し、店舗にも混乱はなく、地域経済の支援を続ける方針です。ただし、1990年代の金融危機の教訓から、問題の本質は金額よりも信用不安の連鎖にあると警戒する見方もあります。
栃木信用金庫本店 Wikipediaより